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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.5 77件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.12
  • 出版社: 集英社インターナショナル
  • サイズ:20cm/373p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-7976-7184-1

紙の本

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言

著者 中谷 巌 (著)

リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった! 構造改革の急先鋒であった著者が記す、懺悔の書。グローバル資本主義の本質...

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資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言

税込 1,870 17pt

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商品説明

リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった! 構造改革の急先鋒であった著者が記す、懺悔の書。グローバル資本主義の本質とは何かを明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

中谷 巌

略歴
〈中谷巌〉1942年大阪生まれ。ハーバード大学博士。三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長。多摩大学教授、同大学ルネッサンスセンター長。一橋大学名誉教授。著書に「痛快!経済学」など。

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著者/著名人のレビュー

 百年に一度と言われ...

ジュンク堂

 百年に一度と言われる未曾有の金融危機を招いたアメリカ型の資本主義への批判の本が相次いで出版されている。本書は構造改革推進の急先鋒であった著者が、留学中にアメリカの豊かな社会を目の当たりにしたことで新自由主義の信奉者となり、後にその誤りに気づき転向するに到った軌跡を記し、懺悔の意を込めて発する規制なきグローバル資本主義への警告の書である。

みんなのレビュー77件

みんなの評価3.5

評価内訳

紙の本

先生、頑張って下さい

2009/03/03 13:51

13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:hisao - この投稿者のレビュー一覧を見る

中谷先生は不肖私とほぼ同年である、しかも高校が同窓らしい
ハーバード大学の博士号を取得、
一橋大学教授としては当時最もスタンダードなマクロ経済学教科書を世に出し、
小渕内閣では“経済財政諮問会議”の前身“経済戦略会議”を興し、
その経済理論を実践するため民間に転出、ソニー他数々の社外取締役やTVコメンテーターを勤められた方である
我が母校にそんな秀才が居たとは驚きました
だからどうした?自慢している訳ではない
ただ本書にも盛られた先生の身の上話、同年齢の人間としてとても良く解る気がする
70年代、あこがれのアメリカに渡って見た夢のような学園・生活環境
刻苦勉励して修得した“近代経済学”
帰国後はいちはやく学会・官界・政財界・マスコミの寵児となる
“マーケット・メカニズムが機能する社会に生まれ変わればアメリカのように豊かで幸福になれる”
アメリカ自体微妙な変遷を遂げていた
戦後アメリカの繁栄を導いたとされるケインズ主義・新古典派総合経済学から80年代レーガノミクス、マネタリズム、新自由主義へ
先生は疑う事もなくアメリカ流市場原理主義、グロ-バリズムを礼賛し構造改革の急先鋒として旗振りにのめり込む
今になって先生の著した教科書がアメリカ経済学の引き写しだと言う方も居るが、
それも当然の事、先生は確信をもって唯一最高の“アメリカ経済学”を日本に流布すべく努められたのだ
アメリカ!アメリカ!アメリカのように!
そして漸くたどり着いた今、目の前に拡がる荒涼たる風景を見る
国税庁資料でも年収200万以下の給与所得者は1000万を超え、4人に1人、4世帯に1世帯は貧困世帯
より正確に所得格差を表現する“貧困率”(中位所得者が稼いでいる所得の半分以下の所得しか稼いでいない貧困者が全勤労者に占める比率)は1985年には12.5%だったのが20年経って26.9%に跳ね上がった(所得再配分前)
雇用流動性を目的とした政策で日本全体の労働者の3分の1が非正規雇用労働者になり、雇用不安に怯える事になった
お手本としてきたアメリカはどうか?
公的資金による救済を求める企業の経営者が平然と億単位のボーナスを手にして恥じない
一方に5000万人もの労働者が健康保険も加入出来ない状況下で、所得上位1%の人達が国民所得の17%を取り込んでいる
格差拡大、中流消滅、医療福祉後退、地球環境破壊
自分が推し進めていた“構造改革”は日本人を幸福にしたのか?自分は何をしていたのか?何を求めていたのか?
先生自身、本書は“懺悔の書”だと言う、先生は“良心の人”だと思う
本書では格差の拡大による惨状、福祉行政退廃の現状、そしてそれを作りだしたのがアメリカ・エリート層を中心として推進されてきたグローバリズムであったと詳述されている
しかし一方でグローバリズムは“パンドラの箱”流れは押しとどめる事が出来ないと言われる
“グローバリズムと言うモンスターに鎖をつけるのが最善だ”と主張する
どう鎖を用意するかは経済学の課題だろう
しかし先生はすでに“経済学”を否定してしまったかのようである
自ら書かれた経済学教科書に対する理論的反証もない
“経済学”“資本主義”“国家”は人々を救えないと言ってしまわれる
“民主主義も近代経済学もエリート支配のツールだった”とまで言い切ってしまわれた
その通りかも知れない
しかしそこまで言えば玄人筋には評判が良くない事だろう(現に池田信夫氏なんかはクソミソに批判している)
学者の“転向”は並でない、先生は学者生命を断ち切られる事ぐらいは覚悟されているかも知れないが、学者生命を断ち切られては折角の主張に意味がない
”経済学”に足りぬ所を何をもって補うか?
先生は一神教思想(自然を征服するものと考える)を批判し
日本神話に淵源する自然ぐるみの共同体思想、長期互恵戦略に世界救済の鍵があるかの様に主張される
オバマ大統領が掲げた如く“政策”が人を動かすには“理念”が不可欠である
国民を動かせない“政策”は必ず失敗する
金銭に追われる現代の精神的荒廃に、まず価値観の多様化、共同体思想再評価など“価値革命”から始めよと言われるお考えは理解出来る(私も小泉政治の最大の罪は人心を間違った方向に誘導した事だと思う)
しかしその精神の淵源に“日本神話”を持ってこられたのは少々乱暴にすぎないか?
残念な事に“日本神話”はアメリカ人の“メイフラワー”、フランス人の“フランス革命”の“神話”とは異なる
強制されたとは言え“自国民の手による塗り潰し”という数奇の歴史を辿ってきたのだ
アジア諸外国の反感もさりながら、大方の日本人にとってすでに“日本神話”は神話でない
日本人共通のアイデンティティ形成に“日本神話”を持ってくる事は如何にも無理なのだ
良くも悪しくも日本の神様は融通無碍・無色透明何でもかんでも呑み込んでしまう
先生の神様は“アメリカ教”から“日本教”に変わっただけなのかと皮肉られないか心配だ
“理念”の上に立って、最終章では具体的政策を提言されている
還付金付消費税(ベーシックインカム)等による弱者救済・安心安全重視の経済政策に触れておられるものの、“経済学”を否定されての話だからちょっと具体的迫力がない
“誰でも言っている事だ”と軽くいなされる方も多いようだ
でも“誰でも言っている”からダメなのか?
問題は“誰でも言っている”恐らく正しいと思われる政策が何故実現出来ないのかと言う事だ
本書は経済理論書ではなく啓蒙書だろう、実に解り易い
しかし“優等生”の答案だけに、すっかりグローバリズムに毒された多くの人達には“懺悔の言葉”も口先だけに聞こえてしまうようだ
先生は“懺悔”を口にする前に “反グローバリズム”の旗は振られなかったのだろうか?
“グローバリズム”との体を張った“闘い”はなかったのだろうか?
先生は日本の経済政策や取締役会議長までつとめられたソニーの経営の中枢に居られた方である
何故先生の力及ばず今日に至ったのか
“嘘を付いていました”と懺悔する前に、その実戦談を聞かせて頂けておれば“懺悔”も“政策論”も余程印象が異なったと思えます
先生にも、かって盟友であった日本グローバリズムの立役者・竹中平蔵氏ほどの戦略眼が欲しい所です
“すっかり吐き出したから、後は読書三昧”などとは言って欲しくない
まさかに榊原英資氏の様に“経済学者卒業”と言う訳でもあるまい
私達が先生に期待するのはやはり“学識”を武器にした“改革”実践なのだ




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紙の本

焦燥感に満ちた一冊

2009/01/11 14:34

30人中、28人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 金融危機を迎えた現在に 新自由主義をかつて主張した中谷の自己反省の一冊。

 ここ数年経済学の本が面白く読めるようになってきた。仕事との絡みが増えたという理由以上に 「経済学とは人間をどのように考えるのか」という学問であることが分かってきたからだと思う。経済とは ある意味で 結局「人間はどのように考えて どのように行動するのか」を追求する極めて人間臭いものだ。そう考えた途端に 心理学、哲学、歴史学との太い結びつきが眼前に現われて 非常に面白くなってきたところだ。

 本書で中谷は 日本の歴史や宗教に踏み込んでいる。決して 歴史や宗教の専門家ではないであろう 中谷が それらに踏み込まざるを得なくなった点に 経済学の本質が表れている。理論経済学が そもそも「合理的な判断をする人間」を前提としたことが 逆に人間が不合理な生き物であることを浮かびあがらせたということだ。
 若しくは 人間の合理に 宗教や哲学を入れなくてはならないことに経済学者が気がついてきたのだということかとも思う。

 本書での中谷は いささか拙速かつ蛮勇に満ちている。中谷が描き出すブータンやキューバの桃源郷ぶりに関しては 情緒的であり そこには精緻な経済学者の視線が見られない。但しそこに 中谷の焦燥感を感じた。グローバル資本主義というパンドラの箱があき 色々な化け物が飛び出してきたという中谷自身の恐怖感が その「拙速」ぶりに 透けて見えてくる思いがした。そうして その気持ちを伝える迫力において 本書は読みがいがあった

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紙の本

「歴史も文化的伝統もまったく異なるアメリカ型の資本主義を日本がそのまま受け入れる必然性はどこにもないのだ。」(p.366)

2009/03/22 12:53

12人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本には外国かぶれの人が多すぎる。敗戦後は、とりわけアメリカかぶれの人が多い。著者は現在の悲惨な状況を見て、ようやく自分の拝米イデオロギーが間違いであったことに気づいたようである。人間社会に完璧な制度などない。もしあれば、人類の長い歴史の中で見つかっているはずである。イギリスがいい、ドイツがいいなどなどいつも他国と比較して、日本を論うパタンが後を立たないが、紛争や貧困等に見舞われていないならば、どの社会もいつの時代もそれほどよくもなければ悪くもないのが実状だろう。
 
 著者はアメリカかぶれからは脱したようだが、今度はキューバやブータンの例を引き合いに出してきていて、他者依存型の考え方には終止符が打てていないようである。大切なのは、他の国がどうかではなく、日本にとって(日本国民にとって)なにがよいかという本質的な議論をして、より良い提言をまとめ、国民の賛同を集めることである。はたして今の日本人に上記の国の生活水準を選び取るだけの精神があるだろうか。
 
 著者の改革案には大筋で賛成できる。消費税は早く上げないと、若い人たちが困る時代がすぐそこまでやって来ている。マスコミは、税金が高くなることに反対すれば、視聴者の同意が得られ視聴率が上がると思っているようだが、冷静に将来を見据えて報道していかないと、先の戦争の片棒を担いだのと同じ過ちを繰り返すことになるだろう。
 
 著者の提案する「還付金付き消費税」はなかなかよい提案だ。地方分権案にも賛成できる。ただ、環境・観光立国で日本を再生できるかは疑問の残るところである。長期的な視野に立って考えるならば、産業分野を政治的に判断するのではなく、教育にもっと投資するべきである。
 
 日本社会において、年金、医療費の次に考えるべきは教育である。格差の拡大を加速させている一因は、教育機会の不均等が進んでいることであろう。現在国立大学の授業料は535,800円である。(入学金は282,000円で初年度納入額は817,800円にもなる。)この40年ほどで約45倍にもなっている。他にこれ程料金が上がったものを思いつかない。公教育は基本的に無料にすべきである。(ただし、それに相応しい選抜を行うことが前提であるが。)
 
 そうすれば、広く人材を発掘できるうえ、国民の税金で恵まれた環境で学ぶことができたことに対する感謝の気持ちも芽生えるのではないかと思う。貧しくとも、才能が有り努力する者が報われなけらば、その社会がいずれ滅びるのは、歴史の必定である。著者には、また政府に戻る努力をし、自らのつけを清算してきてほしい。

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紙の本

「問題提起」としては心を引きつけられる点が多いが・・・・

2010/09/05 18:40

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る

 広範な論点に及ぶ内容には「問題提起」としては心を引きつけられる点が多い。また、本書で述べられた多くの点について、「結論」としては同意できるところも多い。たとえば、著者が、本書で述べる「転向」の意味について、「私は構造改革そのものを全面否定するようになったわけではない。しかし、格差拡大を助長し、日本社会が大事に育ててきた社会的価値を破壊する改革には賛成できなくなった」とされている(p.32)ことには同感できる。  さらに、随所で述べられているエピソード、例示等も貴重で興味深いものが多く、「読み物」としては面白い書物である。

 しかしながら、本書には、思考の深さ、重さというものがあまり認められず、叙述が論理性に欠け粗雑すぎると感じる部分が多い。全体に緻密さに欠ける記述が多いのであるが、一つだけ具体例を挙げる。

 著者は、次のように述べる。

>小泉改革の最大の課題であった郵政民営化は曲がりなりにも実現したが、最大の成果は、郵便貯金や簡易保険で集められる資金が自動的に財政投融資となって不要不急の公共事業に流れていくという仕組みにくさびが打ち込まれた点にあった。この功績はこれからも語り継がれることになるだろう。(p.59)

 しかし、郵便貯金の資金運用部預託義務は、すでに01年度に廃止されているから、以上は、小泉内閣による郵政民営化政策の成果ではない。 すでに資金運用部預託義務が廃止されているところへ、さらに郵政事業を民営化したところで、それが「資金の流れが変わる」原因となることはあり得ない。公的金融を縮小したいのであれば財投債を見直す必要があるはずである。公共事業の量を決めるのは財政政策であり予算であって、郵貯民営化と直接の関係はない。野口悠紀雄氏、リチャード・クー氏、池尾和人氏などが述べられているとおりである(諸氏の著作についての評者の書評を参照)

 著者は、郵便貯金の資金運用部預託義務がすでに01年度に廃止されているという重要な事実さえご存知なかったように見受けられるが(そのこと自体が驚くべきことであり、このような誤解の持主が堂々と一国の政策形成に関与したことは恐るべき事実であるが)、それにもかかわらず、著者は、上記の後に次のように述べる。

>しかし、田舎にあった小さくて便利な、村の人たちに愛された郵便局が民営化され、採算が合わないという理由で次々に廃業していくことにどれだけの意味があったのだろうか。さぞかし、日本の昔懐かしい風景がひとつ消えて、さびしい思いをした人たちが大勢いたことだろう。

 「しかし」という接続は、「すでに述べたことに対比的で、ある観点からは相反するようなことを続けて述べるのに使う語」(広辞苑)であるはずであるが、「しかし」の後で述べられている上記部分は、単なる感傷論のレベルを超えるものではなく、この前後が論理的に「対比的」だと言えるだろうか。

 時の政権が「改革の本丸」と称して異例の解散まで打って争点とされた政策結果について、「これからも語り継がれることになるだろう」とまで「功績」を認めながら、続けて「採算が合わないという理由で次々に廃業していくことにどれだけの意味があったのだろうか」と述べ、「日本の昔懐かしい風景がひとつ消えて、さびしい思いをした人たちが大勢いたことだろう」と続ける展開は論理整合性に欠けており、経済学者によるものとは到底思えない。郵政民営化政策とは、「どれだけの意味があった」のかを具体的に検証することなく、「日本の昔懐かしい風景」が消えて「さびしい思い」をするというような評価ですませ得るようなものだったのであろうか。

 また、著者は、第3章でキューバやブータンでの社会観察を述べるが、だからと言って、現在の日本が両国の制度に範を求めることが現実的であるわけもないだろう。他国の例を挙げ、評価するのならば、どういう点を日本社会が参考にできるのかという点を具体的・総合的観点から考察するのでなければ、単なる感傷論か旅行記でしかないだろう。 ブータンが国民総生産よりも国民総幸福量の向上を目指すという国家理念を掲げ、その方針を多くの国民が支持したということは結構なことだとしても、我が国の今後を考えるにあたって、その例を制度的にどのような具体化していこうというのだろうか。 そうした視点もないままで語るだけでは、若い頃の著者がかつてのアメリカ社会に魅入られて「アメリカ流構造改革の急先鋒」として活動した(p.32)ことの裏返しに過ぎないのではないか。しきりにブータン社会を礼賛されるのを読んでいると、かつて北朝鮮を地上の楽園と称した人々、毛沢東崇拝思想を熱く説いた方々を連想したくなる。

 著者は「まだ十分な懺悔はできていないかもしれないが、・・・・思い切って私の拙い思いを本書の形で上梓させていただくことにした」と述べる(p.3)。 たしかにその行為は勇気あるものとも言えよう。しかし、評者のように「よき保守主義者」たらんと考えている者にとっては、簡単に「懺悔」だの「転向」だのをできる人というのはどうも信用できない。著者に学者としての真の誠実さが残っているのならば、本書の内容についてさらに思考を深め、丁寧に実証的に論理を積み上げていくという精進を願いたいものである。

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キリスト教思想にまでさかのぼったグローバル資本主義批判

2009/02/06 21:18

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

新自由主義に席巻されたアメリカの経済学を信奉してきた著者が,そういう過去を自己批判する.最近はつよく批判される小泉政権の政策については,郵政民営化で公共事業に自動的に資金がながれるしくみにくさびをうった点を評価しながらも,いなかの特定郵便局まで民営化して採算重視することへの疑問をのべている.

しかし,著者の議論はそれだけにとどまらない.格差や貧困ををうみだし環境を破壊する近年のグローバル資本主義を批判するだけでなく,一神教であるキリスト教にささえられた米英の資本主義や土地の私有制などにもメスがいれられる.その一方でグローバル資本主義を拒否したブータンとキューバに羨望の目がむけられる.また,自然との共生を重視してきた日本人の思想をみなおし,「商人道」から発した日本の商慣習を評価し,日本の自動車産業の成功の理由をそういうところにみている.また,日本「再生」のためにも,さまざまな提言をしている.

しかし,その一方で,批判した資本主義を「歴史を逆行させることはおそらくできないだろう」というように,かんたんにみとめてしまっている.資本主義のルーツにまでさかのぼった議論をするのであれば,改良主義的な提言よりも,もっと根本的なみなおしの議論がほしかったようにおもう.

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2008/12/25 02:19

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