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商品説明
オバマ政権の第1期はマクロの調整に費やされる。それでもミクロの強さゆえに「米国の時代」は終わらない。外発型危機の克服に「日本型経営」が見直される…。「政治」と「経済」の複眼で、世界同時不況の展開を分析する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
吉崎 達彦
- 略歴
- 〈吉崎達彦〉1960年富山市生まれ。一橋大学社会学部卒業。双日総合研究所取締役副所長、主任エコノミスト。自身のHP『溜池通信』で世界の政治経済を分析したレポートを配信。著書に「1985年」等。
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紙の本
重き荷を背負うて遠き路を行く
2009/04/29 09:24
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
RPGじゃないんだから、たったひとりの人物に救世の使命を背負わせなくてもねえ。たとえその存在が、「いまだ名もなき英雄候補」とは段違いな地位であったとしてもだ。いえ、タイトルの話です。
内容は半分以上、経済の話だが、著者はエコノミストだからそうなるのだろう。
いくつか目についたところを拾ってみる。
【経済問題については】
IMFが発表している「世界経済見通し」を引いてこういっている。2008年11月6日のものを使っている。
《世界経済全体というのは、だいたい成長率が3%を割るとかなりの不況感がでてきます。09年は2.2%成長が予測されていますが、これは相当にしんどい数字だと言っていいと思います。さらに先進国は全部マイナス成長の見通しということになっております。これはもう、大変な時代がやってくると言わざるを得ません。》
この見通しが、世界全体で2009年1月には0.5%になって4月22日にはマイナス1.3%と大幅下方修正である。日本はマイナス6.2%にまで落とされてしまった。これがそのまま当たったら、もっとしんどくなるということか。
対策を著者はいろいろ述べているが、ひとつだけあげると「現金こそが命」だそうだ。
【大統領選については】
出口調査の一覧表を掲げて、2004年のものと比較分析している。
本書のほうが『誰がオバマを大統領に選んだのか』より詳しい。選挙結果は、有権者の「反ブッシュ脱共和党」の傾向が強かったのであって「リベラル派の勝利」ではないとしている。これは有権者の回答がリベラル22%、穏健派44%、保守派34%となったことを根拠にしている。
それはそうなのだろうが、自営業者が多くなっていることから《政治的には「小さな政府」になっていかざるを得ない》としているのには多少疑問がある。保守といっても、すべてが厳格な財政規律や小さな政府を求めているわけではない(穏健派もそう)。ならば、リベラルなアジェンダを経済政策であるていど通せる可能性がある。大までいかなくても、中ぐらいの政府に集約されることもありうる。
もっとも著者も、オバマ大統領は中道的な政策をとるのだろうともいっている。《保守的な手法でニューディール政策を行う》のではないかと。
【アメリカの時代は終わったのか?については】
《結論として、アメリカの国力はゆっくりと衰えていくけれども、アメリカの時代が終わったとまでは言い切れない。そして、次の時代の先導役となる国もまだ見えてこないという時期がかなり続くのだと思います。》
【アメリカの印象については】
《「アメリカはみずからの失敗から学習する偉大な能力を持っている」
「ただし他国の忠告を受け入れたり、他国の失敗に学ぶような賢明さや謙虚さは持ち合わせない」
我々の目に付きやすいのは後者の方であり、そこに腹立たしく思うことが少なくありません。しかしだからといって、前者の美徳を過小評価することがあってはなりません。》
両方、見ておくということなんだろう。若干、補足したい。「アメリカは他国の忠告に耳をかたむけたり失敗から学ぶことを、一切しないわけではない。また、せっかく失敗から学んでも、それをいつのまにか忘れて、似たようなことをくりかえすこともある」と。
【今後のアメリカ外交については】
《かつてのいずれかの政権のパターンに回帰していく公算が大きい。オバマ新政権が誕生して、まったくアメリカが反省して新しく生まれ変わるんじゃないか、みたいなことを期待する人が多いのですが、私はそうではないと思います。今までになかったものが突然現れるなんてことは、この世の中ではそうそう起きるものではありません。》
期待のしすぎはいけませんよね。