紙の本
ITの初期投資や運用コストを抑えられるのが魅力
2010/08/10 22:14
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投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はICT企業に勤務しながら、ICTコンサルティング、情報通信政策の調査・分析などに携わっている。ネット・メディアでも積極的に情報発信している。本書を書くにあたっても、G-mailやGoogle Docs、Calenderなどクラウドサービスを駆使したという。本書ではクラウド・コンピューティングの概念や仕組み、ビジネス活用の現状と展望などについて事例を挙げながら、まとめている。企業ユーザが気になるリスクと対策にも触れている。
いまや「クラウド」という言葉を聞かない日がないくらいに一種のブームになっているが、「本質的な流れが後戻りすること」はないと著者はいう。今後もインフラとして、「クラウドが企業ユーザにとって欠かすことのできない存在になるため」には、サービス提供会社が「イノベーションを続けていく必要がある」としている(第4章)。
また、将来予想として、次のようなことも書いている。クラウド導入が拡大すると企業内の情報システム担当者は減らされ、蓄積してきたITの知識が必要とされなくなる。システム構築を提供してきたIT企業の営業も必要なくなり、SE(システムエンジニア)の業務量も減少するかも知れない、と。 IT業界の人にはかなり厳しい未来が待っているのかも知れない。逆にクラウドの導入や、既存システムとの連携のために「コンサルティング能力の高い人材が求められ」、「複数のサービスを組み合わせて最適化するようなサービスをデザインできる人材が求められていく」ともいう。 SEも営業もこれにうまく対応できれば活躍の場はありそうだ。
巻頭にはクラウド・コンピューティングを構成する3つのレイヤ(階層)の図が載っている。この内、「日本はネットワークと端末の2つのレイヤで世界をリードする立場であり、高い技術力をもって」おり、それを発揮するためにも「クラウドサービスを活用する決断ができれば」、「様々なメリットを享受できる」と日本企業にエールを送っている。
クラウド・ビジネスではGoogleやAmazon、Salesforce.comなどが先行して、MicrosoftやIBMが追いかけている。みなアメリカ企業だ。日本勢も遅れてはならじと躍起になっているが、似たようなサービスが乱立するとユーザは混乱する。サービスの継続性のために、いずれ少数の大手に収斂していくのだろう。外国企業に情報を預けることに不安を感じる企業にとっては、国内企業には一定の安心感を与えられるメリットはありそうだ。
「キャズム越え」という言葉があるが、クラウドが一気に普及に向かうためにはキャズム越えが出来るかどうかにかかっている。各社が本気でクラウドに投資を始めたということは、一過性のブームで終わらせるわけにはいかないだろう。メールシステムの置き換えくらいであれば、ユーザには特にクラウドに変わったという意識もさせずに切り替えられそうだが、より複雑なビジネスに利用していくとなれば、ビジネスのやり方やワークスタイルの見直しを迫られそうだ。
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(2009.03.07読了)
著者の略歴を見ると、「ICT企業勤務、お客様へのICTコンサルティング、情報通信政策や技術の調査・分析、プロトタイプ開発等に従事。ナレッジマネジメント等総括担当兼務。」と書いてある。ICTとは、聞きなれない略語だなと思って、調べてみるとInformation and Communication Technologyで、情報通信技術ということのようです。
ちょっと前までは、IT(Information Technology)情報技術、と呼んでいたものが今は、ICTと呼んでいるらしい。ITも通信が含まれていなかったわけではないのに、Cに携わっている人がへそを曲げたんでしょうか?
例によって、ITは、日本の用語で、アメリカでは、ICTと呼んでいるので、それにあわせたのでしょうか?
webを辞書で調べるとクモの巣という意味です。World Wide Webは、世界的なクモの巣です。今度は、cloudですから、雲です。
「インターネットやTCP/IPネットワークは、しばしばクラウド(cloud=雲)と表現される。」ということです。
この本の話題は、クラウドコンピューティングです。「インターネット上の“どこか”にあるハードウェアリソース、ソフトウェアリソース、データリソースをユーザーがその所在や内部構造を意識することなく利用できる環境、ないしその利用スタイルを「クラウドコンピューティング」という。」
自社で、サーバを持たず、利用するソフトも開発せず、端末だけで、あとはすべて、インターネット上のものを利用しようということです。そうすると初期費用がかからず、利用した分だけの料金を支払うだけで済む。急激な利用増にも柔軟に対応できるということで、中小企業にも、新興企業にも利用できるので、便利ということです。
サン・マイクロシステムズのグレッグ・パパドポラス氏は、2006年11月に「世界にコンピュータは5つあれば足りる。一つは、グーグル。もう一つはヤフー。それにアマゾン、マイクロソフトのライブ・ドットコム、セールスフォース、イーベイあたりを加えれば、もうほかに地球上にコンピュータなど不要になるだろう」と予言している。(87頁)
5台のコンピュータということではなく、サービス会社が5つあれば十分ということのようです。
著者は、クラウドコンピューティングを利用する上での、チェックポイントもちゃんと述べています。(157頁)
・クラウドサービス事業者は適切にコンプライアンスに取り組んでいるか
・サービスの安全性と信頼性は確保されているか
・サービスのセキュリティは確保されているか
・事業者の信頼性は確かなものか(倒産した時はどうなるのか)
・サービスと提供事業者の実績はあるのか
・ネットワークの信頼性は確保されているか
クラウドサービスの二本の柱は、アプリケーションソフトウェアと開発運用基盤です。
アプリケーションソフトウェアは、SaaS(サース) Software as a Service と呼ばれています。よく知らないと、伝染病のSARS と混同してしまいます。
開発運用基盤は、PaaS(パース) Platform as a Service と呼ばれるそうです。
IT分野では、次々と新しい用語が誕生し、いつの間にか消えてしまうことがしょっちゅうです。SIS 戦略情報システムなどが���りました。クラウドコンピューティングはどうなのでしょう。
(2009年3月8日・記)
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入門本。あまり目新しさはない。
・MSはウィンドウズアジュールをクラウド基盤サービスとしようとしている
・Amazonは通信料が増えたことによりネットワーク回線全体のボリュームディスカウントが可能となり、収益改善に寄与している
・NGNは、品質確保、セキュリティ、信頼性、オープンなインターフェースという4つの特長を持っている
・総務省は「ASP・SaaS普及促進協議会」を設立、情報開示認定制度をスタートした
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クラウドって言葉が最近よく使われるようになったから読んでみました。
専門知識をたくさん知っていないければ読めないのかなと思いましたが、
そうでもなく、一般的なことを知っていれば読めるので、わりと読みやすかったです。
そういうところで使われているのかや今度どのように取り組んでいくのかなど、
具体的な事象を取り上げて説明してくれています。
特にグーグルアップスが出てくるあたりの話はおもしろかったです。
今後のクラウドがどう評価されていくのかが楽しみです。
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今話題のクラウドについて基本的なことが書かれている。
詳しく知らなくても、クラウドはもうすでに私達の生活の中に入り込んでいるのは知っていますか?
名著「WEB進化論(ちくま新書)」とあわせてどうぞ。
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タイトルのとおり、クラウドをビジネスに使いたいと思っている人向けの入門編。身近な技術わかりやすく説明されていて非常に読みやすい。ただし、内容については雑誌をちょっと読んでいる人には物足りないかも。まあ、入門編ですから、、、読むべきは4章のみでも構わないかも。
企業ユーザーのリスクへの対応
・クラウドサービス事業者は適切にコンプライアンスに取り組んでいるか。
・サービスの安全性と信頼性は確保されているか。
・サービスのセキュリティは確保されているか。
・事業者の信頼性は確かなものか。
・サービスと提供事業者の実績はあるか。
・ネットワークの信頼異性は確保されているか。
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1年前の本で事例で少し古い部分があるが、タイトルどおりクラウドの特にビジネス的な側面が明快に描かれていて非常にわかりやすかった。
人に「クラウドって何」と聞かれた時にはこの本の知識があればわかりやすく説明できそうな気がする。
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今のところ語る人や立場、所属している組織によって定義が拡散しがちなクラウドコンピューティング。その俯瞰図として同書についている図がとても分かりやすい。
クラウドのサービスレイヤーをまずSaaSとクラウド基盤に分ける。SaaSでは主にメールや文書作成ツール、グループウェア、人事・会計、人事・給与、CRMといったシステムのサービスをグループ化している。
一方のクラウド基盤では、PaaS(インターネットサービスプロバイダ)、SaaS基盤(アプリケーションGW)、サービス提供基盤(事業者向けインタフェース)、i-modeなど(携帯事業者)――の4つに分類し、それぞれの立場に分けてクラウドを論じている。
よくフォーカスされるのが、業務アプリケーションを開発する「開発基盤」すなわちPaaSとしてのクラウドコンピューティングだが、それ以外のクラウドサービスを一発で理解するためには、この図を見ればいい。
もう1つ秀逸なのは、日本でのクラウドの事例や、クラウドを導入する際に必要な点をまとめてくれていることだ。 諸外国の最新のテクノロジーという切り口で語られることが多いクラウドコンピューティングだが、その技術を取り入れることは国内においても実現可能だ。
特に、4章で記述しているクラウドコンピューティングを実現するための「コンプライアンス」「サービスの安全性と信頼性」「セキュリティ」「事業者の信頼性」などは、記事などでは断片的にしか語られない。
クラウドを導入する場合は、ここで記されている点をチェックリストとして使うといいだろう。
話が飛んで恐縮だが、この著者はブログを休むことなく書き続けることで出版社の目にとまり、めでたく書籍を出すことができたそうだ。愚直に続けることで、成果が生まれるんだなぁ。
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教科書として最適。
解りやすく解説されており、事例も適当。
このレベルのを数冊読んで理解を深めたい。
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これはあえて皆さん読む必要もないですが。
クラウドについての定義を再度復習する意味もあって
読みましたので!!
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1年で内容が古くなって若干実体と合わなくなってっしまった感があるのは残念。
基本的なことは何となく分かったが、これからどちらへ向かうかは結局分からない。
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昨年、NHK「クローズアップ現代」でクラウドコンピューティングがとりあげられ大きな反響があったという。
企業は情報システムを「保有」することから「利用」する方向にシフトしつつある。
「利用」することは自社の強みへ集中できることになる。
今、中小企業がクラウドサービスを導入することが大きな転換点になるだろう。
企業の社内システムではなく、WEB上で構築された「外部の」システムを使って、営業管理などすべての情報処理を行う「クラウドコンピューティング」。
企業は保有と管理から解放され、使った分だけ料金を払う水道のように情報システムを使うようになる。本書ではすでにクラウドを使って業績を急伸させた中小企業、大企業の例などを取り上げながら、マイクロソフト社の覇権さえ揺るがしかねない革命をわかりやすく解説。
■第1章 事例から学ぶクラウド
クラウドとは何か
ITが電気や水道、そして金融サービスのようになる
クラウド・コンピューティングがもたらす7つのメリット
【事例1】中小企業が事業の効率性を高め生産性を向上させる
【事例2】グローバルなコミュニケーションやコラボレーション環境を実現する
【事例3】ベンチャー企業も大企業に匹敵する事業が展開可能になる
【事例4】クラウド基盤サービスを活用し、自社の短期開発やプロセス革新を目指す
事例1~4のまとめクラウドがもたらす企業の変化
クラウド・コンピューティングの概念
新たな価値を生み出すクラウド
■第2章 クラウドの時代がはじまる
クラウドサービス事業者の視点
成長するクラウド市場
■第3章 クラウドの全体像
クラウドを構成する3つのレイヤ(階層)
クラウドサービスを構成する二本の柱
クラウドの普及を後押しするブロードバンドネットワーク
端末の多様化が進む
クラウド市場のビジネスモデル構造
■第4章 クラウドの時代に備える
未来のクラウドへ
企業ユーザーのリスクへの対応
クラウド導入に備える
世界を変えるクラウド・コンピューティング
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初歩の初歩。2009年に初版が出ており、リーマンショックの影響を色濃く受けた内容となっていたり面白い。当時の分析は結果的にストレッチではあったが、その後のAIといった技術の流れを見ると、あながち間違ってはいない。
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クラウドとは雲。ネットワーク越しにPCの向こうにある巨大コンピュータ・システムや、それが行うサービスを指している言葉である。 googleやAmazonがクラウドの代表格。これら企業は、本業での競争力アップのため、日夜、自社のコンピュータシステムをチューンアップしてきた。さらに勝手にCPUが早く、メモリが多くなっているものだから、気が付くと彼らのコンピュータ・システムは、他社へ部分的に貸し出せるほどに成長していた。これが、本書でいうところのクラウド・ビジネス(実際は、これだけではなく、最初から他社のコンピュータシステムをアウトソースさせる目的のクラウド会社もある)。 こういうことをされると、IBM、オラクル、NEC、富士通などのシステム構築自体をビジネスにしている会社は持ちこたえられない。クラウド・ビジネスにより淘汰される側に回ったこれらのシステム・インテグレーターのこれからの挙動を見守りたい。