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商品説明
受刑者の自殺が相次いだ北海道・北見刑務所。自殺を不審に思った遺族から調査依頼を受けた弁護士の伊崎晋介は、独房を視察中に意識を失ってしまう。原因の分らぬまま逃げるように東京に戻った伊崎の右眼には、不思議な影が浮かび上がるようになっていた。鎖で繋がれた死体、サーベルを持った男、眼に映る黒い影…。現代と過去がリンクし、伊崎たちに“呪い”が猛威を振るい始める。事件のカギは、明治維新後の北海道開拓の歴史にあった。第6回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞(第6回)】北海道・北見刑務所で自殺した受刑者の遺族から調査依頼を受けた弁護士の伊崎。独房を視察中に意識を失った伊崎の右眼には不思議な影が浮かび上がるようになっていた。現代と過去がリンクし、「呪い」が猛威を振るう…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
桂 修司
- 略歴
- 〈桂修司〉1975年生まれ。内科医師、医学博士。第6回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞、「呪眼連鎖」にてデビュー。
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紙の本
ミステリーの賞なのにホラー?
2008/12/12 00:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:横浜スワン - この投稿者のレビュー一覧を見る
作家志望なので新人賞受賞作はなるべくチェックしています。
読売新聞の宣伝を見て購入を決意しました。
本作は『このミステリーがすごい!大賞』の優秀賞を受賞したサスペンス・ホラーという一風変わった作品であり、巻末の選評では『コントロールが無茶苦茶、でも剛速球のピッチャー』などと評価されていました。
くせのある文ですが、話の筋自体が面白く、なかなかに読ませます。三日もかかりませんでした。
現代の刑務所で発生した怪奇現象。鎖塚。瞳に浮かぶダルマ型の影――呪いは次第に拡大し、やがてひとつの街を破滅に導いていきます。いったい、呪いの正体は何なのか? どうすれば助かるのか――現代編はいわゆるパニック小説です。
いっぽう、選評で絶賛されていた過去編は開拓時代の北海道を描いております。淡々とした文章で鮮やかに描かれていく悲劇。北海道旅行には何度も訪れたことがあったのですが、こんな黒歴史があったとは知りませんでした。現代編で起こっている事件とどういった関係があるのだろうか? と想像をふくらませながら読んでいくと、更にどんでん返しが待っていました。
ミステリーとは違うと思いますが、なかなかに楽しませて頂きました。
紙の本
まずタイトルが下手ですねえ。でも、なんとなく『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作らしいっていうか・・・。しかもねえ、この手では山田風太郎『地の果ての獄』っていう大物があるわけで、やっぱり佳作でしょ、いいとこ・・・
2009/06/22 20:36
6人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながら思ったんですね、これって第6回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作、じゃなくて江戸川乱歩賞じゃないの?って。歴史を扱っている、それだけじゃあないんです。描き方が似ている、何に、って早瀬乱の『三年坂 火の夢』『レイニー・パークの音』に。時代もですが、全体のトーンが。ま、こういうのを読んでいるから私の明治嫌いが進行してしまうんですが・・・
でも、やはりこの話を理解するには、北海道旅行、出来れば網走方面のバスツアーも経験があったほうがいいと思います。ちなみに我が家は一昨年、家族四人で3日間、北海道を横断するバス旅行をしました。移動距離、なんと1200キロ、毎日殆どバスに乗りっぱなしという強烈な旅でしたが、実はそこでこの小説に関連する話を見聞きしたのです。
それは網走刑務所を見て札幌に向かう途中でした。バスガイドさんが北海道の開拓史、特に中央道路の建設と、それに駆りだされた囚人たちの置かれた苛酷な状況、そして人に知られることなく死んでいった彼らと、それを弔うために作られたのが鎖塚のことを知っておいて欲しい、といい、道の脇に点在する鎖塚を指し示してくれたのです。
マイカーでは気づかず通り過ぎてしまうだろう鎖塚。もし、北海道旅行が単なるグルメ目当てや、旭山動物公園や知床で動物を見るだけのものであったら、桂の『呪眼連鎖』の描く暗黒史も他人事として読んでいたかもしれません。やはり旅行にガイドは必要だな、と思った次第。
で、全然関係ないんですが、この『呪眼連鎖』というタイトル、なんとかならんでしょうか? だって、どう見ても高杉良『呪縛 金融腐蝕列島』ですよ。字数は違うんですが、雰囲気が。絶対センス悪いです。そういう意味ではブックデザインも同類。この雰囲気って荒山徹です、ずばり『柳生薔薇剣』がそれ。雰囲気はともにチープだし。損ですよ、名前だって桂美人みたいだし・・・
いつもならもっと雰囲気ある装画を描くはずの浅野隆広を、装幀の中川まり(SINK graphic)が活かしていない。勿体無いです。ま、宝島社らしい、っちゃそれまでなんですけれど、会社のイメージが「ブックデザインのセンスがない」ではねえ。同じチープでもマガジンハウスの装幀には主張を感じるんですが、宝島社は・・・
閑話休題。全体の構成はプロローグ、八章、エピローグ、解説(茶木則雄)となっています。内容ですが、カバー折り返しには
受刑者の自殺が相次いだ北海道・北見刑務所。自殺を不審に
思った遺族から調査依頼を受けた弁護士の伊崎晋介は、独房を視
察中に意識を失ってしまう。原因の分らぬまま逃げるように東京に
戻った伊崎の右眼には、不思議な影が浮かび上がるようになっていた。
鎖で繋がれた死体、サーベルを持った男、眼に映る黒い影……。現
代と過去がリンクし、伊崎たちに“呪い”が猛威を振るい始める。事
件のカギは、明治維新後の北海道開拓の歴史にあった。
とあります。ふむ、山田風太郎『地の果ての獄』を思い浮かべたら、桂には酷かな、なんて思うんですがどうでしょう。ちなみに、私、読んだはずの風太郎本の内容、完全忘失なので、イメージ比較だけなんですが。でも、一ヶ月のうちに二人が死に、呪いという噂も立つ四番保護房と、自殺した宇治原や小森の面倒をみた刑務所内に蔓延する奇妙な症状というのは悪くはありません。
でも、登場人物に魅力がない。またヘタレなんです。しかも弁護士。ヘタレは弁護士になれないでしょう、司法試験受かるはずないし。伊崎晋介は川上法律事務所に勤務する三年目の弁護士。生まれつき小心で要領が悪く「空回りの晋介」とあだ名される。そのせいもあって、最近は事務所にとってどうでもいい仕事ばかり担当させられた結果が、不幸を招き寄せることになります。
甘い、っていう点ではもう一人の主人公、元自由民権運動家の河内泰造にも魅力がない。このお話では信念があるわけでも勇気があるわけでもなくて、ただの浅慮。つまり、現在、過去という二つの舞台に二人の主人公が現れるんですが、ともに人間としての深みがない。こういう小説は困ります。
男は総じてダメ。北見刑務所増築工事のときに、鎖につながれた骨を掘り起こしてしまう大田健治も、その父で健治を除く従業員が二人という大田電気という会社の社長の大田も脇役を出ません。無論、事件のきっかけを作った役割は重要ですが、個性がない。北見刑務所刑務官で保安課長の蓮池は、ちょっといいかな、とは思いますが平均を出ない。
造形として評価できるのは、晋介と同じ事務所に勤める美人で性格のよい新人弁護士東城加奈子です。ま、人物が描かれることは殆どありませんが、ポジションがいい。それと泰造の母ミネ、です。日本のお母さん、とでもいいたくなる存在。ユニークさはありませんが、心に残ります。
そういう意味では明治篇に登場する連中はまだいいです。網走分監初代分監長で、南下するロシアに対する防衛のための中央道路の建設に闘志を燃やす有田四郎、アイヌの長老で、まじない師、そして薬師でもあるアシクネホツネも強烈です。でも、やっぱり小悪党 ましらの坂東には敵いません。私は大嫌いで坂東が登場するたびに「死ね」って思うんですが、実は・・・
『このミステリーがすごい!』大賞ではなく優秀賞だった、というのが何となく分かります。ただし、どちらかというと佳作レベルじゃないか、って思いはしますけれど