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紙の本
「まず現実を直視して正気に戻らなければならない」
2009/04/17 16:20
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は、「文庫版まえがき」において、本書の単行本版(05年3月発行)は郵政民営化論の「内在的批判」であったとするが、「文庫版あとがき」において、友人の中にさえ、本書の単行本版を「キワモノ」と評した者がいたことを述べる。まことに「あの頃」はわが国の多くが狂っていた。後世の識者は、まちがいなく「狂気の時代」と評価するだろう。
そもそも「構造改革」とはいったい何だったのだろうか。佐伯啓思氏も述べるが「これほど奇妙な運動が90年代以降十数年にわたって日本の世論を動かし、政治を動かしてきたことを不思議に思う」(『大転換』161頁)。どう見ても、国民の多くが浮かれ狂っていたとしか考えられない奇妙な現象であった。
そして、いまだに当時の錯誤・迷妄状態から覚めていない人々も少なからず存在するように見受けられるのは、驚き呆れるとともに、憂鬱感と絶望感に襲われる。
著者は、「文庫版まえがき」において、「この数年だけをとっても、改革という名の下に失われた日本の美質や資産、そして人々のエネルギーの膨大さを思うとき、溜息をつかざるをえない」と述べるが、我々も溜息をついているだけではならないだろう。著者とともに「まず現実を直視して正気に戻らなければならない」。
とはいえ、評者(CAM)は、これまで一貫して自民党に投票してきたし、「公益事業民営化論」そのものは、方向性というか一般論としては積極的に認める立場(郵政民営化について言えば、野口悠紀雄氏も言うように遅すぎた改革であり、特に金融改革という観点から、時期を完全に失しているという意味でナンセンスだと考える。 東谷氏が言うように、あまりにも矛盾が多い小泉政権による郵政民営化は禍根を残す、と考える。)をとる者だが、近づいてきた衆議院選挙で、どういう投票行動をとるべきか、と考えると、またまた溜息をつかざるを得なくなる。
政権をとると叫んでいる政党にしても、政局と選挙しか眼中にないような党首の姿勢、そしてそれを抱き続ける党の体質を見ると、とても信頼できるとは思えない。
いったい、日本の政治は、経済は、どうなっていくのだろう????