紙の本
君子たる人間の備えるべき仁義礼智信(五常)
2010/08/25 00:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はSBIホールディングSEOである北尾氏による中国古典講義である。著者は論語などから様々なことを学んできたという。今なお論語は「事の判断に役に立つ実践的な書」(プロローグ)であり、「人間、いかに生きるべきかを教える実学・活学の真髄」を説いている。
論語の元になったは孔子の教えであるが、孔子は「君子(くんし)たる人間をつくろうと努めていた」(第二章)。著者はその君子たるべき「人物の涵養」が、今の日本に求められていると確信している。日本がそんな状況になってしまったのも、戦後のGHQの日本弱体化政策の成果だと考えている。様々な社会問題が顕在化しているのも根本には戦後教育があるとも。そうした問題意識が本書となり、タイトルにも表れている。
孔子は「小人(しょうじん)」とは「個人的な生き方を追求する人」(第一章)だと言っている。そうした小人が増えると、国や地域は衰退する。本書はリーマンショック後に出た本だ。直接そのことには触れてはいないが、現在の社会的混乱の原因が「組織の上に立つ人間が君子ではなく、小人になってしまったことにある」、「人間としてあるべき最低限の道を踏み外してしまった」(あとがき)と、様々なリーダーの堕落を批判している。
著者は49歳のときに自分に与えられた二つの天命を知ったという。それは事業にかかわることと、福祉にかかわること(第二章)。それを知ったあとは迷いはなくなったと語る。失礼な言い方だが案外、そこに至るには時間がかかったのだなと感じた。私にもまだ遅くはない、と心が軽くなった。
天命を悟って、それを楽しむ境地に至れば、憂いはなくなる(第五章)。そして「天命を知るために道を学ぶ」必要がある。道を外しやすいのは「私利私欲があるから」であり、学ばなければ「自分がこの世に生まれてきたのかもわからない」と言う。憂いなく、心安らかに生きるために学ぶのだ。
再び、「人間、如何に生きるべきか?」。その答えは初めから自分の中にあると著者は言う。古典は「その答えを引き出すための日常の態度、行動の仕方、人との接し方や物事の見方といった実践上のヒント」を教えてくれるのだ。最初から論語を読むのがとっつきにくい、と思う人も本書から入るとよいだろう。座右に置きたい一冊である。
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今、私たちにもとめられているのは、人間としての原点に立ち返り、自分が何の為にうまれてきたのか、何の為にここに存在しているのかを見つめ直すことです。真の自らの役割に目覚めた時、私たちの生き方は必ず変わります。一分一秒が意義あるものに感じられ、心が充実感で常に満たされます。志を共有する善き人々との出会いに恵まれ、心躍る楽しい時間を共に過ごすことができるでしょう。 老子 天網かいかい、疎にして漏らさず 天の網の目は非常に粗いように見えて、決して悪を逃すことはない 学んで、その意味と内容を、今生きる人間としてよく考えるのでなければ何もわかっていないのと同じだ。また、自分一人で考えてばかりいても、他から学ばなければ、これもまた独断に陥る危険がある。 子曰く 学びて思わざれば則ちくらし、思うて学ばざれば則ちあやうし 親が子に与える無償の愛、子が親に報いる感謝の気持ち。そちてまた子が年老いていく親をいたわる気持ち、そういう親子の間の気持ちがすべての愛情の基本だと思っています。こうした気持ちなしに、自分の妻や他人を愛することは決してできません。 子曰く、父在せば其の志を観、父没すればその行いを観る。三年、父の道を改むること無きを、孝というべし。 父親の存命中は、父のきぼうするところ、その志すことを奉じて行い、父がなくなったら喪中は父の考えを変えなければ、孝行の道を歩んでいるといえる。 子曰く、君子は周して比せず、小人は比して周せず 君子は誰とでも公平に親しみ、偏った人と徒党をなすことはない 逆に小人は偏って交わるが、誰とでも親しく公平に交わるということはない。 子曰く、君子は和して同ぜず、小人は動じて和せず。 君子は調和をとって誰とでも仲良くするが、無理に調子を合わせたりしない。小人は誰とでも調子を合わせるが、こころから仲良くしない. 君子は諸れを己に求め、小人は諸を人に求む
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儒教は、人間の胸の奥深くに内在している自分自身を徹見し、自分がいかなる者であるかを知るための教えです。また、個人が自分および社会に対して果たすべき責務、個人と社会とのあるべき姿を示した教えでもあります。人間は自らの欲望を満たすためだけに生まれてきたわけではありません。個々の人間には天から与えられた役割があります。その役割を果たすことが人間としての最高の生き方につながっていくものだと考えます。今、私たちに求められいるのは、人間としての原点に立ち返り、自分が何のために生まれてきたのか、何のためにここに存在しているのかを見つめ直すことです。真に自らの役割に目覚めた時、私たちの生き方は必ず変わります。一分一秒が意義あるものに感じられ、心が充足感で常に満たされます。
”子、四つを以て教う。文、行、忠、信”
”文”→勉強しろ。
”行”→人の道の実践。口だけの人間になるな。見識を持つところまでは比較的容易に行けるけれど、勇気を持って実際の行動に移せるかどうかが大きな関門。
”忠”→真心を尽くすということ。誠実さ。
”信”→偽りのないこと。社会の信頼を失うことはないか、自分自身の信頼を失うことはないか、自らに厳しく問う。
五常ー人間として実行すべき五つの徳目
”仁”→他を思いやる心情
”義”→人間の行動に対する筋道、なぜそうするのかという筋道
”礼”→集団で生活を行うために、お互いが協調し調和する秩序のこと
”智”→人間がよりよい生活をするために出すべき智慧。
"信”→集団生活において常に変わることのない普遍の原則
片方で精神の糧になる読書をしながら、片方で事上磨錬によって学んだことを実践していく。学んだことと対峙して、自分はどうかと常に反省しながら、自分を修正していくのです。そうした努力を積み重ねていった結果として、私利私欲がだんだん減り、かなり抑えられるようになります。そうなってくると、次第に世のため人のためという発想が芽生えてきて、勇気を持って実行しようという行動につながっていくのです。
”君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る”
物事を判断する時、君子は正しいかどうかで判断するが、小人は損得勘定で判断する。
”君子は諸(これ)を己に求め、小人は諸を人に求む”
君子はあらゆることを自分の責任と考え、自分にその責めを負うけれども、小人はすぐに責任を転嫁する。
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まだ斜め読みだけど、ちょうど考えたい事についての内容だった。
致知を紹介されたあとだったので、買って来て開いたら
その符号に驚いた。
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SBI北尾さんの著書です。
古典をベースに
「人生」とは?
「人徳」とは?
を説いている本です。
古典自体難しいのですが、それをやさしく解説をしております。ただ、1回読んだだけでは正直理解できるものではなく、何度も何度も繰り返し読んでいくことでより理解が深まっていく奥深い良著です。
現在のアメリカ型資本主義に代表される
「利潤追求」のために仕事をする
ではなく、
「社会、人」の役にたつために仕事をする
という点が共感します。
現在の金融危機はこの行過ぎた資本主義が行き詰まりをみせて、原点回帰しているのではないか?
社会のため、人のために自分は仕事をしなくてはならないのではないか?
そう思えてならない今日この頃です。
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自分の人生と、ごく狭い範囲の周囲の人々の幸せ。
これはこれでよい。
自分も北尾氏と同じく、社会全体、世界全体のために自分は何をできるか考え続ける人間になりたい。
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SBI社のCEO北尾氏の本。論語など中国古典の入門的解説書、かな?
内容は、平易に書いてあるのでよく理解できる。
が、何故だか心に響いてこないのはなぜ??
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SBIグループ代表の北尾氏が書いた本です。
論語について分かりやすく書いてある本の一つではないかなと思います。
今の日本の状態に危惧しつつ、論語を通して何か訴えかけようとしている本です。
論語の本文を引用しつつ、著者の解釈が載っており、また、色々な方の話も少し載っております。
私が印象的だったのは、徳の5常の話の部分より、西洋と東洋の違いの部分の記述がすごくわかるなと思う内容だったので、勉強になりました。
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中国古典「論語」を北尾氏の解釈を加えて展開しており、分かり易く、論語の入門書として捉えられた。同書をきっかけに、論語について、もっと勉強してみたいと思っている。
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著者は野村証券からソフトバンクへ転身した北尾吉孝氏。
北尾氏は古典から人間的教育を学ぶべきだと主張。
自身にとっても仕事、人生において古典から多くのヒントを得られたという。
とても読みやすく、新社会人の方には特におすすめ。
新入社員教育にも良いかも。
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SBIの北尾氏の著書。単なるIT長者かと思っていましたが、東洋哲学にとても高い見識をもつ方でした。本書は論語を多数引用し現代的解釈をつけ人の向かうべき姿を説いたもの。
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■君子を目指せ
A.自分の利益を最優先し、他者を顧みない人を「小人」と呼ぶ。
一方、天が万人に与えた徳を十分に発揮するとともに、私利私欲を排し、他者の幸せを考える人を「君子」という。
B.人間が守るべき徳目として、次の5 つが挙げられる。
1.「仁」:他を思いやる心情
2.「義」:人間の行動に対する筋道
3.「礼」:集団で暮らすために、お互いが協調し調和する秩序
4.「智」:人間がよりよい生活をするために出すべき智慧
5.「信」:集団生活における不変の徳
C.君子になるための条件は、次の6 つである。
1.徳性を高める
2.私利私欲を捨て、道義を重んじる
3.常に人を愛し、人を敬する心を持つ
4.信を貫き、行動を重んじる
5.世のため人のために大きな志を抱く
6.世の毀誉褒貶を意に介さず、不断の努力を続ける
D.人間は学問修養をしないと、動物的、機械的存在になる。学問修養することで、自分の運命を切り開くことができる。
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●かつての日本のエリート教育は、教養を非常に重んじ、品格を重視するものであった。歴史、哲学、芸術、科学技術など各方面を学習することで総合的な教養を育成し、ひいては国を愛し、人民を愛する心を備えさせようとした。そのために読書、なかでも古典を読むことを学生たちに求めた。最近の日本では、大学ですら一般教養を軽視する風潮を露骨に見せ始めているようだ。だが、物質的な面ばかり重視するようになれば、精神的な面が疎かになる。人間として最も大事な青少年時代に、内面的な自己を涵養する機会が失われてしまうのである。by台湾元総統・李登輝
●教養人とは、「家族のみならず、他者の幸福をも願う人」「知性を磨くだけでなく、徳性が加わった人」であり、これが君子にあたる。一方の知識人は「家族を中心にして日々の幸福な生活を求める人」であって、これは小人にあたるというわけです。
●東洋哲学の基本は、まず自分を変えなさいというところにあります。自分を変えて、そのうえで人を感化していきなさいと教えています。実践をとおして 自分自身を高め、変えていくちおう方向に持って行かなければ、人はついてこないのです。
●努力を支えるために、書物を深く読み、私淑する人を発見することが重要だと私は考えています。片方で精神の糧になる読書をしながら、片方で事上磨錬によって学んだことを実践していく。学んだことと対峙して、自分はどうかと常に反省しながら自分を修正していくのです。そうした努力を積み重ねていった結果として、私利私欲がだんだん減り、ゼロにはならないとしても、かなり抑えられるようになります。そうなってくると、次第に世の為人の為という発想が芽生えてきて、勇気をもって実行しようという行動につながっていくのです。
●君子の3つの基準
1)徳があるかないか。
2)私の利よりも義を重んじる、つまり道義を重んじる人かどうか。
3)自分のことよりも他人のことを先に考える人であるかどうか。
by伊與田覚先生
●孔子にとっての志
「老者はこれを安んじ、朋友はこれを信じ、少者はこれを懐けん」年寄りからは安心され、友達からは信頼され、若者からは慕われる、こういうふうになりたいものだ。
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儒学者の孫で中国古典に造詣が深い北尾さんの本。
この本は若い人にはあまりお勧めしない。
道徳的な話が多く、説教臭く感じてしまうから。
一方で40歳くらいから良さがわかってくる。
立場が上がってきたり、人生の水も甘いもある程度知っていると、この本の内容が響いて来る。
北尾さんの本は、
中国古典からもらった不思議な力が一番お勧め。
まずはこれから読むべき。
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中国古典に興味がある人が、入門書として読むのに向いていそう。
他の自己啓発本に書かれている内容とほぼ一緒なので、ルーツを知るのにはいい。
最後の「天命を知る」の部分が一番勉強になった。自分は何かを追求していくこと、学んだことを実践し続けることの大切さを学んだ。自然とともに人間があるという東洋思想ももう少し深掘りして知りたいと感じた。