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- カテゴリ:一般
- 発売日:2009/01/29
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/259p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-370710-5
紙の本
インドの衝撃 続 猛烈インド流ビジネスに学べ
インドを出て世界で活躍する印僑のパワー、製薬大国としての恐るべき実力、貧困層相手の超低価格ビジネス…。アメリカ、中国よりも手強いインドの深層に迫る。NHKスペシャルで放送...
インドの衝撃 続 猛烈インド流ビジネスに学べ
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商品説明
インドを出て世界で活躍する印僑のパワー、製薬大国としての恐るべき実力、貧困層相手の超低価格ビジネス…。アメリカ、中国よりも手強いインドの深層に迫る。NHKスペシャルで放送された同名番組の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
前作ほどの衝撃はないが、インド企業に買収された日本企業の行く末は他人事とは思えない
2009/03/24 01:07
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る
『インドの衝撃』の続編は、前作ほどのインパクトはない。最近の世界同時不況の影響をインドも食らい、GDP成長率は低下し、株式市場は冷え込み、外国資本も引き上げ始めているからだ。デフレ懸念も生じている。
したがって、本書を通してインドの最新事情を知ろうとするよりは、インドという国やインド人のマインドそのものを理解するための本として有用だと思われる。
巨大市場として有望視されるインドだが、巨万の富を築く一族がある一方で、最貧層にあえぐ人たちがたくさんいる。購買力のある富裕層および中間層は1億3千万人程度。もう少し豊かになれば中間層入りする準中間層が2億人。
あとの8億人は貧困層だ。極貧層は当然ながらIT産業に取り残された農村部にいる。貧困層はテレビや新聞に接触することもなく”メディア・ダーク”と呼ばれる。したがって、草の根の営業活動でしかビジネスは成立しない。このBOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)に働きかけるユニリーバの初々しい現地採用の営業ウーマンの姿が紹介されている。
なにしろ日本では激安ショップと言えば、100円均一だが、インドでは1ルピー(本書のレートで2.5円)である。日本ではお徳用のボトルは大きなものがお決まりだが、こちらでは1回使い切りの1ルピー・シャンプーが売れる。小分けのビジネスでなくてはならない。
本書の執筆姿勢は、何かとやっかい視するインド嫌いとは反対に位置している。どちらかというと好意的な見方だ。いや、将来の競争相手として畏怖してもいる。
インド人は日本人とはおよそ似ても似つかない。とかく議論好きだし、誤りを認めないし、時間にルーズだし、自己主張が激しい。しかし、これが海外に出たインド人の成功のカギだ。米国のビリオネア(億万長者)の10人に1人は「印僑」(華僑のインド人版)だとの報告も記されている。
成功するまでは、何が何でも食らいつき、勤勉であり、上昇志向が猛烈に強い。米国の政権にも幹部ポストにインド系の人は見られるし、大企業のCEOにもインド系の人は少なくない。PDFファイルでおなじみのアドビ社、サンマイクロシステムズ、ペプシコなど。米国での印僑は250万人で日本人の10倍だというが、そうしてみると日本人のCEOや米国政権入りの話は聞いたことがない。人口比を差し引いても。
インド人が本気でうってでれば、日本人など吹き飛ばされそうである。おそろしい。これまでインドという国が低迷していたのは、社会主義的な国の運営や役人の腐敗による非効率性、州ごとの独立性が高くて国の中に障壁があるといったことだ。
もし、こうしたマイナス要因が取り除かれたらどうなるだろう。一気に目覚めたインドが存在感を高めていくに違いない。日本は少子高齢化の道をたどるが、これから伸び盛りの国が南アジアにあるのだ。
ただ、個人的にはインド人とつきあうのはとても疲れそうで、敬遠したくなる。また、がんばれば豊かになれる層と、極貧生活を余儀なくされる層が存在することは忘れてはならない。グローバリズムの効用が語られる本書であるが、国際市場で農産物を買いたたかれて、驚くほどの自殺者が出ていることを続編はふれていない。
どの断面で切るかで、インドという国はまるで違う顔を見せる。本書はなかなか読み応えがあり、面白い。しかし、全貌を捉えるには、もっとたくさんの本を読みこなさなくてはならない。
新しい本なのに、ムンバイでのテロや、急速に冷え込む景気への言及がないのは物足りないが、インドを理解するための手引きとしてはお勧めできる。でも、まずは前作をどうぞ。