「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
厚労省役人でロジカル・モンスターの白鳥に、医療事故調査委員会への出席を依頼された田口。さまざまな思惑が飛び交う会議で、田口は、グズグズの医療行政の現実を知ることに…。メディカル・エンターテインメント第4弾。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
海堂 尊
- 略歴
- 〈海堂尊〉1961年生まれ。勤務医。「チーム・バチスタの栄光」で「このミステリーがすごい!」大賞、「死因不明社会」で科学ジャーナリスト賞を受賞。他の著書に「ナイチンゲールの沈黙」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
著者/著名人のレビュー
大好評の田口・白鳥...
ジュンク堂
大好評の田口・白鳥シリーズの最新刊がついに出た! 今回は今までとは違って、特に大きな事件にまきこまれる訳でもなく、ひたすら続く会議につぐ会議……。厚生労働省における「医療事故調査委員会創設検討会」にひっぱりだされた田口は、いったいそこで何を見たのか? 現在勤務医である著者だからこそ書けた、医療行政の矛盾や医療現場のきびしい現実、さらには官僚達の本音まで。本書は小説の枠をこえて、帯にあるとおり、厚生労働省をブっつぶそうとしている!
紙の本
一番好きなキャラ・田口公平
2008/12/30 06:34
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:asura - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は病院メインではなく霞ヶ関厚生労働省。白鳥の熱烈なラブコールで医療関連死モデル事業の検討会に田口先生がねじ込まれてしまいます。官僚や学者の既得権益にまみれた不毛な会議に権勢と無縁の田口先生のつっこみが快感な今回。強烈なロジック攻撃をしかけるイノセントゲリラが医療従事者や医療難民たちを高みへと導く__。現実にモデル事業のニュースが流れていたので絵空ごととはいえません。
紙の本
やっぱり本当の会議がおもしろくないから、それを模した会議もおもしろくない。役人も医者も警察も、医者も教授も事故の被害者も自分のことだけしか考えていない。現実だとしても夢を感じないなあ・・・
2009/04/09 21:36
11人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらずチープなデザインな本です。ともかく、人目をひけば勝ち、といった雰囲気の色使いが下品で、赤津ミワコの装画を殺しています。同じ医療機器を表紙に持ってきても、講談社の『ブラックペアン1988』とは雲泥の差。ちなみに雲の上のデザインを担当したのは鈴木成一デザイン室、カバーCGは桑原大介。装幀者の力の差なのか、それとも出版社の考え方、センスの問題なのかはともかく、こりゃないぜレベルのカバーではあります。松崎自身の考えを聞きたいところです。
でも、姿形は悪くとも中身で勝負、っていうのが宝島社版・海堂本の特長。ただし、今回は少し様子が違います。そこらあたりは海堂の新作『ジェネラル・ルージュの伝説』に詳しい。ようするに会議の様子がかなりリアルに、というか克明に描かれるのですが、これって海堂の体験を再現しているそうです。いやはや、役人主宰の会議がどのようなものか、官僚の狙いがなにかがよ~く伝わります。
ちなみに、宝島社から出たばかりの『ジェネラル・ルージュの伝説』、素晴らしいブックデザインです。これが同じ出版社のものか、と言いたくなるようなレベルの高さで、赤という色が派手でもそれが気にならないのは、それに微妙に他の色が混ざっているゆえでしょう、古雅の趣のある紅といったほうがいい。そんなデザインは、中川まり(SINN graphc)。これは『ブラックペアン1988』を凌いでいます。
脱線はこのくらいにして内容ですが、ともかく夥しい人が登場します。それなりに上手く描き分けられていますが、海堂の主眼はそこにあるわけではありません。海堂の怒りの矛先は、今までの作品でも繰りかえし述べてきたように、日本の医療をダメにしてしまった医療行政に向かうのです。それを宝島社はHPでこう書きます。
田口・白鳥シリーズ最新刊!
厚生労働省をブッつぶせ!
医療事故を裁くのはいったい誰なのか?
いいですねえ、「厚生労働省をブッつぶせ!」。「霞ヶ関をブッつぶせ!」でもいいんですが「厚労省」と名指すと勢いがあります。で、今回、訴状にあげられるのが司法解剖と病理解剖です。記憶は定かではありませんが、最近、何度か日本の監察医制度について、せっかくのもおが日本では6都市にしかないということが報道で取り上げられています。不勉強な私は、それこそ海堂の本の成果ではないか、と思っている次第です。
で、大雑把に言えば犯罪死体は法務省管轄で司法解剖、病院で亡くなった場合は病理解剖。グレーゾーンの症例は監察医制度で対応することになっているものの、しかし、その監察医制度は、日本では6都市にしかないため、それ以外の地域で不審な死亡があっても、そのまま解剖されることなく処理されている。それなのに、監察医制度の拡充に官僚は熱心ではないと海堂はいいます。
問題は官僚の怠慢(きっと、頭のいい彼らのことですから国民には明かせない思惑があるんでしょうが)だけではありません。医学界の縄張り意識、勢力争いがあり、新しい動きを潰そうとする保守的な体質があります。たとえば海堂の小説ではお馴染みの帝華大学ですが、医療事故調査委員会のアドバイザーで、帝華大学医学部病理学教室の田村教授は「医療事故調査の土台となる解剖は、病理解剖であるべし」と主張します。
同じアドバイザーで、上州大学医学部法医学教室教授の西郷は、「法医学会の『異状死ガイドライン』では、医療行為に関する死亡は異状死に属すると明記され、医師法第二十一条に従えば、医療事故死は、おのずと司法解剖されることになる。そして、そこのAIを導入し、「エーアイを行い、死因が明らかになったケースは解剖しなくてよい」として現場の医師不足に対応しようとします。
帝華大学法学部教授の日野は「最高裁での医療事故訴訟第八百三十五号の最高裁判例での判決」をもとに、西郷の主張を正しいとします。西郷が提案する監察医制度というのは、操作の一貫である司法解剖でもなく、強制力を持たない病理解剖でもない、まさしく中間的な性質を持つ解剖です。
大学間だけではなく大学内部でも対立というか綱引きがあり、しかも、医療事故訴訟の関係者がいて、さらに官僚がいます。その官僚の中にも対立というか考え方、目指すものの違いがある。そして日夜開発される新しい技術があり、予想もつかない事件がある。そのなかで日本の医療制度はどうあるべきか、どうなっていくか、そういう小説です。
沢山の登場人物を色分けしながら紹介すれば
〈東城大学医学部付属病院〉
田口公平:精神内科学教室講師。不安愁訴外来責任者。病院のリスクマネジメント委員会委員長であるため、厚労省の白鳥の指名で医療関連死モデル事業特別分科会・病院リスクマネジメント委員会標準化検討委員会で講演することになる。
島津吾郎:田口の同期の出世頭で放射線科教室准教授で、病院のエーアイ・センター設置を仕切っている。
藤原真琴:不安愁訴外来専任看護師で、彼女のいれるコーヒーのファンは多い。
高階権太:病院長。
〈厚生労働省〉
八神直道:帝華大学卒のキャリア官僚で医療安全啓発室課長で、ミスター厚生労働省と呼ばれる。
白鳥圭輔:医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長。厚労省のはみ出し技官で、コードネームは火喰い鳥。
〈警察庁〉
北山錠一郎:警察庁刑事局局長。
加納達也:桜宮に出向していたキャリア官僚で警視正。白鳥と同窓のため、いいように使われることもある。警察庁刑事局刑事企画課電子網監視室室長。
斑鳩芳正:桜宮市警察広報課室長。警察庁刑事局新領域捜査創生室より出向中で確信犯的な情報漏洩をする。
〈医療事故調査委員会・創設検討会メンバー〉
田島勇作:相模原大学法学部教授。『医療関連死モデル事業』座長。
日野真人:帝華大学法学部教授。
西川洋子:NPO法人・ペイシェント・バイスタンダーの会理事長。
小倉勇一:医療事故被害者の会代表。
彦根新吾」房総救命救急センター診断課病理医。
クリフ・エドガー・フォン・ヴォルフガング:ジュネーヴ大学画像診断ユニット教授。
桧山シオン:ジュネーヴ大学画像診断ユニット准教授。
〈アドバイザー〉
西郷綱吉:上州大学医学部法医学教室教授。東京都監察医務院非常勤職員で、解剖の臭いを消すためと称し香水の臭いをプンプンさせている巨漢。性格がオープンで憎めないところのある事情通。
田村幸三:帝華大学医学部病理学教室教授。
〈時風新報社〉
別宮葉子:桜宮支所勤務の社会部主任。彼女のスクープが桜宮市警察を震撼させた。
です。で、今回は学者の勝手な勢力争い、みたいで話のせいか、海堂には申し訳ないけれど内容よりは、人物が印象に残ります。田口、白鳥は当然ですが、どこかお坊ちゃんの香り漂う加納、名は体を表わす風の西郷、新技術で医療改革を図る彦根、そして何より彦根の切り札として、ドイツから呼び戻されるヒロイン・桧山シオン。やはり海堂尊は面白い!『ジェネラル・ルージュの伝説』は必携かも・・・