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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.11
- 出版社: ワークスコーポレーション
- サイズ:21cm/192p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-86267-040-3
- 国内送料無料
紙の本
造本解剖図鑑 紙から読み解く本づくりの極意 (DTPWORLD ARCHIVES)
素材とデザインの視点から、紙とブックデザインの関係を解剖。さまざまなジャンルの本を取り上げ、本の構成要素ごとに紙の特徴や扱い方などを解説し、本のしくみやアイデアの一端を読...
造本解剖図鑑 紙から読み解く本づくりの極意 (DTPWORLD ARCHIVES)
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商品説明
素材とデザインの視点から、紙とブックデザインの関係を解剖。さまざまなジャンルの本を取り上げ、本の構成要素ごとに紙の特徴や扱い方などを解説し、本のしくみやアイデアの一端を読み解く。紹介した紙の見本も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
『ブックデザイン ミルキィ流』とこの本の二冊があれば、装幀の仕事がどういうものか、よくわかります。はっきり言って、創造です、アートかもしれない、そこまで思います。でも、もっと奥がある、そう思わせるのも、この二冊。お宝、って言っていいかも・・・
2009/02/24 20:33
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ブックデザイン ミルキィ流』(毎日コミュニケーションズ2008)に続くミルキィ・イソベの装幀書ですが、今回のポイントは「紙」です。私たちの日常生活になくてはならない、そして何より本に欠かせない「紙」です。函、帯、カバー、表紙、見返し、扉、本文、それを自分が装幀した実例で示してくれます。
紙だけで本ができるわけではありません。中身の文は当然過ぎて触れられませんが、印刷抜きの本はありえません。その効果、テクニックも含めての公開です。さすが、インキの種類にまでは話が及びませんが、でも紙というもので造本を読み解いた、とは至言です。
私の文章だけでは『ブックデザイン ミルキィ流』と似た印象を受けるかもしれませんが、実物を見れば全く違うものだということがよくわかりますので、是非書店で確認してください。ただし、前もって言っておきますが、『ブックデザイン』と『造本解剖図鑑』は、それぞれ優れた本ですが、互いに補う関係にあるといってもいいものなので、できれば併行して読むことをお薦めします。
それが分かったので、私はこの本を読み終わったあと、知人の画家さんにミルキィの二冊の本を是非読んで欲しい、とメールを入れてしまいました。それどころか、私はミルキィがこの本の出版記念をかねて開くというセミナー情報を見つけ出し、参加までしてしまいました。(それ、無料のセミナーでした、感謝です)
それはともかく、なぜ画家さんに連絡をしたのか。実は彼が最初の画集を出すとき、自分の作品を仕上げる時と同じように完璧なものにしようと苦労したことを知っていたからです。もし彼が二冊の本を読んで造本のことをもっとよく知ったら、或はミルキィが画集の装幀を任されたら、凄いことになる、そう予感したからです。
そう、この本にはブックデザインに感心を持つ人、装幀家を目指す人、紙が好きな人、印刷物というかなにより本を愛してやまない人が望んでもなかなか得ることの出来なかった情報が満ち溢れています。実例で示している、と書きましたが、それは『ブックデザイン』のそれとは全く異なります。
ともかく情報の質と見せ方がいいんです。前著ではブックデザイン全体を見せましたが、今回は紙がテーマです。自分が装幀で使った紙がどのようなものなのか、その様子を示すために素材のアップ写真がスケールを変えながら使われていますが、二次元情報でもこれであればそれなりに質感まで理解できる、そういう優れたものなのです。
しかもです、巻末には、用紙見本の手に入れ方が、示されているのですが、そこには請求先の社名とHP、具体的な入手方法、電話番号、場合によっては担当部署、担当者名までも記載されています。そして極めつけは「特別綴じ込み・用紙見本一覧」です。憶えておられるでしょうか、私は以前、菊地信義『新・装幀談義』(白水社2008)の書評の最後のほうに
※
希望としては角背本を納めた函の実例、函から引き出すときの写真も欲しかった。それと紙です。菊地が例としてあげた代表的な紙を使い分けて本を作り、この紙は第一章に使っています、なんてやってもらったらもっと楽しめました。時々、実例がありますが、巻末にこの本で使った紙や活字のデータがあったほうがいい。ま、そんなことやってると、本の値段がもっと高くなっちゃうかもしれませんね。
※
と書きました。ルキィ・イソベがそれを読んだとは言いません。でも、それがここで希望した形で実現しているのです。
ミでも、二冊の本で示されたテクニックと基礎。それをここまでしてくれた本があったでしょうか。
ミルキィ・イソベが2008年に出した二冊には、本に興味を持つ人なら誰だって知りたかった、でも知ることができなかった装幀の基礎とテクニックが、いやそれ以上のことが美しいレイアウトと印刷、分かりやすい実例、何より考え抜かれた装幀で示されています。
そして読めば読むほど、装幀という一見小さなものが、やりだせば本という物理的なものだけではなく、場合によっては改行位置から使用字数、使用文字の形態まで変える、まさに文章そのものにまで手をつけかねない限りなく大きな世界であることに気付かされます。
そして出来上がった本は、一人著者だけのものではなく、編集者、装幀者、装画家、用紙供給会社、印刷会社、製本会社といった奥付に記載欄に書ききれないほどの沢山の方々の努力の結果であることに。それだけの人々の「やるき」を引き出せなかった本は、結局、フツーの本で終るということを。
最後にデータ篇。
監修 ミルキィ・イソベ
ブックデザイン ミルキィ・イソベ
デザイン 明光院花音+ミルキィ・イソベ(ステュディオ・パラボリカ)
上原広+矢崎学(フレア)
DTP 株式会社フレア
初出/執筆
「DTPWORLD」2005年4月号~2008年3月号
2005年4月号~2007年8月号 「DTPWORLD」編集部(佐々木剛士/山崎典夫)
2007年9月号~2008年3月号 オブスキュアインク
ここで一つだけ疑問です。この初出データと監修ミルキィ・イソベという文からは、文章を書いたのは「DTPWORLD」編集部(佐々木剛士/山崎典夫)とオブスキュアインク、というようにしか読めないのですが、その解釈で正しいのでしょうか。
目次
・はじめに
・本書の使い方
・紙とブックデザインの正しい関係
・紙の基礎知識
紙から読み解く「ブックデザイン」
クラシコトレーシング 「怪談集 花月夜綺譚」
ウラノスGA 「ゴシックハート」
地券紙 「出逢いが足りない私たち」
ムーンカラー 「黄金旅風」
ミセスB 「愛蔵版 ぼくの地球を守って」
エコジャパンR 「文学的商品学」
OKミューズガリバーもみしぼ 「エリアーデ幻想小説全集」
サンAクラフト 「ナルシスの祭壇 山本タカト画集」 など
ブックデザインから読み解く「紙」
ボス 「S倉迷妄通信」
タントセレクトTS‐3 「寿[kotobuki]魂」
アルグラスFCF128 「一、二、三、死、今日を生きよう!―成田参拝」
ハイピカE‐2F 「オープンソースの成功??政治学者が分析するコミュニティの可能性」
モス 「アルトー後期集成I」
タントセレクトTS‐3 「楠本まき選集V」
アルグラスLCF128G 「shor t hope」
ミセスB 「中川翔子×蜷川実花写真集 しょこれみかんぬ」 など
・用紙見本の手に入れ方
・特別綴じ込み・用紙見本一覧