電子書籍
秀逸な短編十話
2022/01/17 21:50
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「千載一遇」「あわせ鏡に飛び込んで」「さよならの転送」はサスペンスドラマな感じでよかった。「書かれなかった手紙」も手紙のやり取りでストーリーを作るとこがすばらしい。「私は死なない」は生理的にきつい、ゾッとする話。
紙の本
冒頭のコメントがスキ!
2017/09/09 20:22
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ご存知『岡嶋二人』コンビ解散後の、井上夢人の10の短編集。各話の冒頭に作者からの、例えば原稿料の高さに負けたとか、その話を書くに至った経緯などが記された短いコメントが付されており、これがナカナカ秀逸。話はどれも、めちゃめちゃ『ブラック』。人間の身勝手さを余す所なく、これでもかと見せつけ、でもこれが、著者の文章の読みやすさと相まって、実に面白かったです。どれも意外性という意味では、少し欠けつつも、まさにハズレなしの短編集でした!
紙の本
背骨の髄から、ぞくりとしたいあなたに。
2009/02/23 14:40
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投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡嶋二人の頃から大ファンの、井上夢人氏。私が知り得る作家の中でも、最も文章力のある作家の一人だと思う。もちろんストーリーも面白いのだけれど、ストーリーををおいといたとしても、文章力だけで読まされてしまう。使われる語句やリズムが、まるで魔法のように私を本の中に引きずり込んでくれるのだ。だから氏の作品には「ハズレ」が無い。どれを読んでも、いつ読んでも、とても面白い。
本作品はどれも本当にぞくりとさせられる、10の短編からなる。カテゴリ的にはミステリかホラーか。この手の作品は、作品中に描かれる「もしも」に、どれくらいのリアルさがあるかが鍵だと思う。そういう意味で、本作品中の短編はどれも妙にリアル。さらに類まれなる文章力で、背骨の髄からぞくりとさせられてしまう。
もし、も。体が死んでも、意識と感覚は失わない薬があったら。検死も葬式も、外からは分からないが、視覚も聴覚も、そして痛覚さえ、全ての感覚をあなたは感じているのである。そして最後に襲い来る、本当の恐怖とは。
もし、も。別れ話に逆上した女が、超強力接着剤であなたの手と自分の手を接着してしまったら。当然あなたは怒り、医者へ行った後貴様とは必ず別れてやる!くらい言うだろう。それを聞いた彼女はさめざめと涙を流し・・・また接着剤を取り出すのだ。そして次に、接着したのは・・・。これも何だか、ありそうで怖い。そしてもしこんなシチュエーションに自分が陥ったら、間違いなく気が触れてしまうだろう。読み終わった直後、思わず「うわぁ・・・こえぇえ・・・」の言葉が漏れてしまう。いや全く、そういう感じの作品達なのだ。
さらに特筆に値すると思ったのが、「JとIとジェイアイ」という作品。なんと17年前に、パソコンをテーマに書かれた作品である。17年前のパソコンの話しなぞ、よほどのマニアでなければ面白くないように思える。ところが、これが驚くほど面白いのだ。パソコン同士にお互いを解析させて会話させる、なんて発想は今でも十分に面白いと思うし、一体どういうオチを付けるのだろう・・・と思っていたら、なんともシュールな締めくくり。10の作品の中でも、一番引き込まれた作品だった。
この作品が良い例で、何せ氏の作品は時が経ても色あせない。以前書評を寄せさせて頂いた岡嶋二人作の「99%の誘拐」が、書かれてから15年後にその年のミステリNo.1に選ばれた事でも頷ける。名だたる名画がそうであるように、氏の作品は時が過ぎてなお、その輝きを増すのかもしれない。過去作品と侮る事無かれ。氏の作品は過去のどれをとっても、間違いなく面白い。ぜひ手に取られる事をオススメします。そして本作品も、その中の一つに数えられるに、違いない。
電子書籍
バラエティに富んだ短編
2018/05/17 15:48
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投稿者:おいも - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブラックユーモア、最後にゾワッとくるような話、切ないものなど毛色の違う短編10編。人が怖い系ホラーミステリーが多かったかな。「ジェイとアイとJI」だけは好みじゃなかったけど、それ以外はどれも面白かった。特に好きだったのは「ノックを待ちながら」と「私は死なない」。どちらもなかなか怖かった。
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久しぶりの井上夢人さんの短編集。
とはいえ書き下ろし無しの一番新しい作品で13年前とか…。何故今更…。
普通に安定した面白さでした。13〜18年前だけど、何気にそんなに古い感じはしないかなぁと思う。
前半より後半の方が面白いと思う物が多かったかな。
あとオチが読めるものが多かったのが少し残念。
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2008/10/17 Amazonにて購入 。
2013/10/3〜10/7
井上夢人氏の短編集。往年の名短編集を彷彿させる出来栄えの10編が収録。「幻の」と形容詞のつく表題作が一番好みか。
巻末の大沢在昌氏との対談が興味深い。岡島二人時代の葛藤や、なぜ現在あまり作品が出ないのかまで、赤裸々に語っている。
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http://blog.livedoor.jp/masahino123/archives/65179984.html
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08年10月に発売された井上夢人の短編集。
ゴールをあらかじめ考えて作ってある感じがして、どれも完成度が高いように思える。ミステリーっぽいものからホラーっぽいものまで、井上夢人らしさがつまった1冊。こういう短編は短編といえど読み応えがあって非常に良いです。
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幻の名作「あわせ鏡に飛び込んで」などの短編を10篇収録し特別対談も最後に載ってる作品です。
「あなたをはなさない」
別れ話をして、美代子が震わせながら「わかった。」と言って、僕の胸元に差し出されて手。
握手をして離そうとすると離れない。
彼女は、瞬間接着剤を塗っていたのだった。
別れたい彼と別れたくない彼女は、この後どうなるのか?
「ノックを待ちながら」
自分の妻が他の男を引っ張り込む現場を見るのは、あまり楽しい事ではない。
引っ張り込んだ結末を知っていても・・・。
家の書斎でその風景を見ていた晋一は、音を立てないように二階の寝室に移動した。
妻は、男といちゃつきながら家の中へ入っていく・・・。
「サンセット通りの天使」
骨董やから電話があった。
注文していた大きな箱が入荷できて、配達にくるといった。
FBIに睨まれているシュリーマンは、FBIの監視の目から逃げ出そうとある計画を立てっていた。
そして、黒人の男と金髪の女が配達に来た。
二人を家の中に入れて、黒人の男の頭を拳銃で殴る。
女を脅して・・・・。
「空部屋あります」
村松さんの・・・あらあら、では、お部屋をお借りになりたいってお話ではないのですか?・・・・
行方不明になった松村の事を聞きにきた従兄弟の青年。
貸主である足の不自由な老婆が青年に語った事だけを書いたホラーです。
「千載一遇」
警備会社に勤める史郎はこの日も相棒の楠本とともに会社の夜の警備をしていた。
この日一晩だけ億を越えるお金が二人だけになった会社の中に置かれていた。
前もって二人にこの事を知らせていたが、史郎はある計画を立てていた。
史郎は、妻の睡眠薬を少しづつ貰っていたものをコーヒーに混ぜて楠木に飲ませる。
しかし彼は、なかなか寝ない。
睡眠薬が効いてきたのか、顔を洗いに洗面に向かった楠木。
史郎は、漫画を読んでいたのだが突然楠木に頭を殴られる・・・。
「私は死なない」
名倉哲郎は、NOB−244βと言う猛毒の実験でラットが死んでもエネルギーを発している事に興味を抱く。
この猛毒は、肉体が死んでも精神は生き続ける証明では、ないかと・・。
そしてこの精神だけ生きるのに憧れ、遺書を書いてこの猛毒を自分に打つ。
そして、意識はあるのだが・・・。
「ジェイとアイとJI」
古い16BITのパソコンと新型の32BITのパソコンを持った二郎は、このパソコン同士でチェスの対戦ができないか?と考え始める。
インターネットで色々調べたりして、彼はある所に行き着く。
パソコンの学習機能を習得した会話プログラム。
そして彼は・・・。
「あわせ鏡に飛び込んで」
院長である城所は、芸術家のパーティーに来ていた。
看護婦の良子が「ご一緒に行きませんか?」と誘ってきた。
良子は、唯一落ちなかった女だった。
パーティーに参加する事は、乗り気じゃなかったがその後の良子との事を考えるとシブシブ出席したのだった。
良子はすぐに他の招待客と話しに行き一人になった城所だったが、主催者の芸術家がアトリエにある今度出す作品をぜひ見て欲しいと言ってきた。
城所はなかば強引にそのアトリエに向かう。
そしてそこで見たものは・・・・。
「さよならの転送」
留守電の再生機能を押すと真紀の声だった。
そこには、もう会わないで電話もかけないでとの別れを告げる内容だった。
信哉は、この声を真紀を取り合っている秀暁の電話の留守電に入れる。
信哉は、秀暁がその夜死んだ事を友達からの電話でしる。
信哉は、友達と集まりその内容を聞く・・・。
「書かれなかった手紙」
足の不自由な元教師・磯部増達に突然届いた手紙は、教え子の夫からの手紙だった。
妻の弟が交通事故にあって、自分が弟を殺したと妻が疑っているという内容だった。
その手紙に返信して、教え子にも別の手紙を書いたのだが・・・。
全編悩み相談の手紙だけで構成されたクライムミステリーです。
短編集なので、ちょっと怖さは足りないかな?
でも、先が読めない展開は、ドキドキして面白いです。
井上さんは、作品を出すスピードが遅い作家さんです。
それは、彼が自分で納得しないと本を出さないという所が多いのでしょう。
ん〜ボツになった作品でも面白そうなんだけどな〜
短編が好きな人には、お勧めの本かな?
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2009/01/16
何年ぶりかの井上夢人。
岡島二人時代は面白く読んでいたのだけれど、自分の趣味が変わったのかどうもいまひとつ・・
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10編が収録。世にも奇妙な物語っていうふうな話が詰まった短編集。収録作品中最も古い短編はなんと1990年発表。「ジェイとアイとJI」なんて、道具にパソコンを使ってるからすっごい古い。でも古さを感じない不思議さ。あえてお気に入りを選ぶなら、別れ話を切り出したら女が瞬間接着剤で男が離れないようにした「あなたをはなさない」と、妻と図って他人を殺したが、もしかしたら自分も殺されるのではないかという疑心暗鬼に陥る「ノックを待ちながら」、幽霊になりたくて自殺を図った「私は死なない」、留守電に入っていた女からの別れ話を他人に転送することで起きる話「さよならの転送」の四つ。 プロットに拘るあまりに出版物が少ない井上氏だからこその贅沢な一冊。拘るだけあって、展開がとても緻密に作られていて気持ちが良い。オチがキレイすぎるかもしれないが。
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井上夢人サイコー!
面白い!
でも、10年以上前の作品のコレクションだけあって、古い。
残念。新しい作品キボウ!
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元、岡嶋二人。
短編ホラー、恐怖作品集。
うーむ。やはり短編は苦手。
なんでだろう。せわしないというかせっかちな展開だから?
ページ制限での展開だから?
でもこういうテイストのホラーはこのくらいのサイズがいいのかも。
10編収録だけど全部読めなかった。
作家としては短編の方が自由に書ける分だけ実験要素が強そうだ。
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岡嶋二人の時はかなり読みましたが、ホラーテイストのものはかなりこわかった覚えがあります。それでもやり足りなかった分を一人になると好き勝手できると言うだけのことはあって、こわい話はかなりこわい。接着剤とか、震えがきました。でもどちらかというと前半のほうがこわくて、後半に行くと小話みたいになっていったので最終的には尻すぼみな印象になってしまってちょっと残念。短編10本くらいで、☆4が3くらい、かな。平均して☆3ってことで。
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ミステリーというか、ホラーというかSFというか。
短編がたくさん入った、久しぶりの井上氏の新刊。
個人的には「接着剤」がでてくるお話が好き。
…いや、好きというとなんというか、色々な点を疑われそうだけれども、決して私はそういう人ではないのでお間違いなきよう。