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- カテゴリ:幼児
- 発行年月:2008.11
- 出版社: 岩崎書店
- サイズ:25×25cm/31p
- 利用対象:幼児
- ISBN:978-4-265-07011-4
紙の本
花のかみかざり
うさぎには、だれにもいえない…わすれられないできごとがありました。それは…。だきしめるのは愛しているしるし。だきしめられるのは愛されているしるし。ずっとずっといつまでも心...
花のかみかざり
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:18,370円(167pt)
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商品説明
うさぎには、だれにもいえない…わすれられないできごとがありました。それは…。だきしめるのは愛しているしるし。だきしめられるのは愛されているしるし。ずっとずっといつまでも心に残る1冊。【「BOOK」データベースの商品解説】
ある日、うさぎの看護師は、一緒に散歩に出かけたたぬきのおばあちゃんからやさしいと言われ、泣いてしまいました。うさぎには、誰にも言えない、忘れられない出来事があったのです。それは看護師になったばかりの頃…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
いもと ようこ
- 略歴
- 〈いもとようこ〉兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学油絵科卒。「ねこの絵本」「そばのはなさいたひ」でボローニャ国際児童図書展エルバ賞2年連続受賞。「いもとようこうたの絵本」で同展グラフィック賞受賞。
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紙の本
だきしめるのは 無言の 全面的な 存在肯定の しるし。
2008/11/24 22:35
18人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰もが多かれ少なかれ傷を抱えている。
ずっとしまいこんだまま誰にも話せないこともある。
その秘密をうさぎがたぬきのおばあちゃんに話せたのは、
おばあちゃんがうさぎを、だきよせたから。
「わたしに はなしておくれ」という言葉より前に
だきよせるという行為があったからこそ、
うさぎは胸にずっとつっかえていたことを話すことができたのだ。
ずっと話せないでいたのは、うさぎはそれを
取り返しのつかないことだと思っていたから。
さいごのねがいをきいてあげられなかったこと。
それはもっとも大きな傷になる。
それがさいごだとわかっていたら、
もっともっとしてあげられたことがあっただろうと・・・。
取り返しがつかないことをずっとずっと考え続けてしまうこともある。
でも、うさぎは、その傷から逃げずに現場に居続けた。
苦しみながらも居続けた。
そのときの学びから逃げずに、
おおかみのおばあちゃんにはしてあげられなかったことを、
他の誰かにしてあげようと決意したのだと思う。
だから癒しのときが訪れた。
おおかみのおばあちゃんにしてあげられなかったことを、
たぬきのおばあちゃんにしてあげることで、
うさぎはおおかみのおばあちゃんに謝ることができた。
たぬきのおばあちゃんはうさぎをだきしめることで
おおかみのおばあちゃんの代わりに許しを与えることで
介助されているという受身の立場だけではない存在になった。
花のかみかざりは、うさぎがたぬきのおばあちゃんに
つけてあげたものだった。
それをたぬきのおばあちゃんからうさぎにつけてあげるのだ。
ふたりが介助する者される者の立場を超えたことを
このかみかざりは象徴しているように思う。
最初の絵と最後のひとつ前の絵は、
うさぎにかみかざりがついていないのといるのと、
一見それしか変わっていないように見える。
だが実はその間に起こった変化はとてつもなく大きいものだったはずだ。
たぬきのおばあちゃんがうさぎをだきよせたとき、
それはうさぎへの無言の全面的な存在肯定として伝わったはずだ。
ここにいていいのよ。今までよくがんばってきたわねと聞こえたはずだ。
問題が自分のキャパシティーを超えていると思ったとき、
相手にかける言葉をなくしたとき、
人は逃げ出してしまいたくなるものだ。
だけど、逃げずに、それでも居続けること、
ここにずっといるよ、応援しているよと
静かに伝えることは、
自分が思っている以上に、意味があることだ。
抱きしめることは、あなたはあなたでいていいのよと伝える
最強の魔法であるに違いない。
紙の本
取り返しのつかない、失敗はないのかもしれない……。
2009/07/30 04:08
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品の主なテーマ
”だきしめるのは愛しているしるし だきしめられるのは愛されているしるし”
については、既に
wildcatさん、まざあぐうすさんお二方の素晴らしい評が
語り尽くしておられます。
いもとようこさんの作・絵による『花のかみかざり』。
こちらの書評を読んでから、手に取りました。
うさぎの看護婦さんが出逢った、たぬきのおばあさんとの対話。
誰にも云えない、忘れられないできごとを笑顔にひた隠しにしてきた
うさぎの看護師さんが、頑なな沈黙をほどいて語りはじめる瞬間には
じわっときます。
だきしめる/だきしめられる ということが
どれほど、ひとを緩め、癒やしていくのかということを
雄弁に語っているのは、実は沈黙でした。
看護師さんと、車椅子のたぬきのおばあさんとの
一見、何げないいつもの散歩光景のなかで
実は、とても寡黙な看護師さんだということが、わかります。
にこやかに、手際よく、そしてとても親身でありながら
「…………」という表現で語られる沈黙の深さ。
それは、うさぎの看護師さんが抱えていた過去の失敗から起きていました。
職業柄、絶対にしてはならないことを怖れからしてしまった。
そしてそれは、二度とおなじひとに償うことのできないこと。
最期の願い、というのはとてつもない重みです。
まして看護師さんのお仕事のなかでの、看取りだとしたら。
だからこそ、抱え込まれ封じ込まれた哀しみと
それをばねにした努力で、克服したのですね。
それでも、ずっと、そのことは触れずに笑顔と献身で
必死に償いを続けてきたのでしょう。
*****
やってしまった取り返しのつかないできごとを
ゆるやかに受けとめてもらって
初めて、ぽつぽつと語りはじめる看護師さんでしたが
それにしても
語りだすのにどれほどの勇気がいったことでしょう。
「もう、いいのよ。もう いいの」と赦されたあとで
代わりに思いの丈を語り、そして
まるで別人のように耀きはじめるラストとの対比が感動的でした。
そこにはハグすること、されることのあたたかさはもちろんのこと
別のひとに対してだとしても、過去の償いは受容されるという
力強い肯定がありました。
*****
評者のわたし自身には、看取りの経験は少なくて
生死を前にした、失敗というものの辛さは想像がつきません。
けれど
もう、封印してしまいたいと沈黙を守っている過去ならば
いろいろとありました。
そして、それは過去であるがゆえに、取り返しがつかず
それゆえに、ずっと旧い傷で在り続けました。
けれど
あるとき、親しくさせていただいた方がわたしに言いました。
そのとき、そのひとに、できなかったお返しやお礼や償いを
悔いたとしても
別のひとに、その分の貢献をしたらいいのよ、と。
うさぎの看護師さんが、たぬきのおばあさんに抱きついて
告白する場面の、その瞬間
そのことを、思い出しました。
泣きたくなりました。
紙の本
だきしめるのは愛しているしるし だきしめられるのは愛されているしるし~人間の究極の願いが込められた心あたたまる絵本
2008/12/23 10:39
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まざあぐうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
うさぎの看護師さんには誰にも言えない忘れられない出来事がありました。看護師になったばかりの頃、狼のおばあさんの最期の願いをかなえてあげることができなかったため、ずっと自分のことを責め続けていたのです。
ある日、たぬきのおばあさんを車椅子に乗せてお散歩に出かけたとき、おばあさんに花のかみかざりをつけてあげました。おばあさんは、少女に戻ったような顔をして喜び、「あなたは ほんとうに やさしいねえ~ としよりのきもちがよくわかるんだねえ~ あなたのようなひとに おせわしてもらって わたしは しあわせものだよ。あなたに おせわしてもらうひとは みんな しあわせもの・・」と何度も一人でうなずきながら言いました。
すると、突然、うさぎの看護師さんは、目にいっぱい涙をためて、うずくまって泣き出しました。そして、たぬきのおばあさんのひざに抱き寄せられて、ぽつりぽつりと話し始めました。
狼のおばあさんの最期の願いとはいったい何だったのでしょう。
たぬきのおばあさんは、悲しく辛い出来事を語り終えたうさぎの看護師さんをやさしくなでながら、花のかみかざりをそっとはずし、うさぎの看護師さんの耳につけてあげました。たぬきのおばあさんに抱き寄せられたからこそ、うさぎの看護師さんは語ることが出来たのでしょう。
介護を施しているうさぎの看護師さんが、介護受けているたぬきのおばあさんから深く傷ついた心を癒されたのです。花のかみかざりは、うさぎの看護師さんが、たぬきのおばあさんに与えた愛のしるし。そして、再び、うさぎの看護師さんの耳に飾られた花のかみかざりは、たぬきのおばあさんから返されたうさぎの看護師さんへの愛のしるし。
作者であるいもとようこさんのメッセージが絵本の最後のページに告げられています。「抱きしめる」「抱っこ」「ずっとそばにいる」、それは、「ねこの絵本」「そばのはなさいたひ」でボローニャ国際児童図書展エルバ賞2年連続受賞、「いもとようこうたの絵本 1」で同展グラフィック賞受賞した作者が絵本を描き続ける原点となっているメッセージではないでしょうか。作者のほのぼのとした絵の世界の奥にある重厚なメッセージは、過去の作品「しゅくだい」や「ずっとそばに」にも込められています。
抱きしめたい、愛したい。
抱きしめられたい、愛されたい。
それは、赤ちゃんからお年寄りまで、人間の究極の願いではないでしょうか。そんな大切な思いを忘れて私たちは生きています。子どもたちだけでなく、大人も癒され心温まる絵本です。高齢化社会となった今、いつまでも手元に置いておきたい絵本の一冊です。
紙の本
出版社コメント
2008/10/29 14:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩崎書店 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずう~~~っと長い間、だきしめられることについて、考えてきました。
わたしは、思うのです。
死ぬとき、だれかにだきしめてもらっていたら・・・・・・
死ぬのは、こわくないような気がするのです・・・・・・。
いもとようこ
***********
いもとようこさんの代表作『しゅくだい』が生まれるより、ずっと前から先生にはあたためていたテーマがあります。
抱きしめられたら、人はだれでも安心できる。スキンシップの大切さは幼い子どもだけではない。いくつになっても、どんなに年をとっても抱きしめられることのぬくもりはだれしも
欲している。でも大人になると、結婚してしばらくすると人はそれを忘れてしまう。いくつになっても人は愛し、愛されることを望んでいます。
その気持ちをどうやったら伝えられるか、ずっとずっと考えていた物語が今年やっと実を結びました。
ただ、悲しい、つらいだけの物語でなく、この作品には希望があります。
だれもが口には出さないけれど、きっと共感してくれる言葉がいっぱい詰まっています。
いもとようこ先生渾身の1作です。ぜひたくさんの人に読んでもらいたいです。
絵本は子どもだけでなく大人も癒される大切なものです。
抱きしめるのは、愛しているしるし。
抱きしめられるのは、愛されているしるし。
あなたもぜひ、愛する人を抱きしめてください。
(担当編集者コメント)