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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2009.1
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/412p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-391202-6

紙の本

神器 軍艦「橿原」殺人事件 上

著者 奥泉 光 (著)

昭和20年初頭、探偵小説好きの青年が上等水兵として、軽巡洋艦「橿原」に乗船した。そして艦底の倉庫でこれまで3人の変死事件があったことを知り、好奇心の蟲が騒ぎはじめる。「橿...

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神器 軍艦「橿原」殺人事件 上

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商品説明

昭和20年初頭、探偵小説好きの青年が上等水兵として、軽巡洋艦「橿原」に乗船した。そして艦底の倉庫でこれまで3人の変死事件があったことを知り、好奇心の蟲が騒ぎはじめる。「橿原」に隠された謎をめぐり憶測が飛交い、新たな変死事件は後を絶たず、艦内に不安が渦を巻き始める…。【「BOOK」データベースの商品解説】

【野間文芸賞(第62回)】昭和20年初頭、上等水兵として「橿原」に乗船した探偵小説好きの青年は、これまでに艦底で3人の変死事件があったことを知る。新たな変死事件は後を絶たず、「橿原」に隠された謎をめぐり、艦内に不安が渦を巻き始める…。【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー11件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

戦前と戦後の日本人の組織感覚

2010/05/13 16:05

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:仙道秀雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この小説のテーマのひとつは、戦前と戦後の日本人の組織感覚を問うことだと思った。

 戦前戦後の共通点は言挙げしないことにある。異なるものは以下の通り。

 戦前 臣民は、国家が各人に求める行動の原因・理由・目的を問おうとせず、国家が命令する行動を忠実に全力をもってやり抜くのがもののふの美学であり、最終的には天皇のために個々の命を差し出す覚悟を求められ、その決意は美しく語られた。

 戦後 天皇はGHQによって無化された。これに代わって会社が言挙げ機能をもち、ある程度だが、会社が天皇の位置を得た。かくて国民は、社員として会社がその個人に求める行動の原因・理由・目的を問おうとせず、会社が求める行動を忠実に全力をもってやり抜かねばならないとされており、最終的に社員たる国民は会社のために自分の人生や家庭を差し出さざるを得ない状況に追い込まれている。当然それは美しく語りうるものではない。

 会社はある程度は天皇の位置を占めていると言ったが、天皇の地位を得ているわけではない。戦前の天皇には日本国家の過去現在未来への見通しを民族の全体を体現して理念的に浪漫的に語ろうとする意志と文体があったが、今の会社にそのような言挙げ能力も意志も文体もない。せいぜい来期の会社の決算を利己的短期的金銭的に数字で語るのにとどまる。

 ついでに言うと、1970年代後半まで会社は社員の人生や家庭を多少顧み、本人はもちろん家庭も会社に貢献をしようと努めていたが、80年代以降、会社は社員を個人として捉え、個人と家庭をプライバシーに属する世界だとし、距離をとりはじめた。他方個人も家庭も会社を美しくないもの、胡散臭いものとして徐々に離反の道を選んだ。現在ではそれぞれが互いに縁遠い状態としあってそれなりに安定している。当然職業生活、暮らし、個人としての生き方は、バラバラに切り離され、全体性があるはずもなく、語るにふさわしい理念や浪漫はない。この窮状を救えるのは戦前戦後中心から外されてきたもの、例えば女性、地方、農業、小企業などであろう。

 この小説に触発されてこんなことを一読者に考えさせるほどに本書は戦前の日本人と今の日本人の組織感覚の歪みを際だたせている。ただし、この小説の扱っているテーマは、これだけにとどまらない。それについては下巻の読後語ることにしよう。

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紙の本

この小説が推理作家協会賞や星雲賞を受賞できないとしたら、日本の読者もだめだなあ、なんて思います。深く重い、想像を絶するメタ小説、さすが奥泉光、まるで半村良の伝奇SFを読むような・・・

2009/07/08 20:14

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の案内を見たとき、これは絶対に読まなければ、と思いました。まず、久し振りの奥泉光、というのがあります。どうも私は好きなんですね、この人の作風が。エンタメ系純文学というか、純文学系エンタメというか。文章だけとってみれば、村上春樹より硬質で中味が濃い気がします。

で、書店でチェックしました。予想外だったのは箱がついていないことです。ま、エンタメと割り切れば納得できるんですが、でも純文学と考えれば、箱がついて当たり前。とはいえ、それは一昔前の常識であって、今となれば純文学だって箱入りは珍しいかもしれません。でも、芥川賞をとった作家の上下二巻本となればねえ、箱くらいつけても罰は当たんないんじゃないでしょうか。

とはいえ、箱なしだからこの美しいカバーを堪能できるとも言えるわけで、こればかりは何とも言いがたいです。しかしmどうでしょう、この色合い。まさに日本画の世界。京都の人はこういうのを「はんなり」って言うのではないでしょうか。透明で上品な色使いの装画は、ケッソクヒデキ、装幀は新潮社装幀室です。

いよいよ『神器 軍艦「橿原」殺人事件』です。どのような話になるのでしょう。タイトルに「殺人事件」と謳いながら、ミステリ臭の少ない文学となるのか、それとも純文学者が好むガチガチの本格ミステリか、あるいは私が大好きな『鳥類学者のファンタジア』のように時空を越えた大ロマンとなるのか、気になるところです。

ところがです、開始早々

「この船はうこん丸であって、うんこ丸じゃないからね。間違わんでね」

なんていう会話があるんです。よよよ、です。あれは私が高校生の時のことでした。名前は忘れましたが図書館で友人とともに有名な詩人の作品を読んでいたときのことです。私はその格調高い詩文のなかに「うんこ」の一文字を見つけ狂喜乱舞してしまったのです。静かな図書館で友人を書架の陰に引きずり込んで、あまりの楽しさに声も出せず、その頁を指差し、その場に崩れ落ちたのです。

わが友は、冷静に「うこん、がどうしたの?」。「キーッ、な、なに、しらばくれて、けけけ、う、う、う○こ、だよ、う○こ」。
「うこん、でしょ、うこん」。しばしすれ違いの会話が続いたあとで、ふと私の脳裏に「もしかして」という疑問が雲霞のごとく湧きあがりました。「うんこ、ではなく、うんか」です。そして友人の顔を、詩文を見比べました。まさに

「この船はうこん丸であって、うんこ丸じゃないからね。間違わんでね」

の世界がそこにあったのです。無知な私はその時まで「うこん」というものを知りませんでした。ま、いまでも殆ど知りません。う○こ、なら毎日顔をあわせていますが「うこん」なるものを見たことはありません。ま、それでも冷蔵庫には夫が買ってきた缶入り「ウコン茶」が、鎮座しているのではありますが・・・。そう、私はこのお話のそういう笑える部分に過剰反応してしまいました。

そうです、上巻の終わりのほうで登場する毛抜け鼠の、殆ど独白ともいえる会話に笑いころげ、娘たちに無理矢理読ませたりもしたのです。たとえば、386頁

「ゴムは、うまいですか?」
「ゴム? ヤベーよ。ゴム、スゲーヤベー。ゴム、ウマすぎ」
「人間だったときのこと、覚えてます?」と福金鼠はようやく質問をまとめた。
「ニンゲン? なに、それ? 知らねえ。てか、知ってる。バリ知ってる」
 毛抜け鼠は支柱から降りてくると、またゴム管を齧り出し、その合間に話し出した。
「けどさ、鼠って、なんかスゴくね? オレさ、いま鼠。完全完璧、鼠。これってマジ、スゴくね。で、なにこれ? なんなの。ここ船? 船ん中? でもって、オレ、鼠? それってあり? ありっちゃありなの? けど、このゴム、めちゃウメー」
 ゴムの喰い過ぎで脳にきているのかと観察しながら、福金鼠は質問を重ねた。
「どうして鼠になったか分かる?」
「オレ、やっぱ鼠? だよな。だからオレさ、鼠になってもいいかなって前から思ってたんだよ。よくさ、ネットカフェ、池袋の東武んとこの、よく行くんだけどさ、寝てると夜中に鼠が出やんの。笑う笑う。ギャーギャー騒ぐ客がいてウルセエんだけど、オレは全然平気。ていうか、むしろ嬉しい?(中略)主任さんは絶対に喰うなってセッキョーすんだけど、なんかやめられんなくて、そんでもってニッペキやめてからもケッコー喰ってた。ていうかさ、ここんとこのゴム、スゲー、ウメーよ。ナイス塩味のせい? ポテチじゃねぇって。けど、マジ、ウメー!」

いや、もう格調高い純文学の線は完全に消えました。すっ飛んでどこかに行ってしまった。そしてさらに409頁では

「あれって誰? 何もん? 軍人? もしかして特攻隊? やっぱそう? スゲー、オレ、特攻隊、生で見たじゃん。ナマ特攻隊、はじめて見た」
(中略)
「オレ、ウゼー? 一緒じゃウゼー? オレ、よくウザイっていわれんだよね。親からもいわれたし、越谷のおじさんにもいわれた。宇田川先輩やゼンデンなんかにもよくいわれた。いわゆるウザバカってやつ? ウザくて馬鹿。って、それ最悪じゃん。ね、オレってやっぱ最悪? 最悪のウザバカ? あんたもケッコーそう思う?」

いやはや、これって終戦間近の軍隊の会話じゃありません。完全に現代、しかもこの語りのノリのよさときたら・・・。奥泉はどうやってこんな会話を書くことができるんでしょう。『鳥類学者のファンタジア』の主人公の季梨子について町を歩けばスカウトマンに声をかけられたこともある(何のスカウトかはわからん、と注をつけているけれど)美女で、高校時代にはその長髪故に「練馬のアルゲリッチ」と呼ばれていたという、噴飯物の解説を軽く一蹴してしまいます。

とはいえ、こういうユーモラスな部分はほんの一部。時間の飛ばし方、第二次大戦秘史とでもいいたくなるような伝奇的な部分も十二分に面白い。密室状態での人の消失もあります。連続消失事件に謎の乗り組み員。やはり良質のエンタメというほうがいいかもしれません。いつかゆっくり読み直したい一冊です。

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紙の本

『鳥類学者のファンタジア』『新・地底旅行』『モーダルな事象』に共通するロンギヌスの石は登場するがこれらが抱腹絶倒の笑いの文学であるのとは異なり、笑いは笑いでも醒めたブラックユーモアである。デフォルメしてあるからブラックユーモアなのだが、戦争のグロテスクな狂気をシリアスに捉えた思索の文学である。

2009/03/21 20:29

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

このストーリーがいつからはじまっていつ終わるのかとあえてたどるならば昭和20年1月にはじまり昭和20年4月に終わる。現代人の目から見れば敗戦直前のいっときなのだが、しかし時間軸は捻じ曲がっていて平成の現代人が鼠となって「橿原」に乗船している風でもありすでに戦死した兵士たちが実体のある無数の存在として乗船しているようでもある。
いや日本人全員が乗り込んでいることを象徴しているのであろう。時間の経過を追いながら読むのは苦痛と眠気に妨げられること間違いなく、あまり意味のない読み方であり、これはまったく気にせずになにがなんだかわからぬままに読むのが最良であろう。まさに奥泉流である。

探偵小説好きの青年・石目鋭二・上等水兵(海軍の兵隊の位で下から三番目、ちょうどいじめられるのにぴったりの下層兵)が軽巡洋艦「橿原」に乗り込む。死地におもむくといえども、どうやったら楽に生き延びるかに骨身を砕きながら「俺」という一人称で語り始めるのだが、それが最後まで一貫するかと思うとそうではない。途中からいろいろな人物が勝手に語りだし、また著者の視線も交差する。だからこの作品、タイトルに「殺人事件」とあるからミステリーだと勘違いした読者はあきれ返って途中で放り出したくなるだろう。

タイトルには「神器」ともある。
「軍艦『橿原』には『神器』が持ち込まれていた………」と帯のコピーにはあり、
「『橿原』の真の使命とは?」
ともあって、このミステリアスな雰囲気はたまらなく魅力的である。たびたび居眠りをもよおしながら延々二週間もかけて読了したのもそこに魅かれたからだ。やはりこの部分は圧倒的に面白かった。「神器」とは皇室の正当性を保証するいわゆる三種の神器なのだろう。いや、どうも世界を支配することができるといわれる、キリスト磔刑に使われたロンギヌスの聖槍のようだ。三種の神器を運ぶのであるから天皇陛下が乗船しているとか、そうではなく天皇陛下は潜水服を着て船底に張り付いているとかぎょっとするような仕掛けがあって、しからば、何のためにどこへむかうのであろうか。

殺人、自殺、変死、行方不明だけではない、大量のネズミの発生、ネズミに変身する兵士、亡霊現出、そして「神器」と「極秘任務」の真偽を巡る憶測で兵士たちは錯乱状態に陥る。異様な出来事が次々と発生する。極秘目的はこの戦艦の最高指揮官である艦長・永沢大佐ですら知らないようだ。それは場違いにゲストとして乗船している陸軍の人物・門馬中将ただ一人か。門馬中将を中心とする神がかりなゲストたちにより、艦隊全体が狂気集団と化していく。作者が企てたこの壮大な謎を追うことで私は徐々に徐々に戦争というグロテスクな狂気の生々しい形とその狂気が作られるぞっとするプロセスに翻弄され始める。

「俺」の視線で語られる艦隊勤務、その軍事作戦への痛烈なブラックユーモアのあとに戦死者の思念をシリアスに突き詰めていく。戦争責任の構造に触れつつ良識や感性に訴えるこれまでの反戦文学とは切り口が全く違う。戦争に対する呪詛文学である。感性にではなく、読者の冷静な思考に強く働きかけるのは、実は冷静によっては整理できない戦死者たちそれぞれの怨念である。死を迎える直前になにを思いなにを後世に伝えたかったのか。日本の敗戦色が濃厚になったこの時期、それでもなお勝利を確信し、特攻に進んで加わった「英霊」たる戦士もいたであろう。逆に犬死覚悟の兵士も多かったはずである。なんとしてでも生きていたいと思いを残した人たち。異常な命令にいやいや従った兵士。異常を異常とも感じない本物の異常のなかで死んでいった人。死者はみずからは語れないのだから、本当の存念はだれも知りえないはずである。結局は後世がそれを推測しているに過ぎない。しかし、著者は時空を超越した「橿原」を舞台にして平成人の視線でこの混沌の思念を私たちに伝えてくれる。たとえば靖国とはなにか。戦死者の思念が形而上学的にここで投影されている。八月になったら再読してみたくなる作品だ。

正直言って読みにくい作品である。再読する場合にはひとつ戦艦大和とは何だったのだろうかという観点にフォーカスして読めばもっと理解しやすいような気がしてきた。
昭和20年4月、終戦の直前であるから、無駄な抵抗とわかっていた人は多かっただろうに、なぜ大和はわざわざ撃沈される作戦を選択したのだろうか。実際、なんらの戦果も挙げられないまま、裸同然で3000人近い戦死者を出している。
「光輝有ル帝国海軍海上部隊ノ伝統ヲ発揚スルト共ニ、其ノ栄光ヲ後昆(こうこん=後世)ニ伝ヘ」る為に、とか
「一億総特攻のさきがけとする」
というとんでもない目的があったのは事実だとされている。狂気の沙汰だ。なるほどそれが事実ならば、透徹した文学者がブラックユーモア風にちょっと神がかりなデフォルメを加えるのはもっともなことだ。
やがて神風が吹く。そして大日本帝国はどんな事態に陥っていても必ずアメリカに勝利するのである。この大怨敵退散を祈念するにあたっては、神に対して至高のいけにえをささげればならない。
この小説を読むとあの作戦行動は最強の戦艦大和に人柱を添えて神に差し出した行為だった違いないと思い至るのである。

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紙の本

神器

2022/01/13 17:26

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る

太平洋戦争末期の昭和20年、探偵小説好きで自分でも作品を書いていた石目が、軽巡洋艦の橿原に着任する所から物語は始まる。石目は着任早々天皇にまつわる奇妙な話や艦内の五番倉庫で起きた事件などを聞かされる。
物語は石目の視点と三人称の視点が章ごとに混在している。石目の視点は末端の兵士や事件の解釈などが交えられ、三人称の視点では石目のような階級の者には見られない艦内上層部や時間や空間を超越した場面が描写されている。
戦争というものは末端の兵士には作戦の詳細は聞かされないのが常だが、それにしても不可解な橿原の航行が物語に謎を生む。組織の末端では命令の端々や周囲の環境から多くの噂話が生まれるが、それが謎解きに奥行きを産む。

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2010/08/14 14:15

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2010/09/19 16:31

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2011/09/26 18:51

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2015/03/27 13:06

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