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商品説明
その新人外科医は、なぜ将軍(ジェネラル)となりえたのか−。東城大付属病院・救命救急センター部長、速水晃一の若き日を描いた医療エンターテインメント。登場人物一覧+相関図+用語解説+医療用語事典つき。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
海堂 尊
- 略歴
- 〈海堂尊〉1961年生まれ。「チーム・バチスタの栄光」で「このミステリーがすごい!」大賞、「死因不明社会」で科学ジャーナリスト賞を受賞。他の著書に「ナイチンゲールの沈黙」など。
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紙の本
「ジェネラル・ルージュの伝説」っていうタイトルでとっくに小説が書かれていたと思っていたんですが意外でした、まだだったんですねえ。海堂ワールドがよくわかる一冊ですが、虚実のありかたに少し疑問が・・・
2009/07/15 19:35
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日も、海堂が編集した『松本清張傑作選 暗闇に嗤うドクター 海堂尊オリジナルセレクション』のあとがきを立ち読みしていたんですけど、やっぱりこの人はいいなあ、って思いました。勿論、海堂のことです。そして思いました、海堂作品の出版ペースっていうのも、松本清張なみなんじゃないか、って。だって、この本の直ぐあとに、『極北クレイマー』を出しているんですよね。森博嗣なみでもある、なんて思います。
で、『ジェネラル・ルージュの伝説』。書店の平台で見たときもそのデザインに惹かれました。単に色が赤で強烈、っていうだけならば今までの宝島本と少しも変わらないのですが、今回はその色からして違います。なんとも色っぽい赤なんです。金と白の入れ方が王宮的で華麗でいながら下品にならず、タイトルの入れ方まで上品。一体どなたが?と思ってチェックすると
監修・執筆 海堂 尊
編集 下村綾子、大住兼正(宝島社)/森晶磨、小牧昌子(ミック&モリソンデザイン)
協力 清水一範
デザイン 中川まり(SINN graphc)
イラスト アリマジロひだか、市川香苗
DTP 株式会社明昌堂
とあります。「宝島社」だってできるじゃん。ちなみに、宝島社に倣ったのか講談社も新潮社も文藝春秋も決して凄いデザインを海堂本につけてはいませんでした。それでも売れるからいいんだ、と出版社は思うかもしれませんが、それは読者の思いを軽視しているに過ぎません。これほど楽しい作品を書いてくれる作家に、相応の装幀をつけるのは出版社としてのケジメでしょ。
ちなみに、今までに出た海堂の本で私が及第点をつけるのは『夢見る黄金地球儀』(東京創元社)、『医学のたまご』(理論社)と今回の『伝説』だけ。でも、これを契機に、今まで装幀に恵まれていなかった海堂本の歴史が変わるかも。分類としては清張本だけど、『松本清張傑作選 暗闇に嗤うドクター―海堂尊オリジナルセレクション』も渋いながらカッコいい本だったし・・・
とはいえ、この本、普通の本ではありません。内容的には完全にムックです。海堂ワールド好きな、それでいて自分でメモを作るのが苦手の読者や、まだまだ読み残している海堂本を抱えている人、海堂初心者はもとより我こそ海堂ファンと思い込んでいる人にも、ああこれが、あるいは、え、そんな、と思いながら楽しめる本でしょう。構成を目次で確認すると
Introduction はじめてのご挨拶
Novel ジェネラル・ルージュの伝説
History 海堂尊以前/以後1961‐2009
Bibliography 自作解説
World 海堂尊ワールド
各作品の鍵を握る登場人物を徹底解説! メインキャラクター解析
全登場人物表
登場人物相関図
●現在 2006~2008
●過去 1988
●未来 2010~2022
心に響く名ゼリフ
毎日に活かせる!? 白鳥圭輔の「極意」一覧
イメージ写真でわかる! 東城大学医学部付属病院案内
はやわかり! 全国大学・病院MAP
全国主要施設ガイド
桜宮市年表
作中キーワード273 用語解説
物語を100倍楽しむための 医療用語事典
海堂世界を総ざらい カルトクイズ100
目指せ全問正解! カルトクイズ100 アンサー
となっていて、小説から図表、クイズといった様々なもので海堂世界を総ざらいしてもらおうというものです。どこから読んでも他のしめる一冊なので、内容にはこれ以上踏み込みません。一応、私らしく気になった点を書きましょう。まず第一が、「ジェネラル・ルージュの伝説」って、今まで小説化されていなかったんだ、ということ。驚きでした。
次が、海堂尊以前/以後1961‐2009の中で、金田美香さんの綺麗さにビックリしたことと、最初はできなかったけど二度目に美香さんと握手したこと。時期的な問題もあるのでしょうが、東野圭吾さんをライバル視していること。そして、なぜか竹内結子さんの美女ぶりにコメントがないこと。
自作解説、はためになります。創作の、というよりは海堂尊ワールドを理解する上で、これ以上のものはないでしょう。それにしてもです、思うんですが、創作の神様というのは降臨すべきところには、するんですねえ。エンタメ系でいえば森博嗣や夢枕獏といった多作で、しかも平均点がとても高い人の存在をみると、いやでも祝福の偏在ということに気づかされてしまいます。
最近は、嫌いになってしまってスッカリご無沙汰だった栗本薫もそういう一人ではありました。心からご冥福を祈っております。
閑話休題。あとは登場人物相関図で、→に「好意」という注がついているのが、●現在 2006~2008 の速水のところと、●過去 1988 の花房美和のところだけで、どちらも花房が関係していること。それと、●未来 2010~2022 の図に速水、花房という名前がないこと。え、あの二人には過去でしか会えないの?それにやけに東城大学医学部の比重が小さくなっているじゃない・・・。
素人さんには「物語を100倍楽しむための 医療用語事典」がありがたいのではないでしょうか。ペアンについても『ブラックペアン』のカバーに使われたことで少しは知名度が上がったかもしれませんが、こういった事典の項目で確認できると、やっぱり納得します。それと、「全国主要施設ガイド」はフィクションなんですよね。
こういう重大な記事で虚実が混在すると、普通の人はこれを事実と思い込んで、身近に病院を探したりするのじゃないでしょうか。問題だ!と騒ぎはしませんが、一言、これはフィクションですコメントがあっても良かったのかなあ、なんて想います。しかしです、この本てあと五年くらい経ったら改訂の必要に迫られるんだろうなあ、って思いますよ、実際。