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商品説明
「思考と感性」について、映画史・絵画史・思想史・文学史・メディア史を横断して論じる。ゴダールをはじめ近代以降の文化史を築いた人や作品に深く分け入り、現代のメディア・テクノロジー、複製文化に対する論点も提示。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
蓮實 重彦
- 略歴
- 〈蓮實重彦〉1936年東京生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学大学院より博士号取得。映画評論家、フランス文学者。フランス政府「芸術文化勲章」を受章。
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紙の本
誘惑と期待
2009/06/02 15:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大変面白かった。これはおそらく「赤の誘惑」から続くフィクション論の続きで、ゴダールの「映画史」に引用されるマネの「映画」をめぐる考察から、テクノロジーによって「複製されるもの」の圏域での「声」の曖昧な拒絶について論じ、トーキーもふくめて映画とはすべて「サイレント映画」であると結論づける手続き、また、ゴダールの「マネ」とフーコーの「マネ」の比較から、フーコーの「孤独」へと話を進め、フーコーが「近代」に対してもった躊躇いと戸惑いを、ほとんど黙説法かと思われるような慎重さで分析し、その不可能性を可能性の中心に置き換えるかのように論を進め、さらにほとんど「事件」のようにダニエル・ユイレの「死」が出来し、ゴダール・フーコー・マネの三題噺が、ストローブ=ユイレ・マラルメ・セザンヌと交錯し、「違うあり方」をも鮮烈に垣間見せながら、ラストで無論予定通りであるだろうゴダールとフーコーの結びつきを夢想して終る。冒頭と結末がまるで「小説のように」配された「出来過ぎ」の感のある長篇エッセーで、時折近年の関心事であるらしい「批評すること=断念/覚悟」という主題を引き寄せながら、年相応に枯れた軽みのあるエレガンスの漂う文体も、なかなか気持いい。そろそろ小説の第三弾を読みたいと思った。