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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.8 175件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.11
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/332p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-215130-6

紙の本

チェーン・ポイズン

著者 本多 孝好 (著)

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物から...

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チェーン・ポイズン

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商品説明

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」それは決して悪い取り引きではないように思われた—。新境地を開いた驚愕のミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】

死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた謎の人物からのささやき。「本当に死ぬ気なら1年待ちませんか? 頑張ったご褒美を差し上げます」 不思議な自殺の連鎖。共通点は「毒」。現代に投げかける「生きる」意味とは。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

本多 孝好

略歴
〈本多孝好〉1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。94年「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞。ほかの著書に「MISSING」「正義のミカタ」など。

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みんなのレビュー175件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

私のいない未来すら愛おしく、この世界を許すということを。

2009/09/22 18:21

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

何の個性もとりえもない自分と意味乾燥な毎日、それに続くカラッポの未来しか残されていないと思い知った36歳OLが、ふと口にしたつぶやき 「「もう死にたい。」 それが彼女の期限付きの生の始まりだった。
いや、始まり、というよりはチェーンメールのように後へ先へと続くリンクの、ほんの一環(鎖)であったというべきだろう。

死にたいと願う絶望にひしがれた女の一言に、謎の男が一年の保留期間付きで安楽死の方法を仄めかす。
読者はここで、おそらくこの女が一年の間に様々な出会いや体験をして生きる希望を獲得し、生き残るのだろう?など単純な予想を立てるのだろうが、次の章にはその予想を大きく裏切られてしまう。

一人の雑誌記者が、彼女を含め自分の取材した3人の自殺に、「死を覚悟した1年後ほどにアルカロイド性毒で自殺をしている」という共通項を見出す。つまり彼女の死が決定的に提示されてしまうのだ。

そしてまた次の章では1年後の安楽死を切望する彼女の余生が描かれる。
彼女は成り行きからホスピスと養護施設にボランティアとして顔を出し一年後までの一日が減っていくことに満足する。しかしありがちではあるが養護施設は経済状況的にも人材的にも困窮し、それでも子供たちは悲しいほど生き残る術を自然と身に着けており、そんな子供たちに囲まれ数ヶ月を過ごすうち、彼女自身の心境にも変化が生まれる。
あと半年、あと3ヶ月・・・と限られた「その時間だけがはっきりとした意味を持ち理由をもっていました」と。
けして彼女は死にたくない、とは一度も言っていない。生き延びれば怠惰な人生を続けなければならないという事実に再び潰れてしまうことからだ。その代わり彼女は一つ、死にこだわるようになっている。
「死んでもいい」から「死にたい」という積極的な願望がなければ死ねない。そう変化した彼女の心は、相変わらず死を求めている。
しかしそれでも、彼女は1年をいくつかのチェーンの中で、確かに生きている。死にこだわる人間はきっと同じだけ生にもこだわっているのだと、彼女の積極的な死を見据えた生に見て取れる。

「死を決めて、初めて私は私のいない未来を愛しく感じていた。その未来につながっている今のこの世界の何もかもを、それなら許せそうだった」

彼女は死んでもいい、でもなく死にたい、でもなく、『死ねる』と思うだけの愛しい子供たちと彼らの未来と自分の今生きている世界を、この時手に入れていたに違いない。
人がこの苦しい生と折り合いをつけどうにかでも生きていくためにできること、それは抗うでもなく悲観するでもなく諦めるでもなく、ただ今を愛し、未来を信じ、己を取り巻くすべてを許すということなのではないか。
言葉にしてしまえば簡単なそんなことを、これから必死に身につけていきたいと、そう切に感じさせる一冊だった。

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紙の本

終盤の劇的な変化に、胸を揺さぶられたミステリ

2009/02/08 16:25

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「この先、このまま生きていっても、きっと何も変わらないだろう」と、自分の人生に絶望し、自殺することに決めた女性。死を決意した彼女の一年間を追っていく話をAとすると、複数の自殺者の死の特異な共通点に気がつき、その真相を調査していく週刊誌記者の話はB。AとB、今から一年と数ヶ月前に話がはじまる前者と、ある共通点が見受けられる自殺が続いた現在から話がはじまる後者が交錯する形で、ストーリーが進んでいくミステリ。最初はそれほどでもなかったのですが、終盤に向かうに連れてぐんぐん面白くなっていき、目が離せなくなっていました。

 バツグンに面白く、印象に強く残った点がふたつ。

 一年後に自殺することを心の拠り所にして生きていく女性の変貌、生き生きとした人間らしさを取り戻していく姿、その変化が魅力的に描き出されていたところ。そこが、まず素晴らしかったな。一年間の暇つぶしのためにとボランティアすることになった養護施設で、子どもたちやスタッフと過ごしていく中、彼女は変わっていく。終盤、彼女の心境と行動の変化にすっかり魅せられ、胸にこみ上げてくるものがありました。

 面白かったもう一点は、これも終盤、ある絵柄ががらりと変わり、「えっ!!!」と仰天させられたこと。全く念頭になかったので、これにはすっかりダマされてしまった。背負い投げ一本、てな感じですかね。著者に投げ飛ばされてから、あわてて前の頁に戻って読み返しまして、「ああ、不覚。ああ、錯覚」と、自分の頭をこつんと叩いた次第(笑)

 結構すれっからしのミステリ読者なのですが、これはとても面白かった。途中からは、もう一気読みに走っていました。

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紙の本

とにかくもう一度最初から読み直したい。

2010/10/28 21:21

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本の紹介文には「ミステリ」とある。けれど、読み進めてみると「どのへんがミステリ?」と思う。そう思いながらも読み続けていったのは、自殺した女性の本当の姿を知りたかったからだ。その辺が「謎」と言えば言えるかな、そう思った。

本書は会社を辞めてから約1年後に毒を飲んで自殺した女性を追う雑誌記者と、「1年後に死ねる薬をあげます」と謎の言葉をかけられた自殺願望のある女性とが、交互に語る形をとって進んでいく。

雑誌記者は、自分がインタビューをした2人の男が同じような毒を飲んで死んだことに疑問を抱く。しかもこの2人は自殺のきっかけとなりそうな出来事が起きてから約1年後に死んでいるのだ。2人とも、である。そこへ、見も知らぬ女性「高野章子」が会社を辞めてから約1年後に毒を飲んで自殺したとの情報が入る。
この3人は何故、同じような毒を飲んで死んだのか。そして、何故きっかけとなるような出来事が起きて1年も経ってから死んだのか。それが知りたいと、雑誌記者は女性の空白の1年を埋めようと走り回る。

一方、自殺願望のある女性。
同じことの繰り返しの中で36歳という年齢を迎えようとした頃、その自分の生活が虚しくなったのだろうか。公園でふと「死にたい・・・」と呟いてしまう。そこへ声をかけてきた人物がいた。「1年待ちませんか?」と。女性は1年後を待とうと決めた。あと1年待てば楽に死ぬことの出来る方法が手に入る。それまでは待とう、と。

さて、最後はどうなるのだろう。
死を心に決めた女性はどのような1年を送るのだろう。
雑誌記者は自殺した女性の姿に迫れるだろうか。
そんなことを思いながら、ページをめくっていった。

けれど・・・。
正直にいうと、読み終えた今は少し茫然としている。作者の仕掛けたどんでん返しにしてやられたのだ・・・。もう一度読み返したい。このトリックの衝撃が大きくて、他の部分が頭から飛び出してしまった(苦笑)。
あぁ、やはり内容をかみ砕いて消化するためには再読しかない。

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紙の本

一年。

2009/12/09 09:56

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私は本書の著者である本多孝好氏の作風や文章が以前から気に入っています。どこか村上春樹氏のような雰囲気もあり、何よりも紡ぎ上げる文章には透明感があり、ユーモアもある。だからか、本書を読み始めた時には違和感があった。なんだかこれまでの本多氏の作品とは違う…。

 自殺を決めた女の前に、とある人が現れて一年待ったらご褒美として楽に死ねる手段を差し上げましょう、と告げる。キーワードは、一年。不可解に時期が重なって著名人二人とOL一人が自殺を遂げる。その裏を探りに、週刊誌の編集者が駆け回る。

 一つ、面白い点だと思ったのは、自殺を決めたものの側からも物語を追っているということ。ボランティアに行ったり、ふてくされてみたり、感化されてみたり。その過程で、一年で、死に急ぐ者がこうも変われるのか…と驚きを隠せない。物語だから、と言ってしまえばそれまでだけれど、実際にそういう人は結構いるのではないだろうか。ひょんなきっかけで、生きるチカラに火が灯ったり。誰でも人はみんな、死後の世界を思ったりしてしまうくらい辛い時期というのはあるだろう。生涯平和でいる人なんて、いないだろうから。人はみな、必ず死ぬのだから、なぜわざわざ死を選択する必要があるのか。そういう問題提起も本書には登場してくる。ましてや、自殺者が年々増加しているこの世の中だから…。一年という時間の流れの中で、何かが好転するかもしれない。

 私は勘が良いほうではないので、最後の最後までその裏側に潜むトリックがわからなかった。なんか変だな、どういうことだろう?と頭を抱えたまま終盤に入った。残りのページ数を確認したら、少ないのに全貌が明かされる気配もなく、一人焦ったりしていた。どうなってしまうんだろう…と。最後には編集者が答えに辿り着くわけだけれども、そのアルカロイド系の猛毒の出所が意外だった。

 クライマックスは、救われた気がして嬉しかった。自殺がキーワードの一つでもあるのに、さほど重くもなく、さくさくと読める。救いのない暗い話は苦手なので良かった。「一年待ったら、ご褒美を」と言っていた人がなぜ『一年』と言ったのか、その意味も理解できてスッキリした。

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紙の本

実際は★★★★☆っていうところ。こういうミステリをモダン、というのでしょう。ただし、それがもっと深い思索に結び付かない、というところで若干評価を下げました。内容については、この作品は触れにくい・・・

2009/09/30 19:25

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

なんとなく苦手、っていうか、縁がない作家さんがいます。『真夜中の五分前 Side‐A、B』が騒がれ過ぎた本多孝好などは、その好例で、後手に回るのが大嫌いな私はそのまま次作待ち。で、悪いことに本多はどちらかというと寡作。たまたま伊坂幸太郎他『I LOVE YOU』で、その中にあった本多の「Sidewalk Talk」を読んだものの、それ以来ご無沙汰。

そんなことで、今回もこの本の存在に気づいたのが出版から半年以上経ってから。それも講談社創業100周年記念出版「書き下ろし100冊」第1弾!、という言葉に引っ掛からなければ、そのまま通過していました。ま、これは本多のせいというよりは、出版社の問題。以前にも書いたと思いますが、講談社は数多くの本を出していて、そこには当然書き下ろし作品もたくさんあります。

で、問題は単なる「書き下し」作品と、講談社創業100周年記念出版「書き下ろし100冊」を区別するのは、統一化された装幀ではなくて、その都度、出版社が宣言することだけなわけです。しかも、ジャンルが限られているわけではなくて、小説、ノンフィクション、児童書、何でもありなんです。出版社の都合でラインナップだって好き勝手にできる。

で、私はこの本が「書き下ろし100冊」の一冊とは思いもしませんでした。だって、広告だってシリーズを売るというより、単品うりでしょ? ま、今までも記念出版全○○巻、といいながら結局、半分しか出なかった、とか、刊行が大きく遅れてシリーズの一冊といいにくくなったりとか、失敗例は数え切れないほどあります。特に、講談社さんの書き下ろしシリーズ。

そのリスクを避けるアイデアとしては良かったんですが、結局、企画そのものが凄く曖昧なものになってしまった。私は『チェーン・ポイズン』が「書き下ろし100冊」の一冊だと認識できていたら、もっと前に手を出していたと思います。ま、HPでは「書き下ろし100冊」のコーナーは、新作が出るたびに更新されているんですが、ゲッ、これが? なんてものが沢山入ってます。確認してみてください。

で、装幀の高柳雅人も困ると思うんですね、叢書であるような無いような曖昧な定義って。だから、というわけではありませんが、Pete Kobayashi/SEBUN PHOTO/amanaimages の写真を使ったカバーも、迫力はありません。ソフトファーカスなところは絵画を見るような美しさではあるものの、100周年記念出版といった雰囲気皆無。単なる小奇麗なデザインに留まっています。

で、このタイトル『チェーン・ポイズン』ですが、私は【日本ホラー小説大賞長編賞(第12回)】 を取った大山尚利『チューイングボーン』を連想して、勝手にホラーの変形かと思っていました。これまた出版社への文句になってしまいますが、もっといいタイトルがあっただろう、って言いたい。カバーの雰囲気だって、ほの暗い様子は完全に耽美系ホラーで通用するし・・・

閑話休題。やっと内容に触れます。ミステリ紹介は地雷畑みたいなもので、特にこの作品は迂闊に踏むと自爆なってことになりそう。責任回避ということで講談社様(掌を返したようで気にはなりますが)のHPから宣伝文句を拝借。 
              *
あと1年。死ぬ日を待ち続ける。それだけが私の希望――。
かりそめに生きることは、もうできない。選んだのは「死」。不思議な自殺の連鎖を調べる記者。そこに至るただひとつの繋がり。
「生」の意味を現代に投げかける、文句なしの最高傑作!
講談社創業100周年記念出版「書き下ろし100冊」第1弾!

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?1年頑張ったご褒美を差し上げます」
それは決して悪い取引ではないように思われた――。
新境地を開いた驚愕のミステリー
              *
です。「驚愕のミステリー」っていうのは、どうでしょう。この言葉につられて「まだかな?まだかな?」何ていう読まれ方したら、詰まらないですよね。むしろ、自殺を選ぶ側の人間の心の動きを楽しむ、楽しむ、なんて書くと不謹慎だ、って怒られますが、それをじっくり読み込む作品だとは思います。ちなみに、絶対にホラーではありません、はい。

まず自殺者を簡単に紹介します。

高野章子は、37歳の元OLです。世田谷のアパートで一人暮らしをしていて、会社を辞めて一年後に自殺します。如月俊は、24歳で海外の有名なコンクールで優勝した天才ヴァイオリニストです。4年後に突発性難聴にかかり、一時はそれを克服したかに思えましたが、一年半後、自殺します。持田和夫は、娘を誘拐され、それを止めようとした妻は犯人の車でひき殺され、結局、娘も乱暴されたあと殺されたという40代であろう男です。犯人・榊伸明が死刑になって一年後に自殺をしています。

共通点は、自殺の引き金になるような事件から一年以上経って、自殺が起き、いずれの件にもアルカロイド系の毒物が使用されていることで、その取材にあたるのが40間近の俺、原田です。週刊誌の編集部員で、後輩で入社五年目の山瀬とともに事件の真相に迫っていきます。

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紙の本

死ぬ気になればなんでもできる?

2008/12/20 09:04

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kako - この投稿者のレビュー一覧を見る

死ぬことを目標にして人は生きていけるのか?
一年生きたご褒美として、楽に死ねるという薬をもらえるとしたら・・・。

とても面白くひきつけられる設定です。
自殺というものには、気力が必要だといいます。
死ぬ気力も無い人間が、ふとそのきっかけをもらい死へのカウントダウンを待ちわびて過ごす一年。
無気力に生きてった今までの時間と、死ぬことではありますが目標を持って生きていく一年。
あと一年過ごす為のお金の計算をし、自分への生命保険をかけ、荷物の整理をして過ぎ去っていく時間。
あと一年だと思うと、今まで耐えられなかったことも耐えられるようになり、今まで避けてきたことさえ出来るようになるのでしょうか。
自分が死ぬことへの計画を立てていた女性は、他人と接点を持つことによって徐々にではありますが死ぬことへの目標が変化していきます。
自分のために死のうと思っていた気持ちが他人のために死のうと思う気持ちへと。
そこに、生きるという選択肢は入ってこないのでしょうか?
同じ毒物で死んだと思われる三人を追いかける男性記者と共に、彼女の気持ちの変化を追いかけていくように物語を読んでいきました。

そして最後に「あっ、ミステリだったんだ・・・」と気づく私。
あまり、他のレビューなどを読まずに手に取ったのがよかったみたいですし、その方が楽しめるかと思います。

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紙の本

ミステリーの形も楽しめる真摯な追求

2011/08/17 22:07

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ミステリーというジャンルがあり、ミステリー作家という人たちがいる。この作家も推理小説の賞をもらったり、そのジャンルで上位にランクされたりもしている。だが、少し違うのではないか。
 本来ミステリーを書こうとして書くミステリープロパーの作家というよりは、書きたい人間模様を書いたらたまたまミステリーになった、という印象なのだ。
 この小説でも、自殺やら生と死やらの問題が扱われている。ミステリーとは形だけで、実はとことんシリアスな作品なのではないか、と何度か思った。重いテーマを扱っていることは間違いない。
 だから、単純に楽しむために読みたい読者には敬遠したくなる内容かもしれない。他方、単純な謎解きではつまらないという読者には、たしかにそれ以上のものを与えてくれるだろう。
 人生に疲れ、死にたいと思っている女性に、見知らぬ他人が声をかける。一年待ってから自殺するなら褒美をやる、という奇妙な提案が為されるのである。その間に保険でも掛ければ、自殺でも保険金を出す会社はあるのだから世の中のためになる。死ぬと決めれば、一年の猶予があるのは当人にとっても悪い話ではない。そして一年。物語は、その女性と、また別の方向からこの件に関わることになる雑誌編集者との交互の語りから構成される。
 推理小説らしいトリックなどなくても、こんな企画を考えた人物の意図やら、あるいはそれによって一年を過ごした女性の心理やらという、人間の心の謎を探ればそれで十分ミステリーである。だがこの作家は才能が有り余っているようで、ちゃんとトリックはトリックで、相当凝った仕掛けが用意されている。そうしてみると、かなりぜいたくな小説である。
 しかしやはり最大の狙いは主題の提示だろう。人が生きることの意味、一見空しい中でどう生きればいいのか、生きる価値があるのかどうか、という大テーマが、自殺の執行猶予というユニークな設定によって検証される。自殺をするにせよ、1年だけ待つと決めて生きれば、その間だけは充実して生きられることもありうる。やはり死にたかったらそれもよし、その間に死と向き合い続けることで何かみつけられたらそれもよし、というのが提案だが、それによって作品自体も、生きることの意味のあり方を問いかけることになっている。
 というわけでテーマは重いが、野心的な、高いところを目指した取り組みだろうと思う。

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2008/11/09 19:59

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2008/11/14 22:27

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2008/11/20 17:04

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2008/11/19 00:00

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2008/11/25 20:45

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2008/11/30 09:32

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