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商品説明
高校生の暮林少年は、なにごとも論理的に考えぬかないと気がすまないというやっかいな性格の持ち主だ。まるで、かの名探偵エラリー・クイーンのように。ある日、学校の近くで起こった奇妙な殺人事件。偶然巻き込まれてしまった暮林少年は、考えに考えるうちに恐ろしい事実に気づく。クラスメートのあの子が犯人だとすれば、すべてのつじつまが合うということに。しかし、静かな町を揺るがすさらなる事件が起きる…。本格的な謎解きの要素に満ちた叙情あふれるミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
ある日、学校の近くで起こった奇妙な殺人事件。偶然巻き込まれてしまった暮林少年は、恐ろしい事実に気づく。犯人は、まさかクラスメートのあの子? エラリー・クイーンの頭脳をもつ少年と、美少女の知能が火花を散らす!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
芦辺 拓
- 略歴
- 〈芦辺拓〉1958年大阪市生まれ。新聞記者を経て、作家に。「殺人喜劇の13人」で鮎川哲也賞を受賞。ほかの著書に「時の誘拐」「十三番目の陪審員」など。
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紙の本
期待はしていなかったんですけど、それが当たる、っていうのはちっとも嬉しくないんです。やっぱりクイーンの名前を簡単に出して欲しくはなかったなあ・・・
2009/02/28 20:14
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の大好きな理論社のミステリーYA!。他社の叢書が尻すぼみ気味なのに対して冊数を順調に増やしていますが、それにつれて作品の出来不出来が気になり始めました。ま、本自体は守先正のブックデザインがいいので装画の質さえよければ、かなり手にされる可能性は高いでしょう。ただし、福井利佐の今回の画については疑問。っていうか、完全に大人の世界だし・・・。
ついでに、なんて書くと失礼ですが、挿絵は田中英樹、マークイラストレーションは谷山彩子です。そんな外見はどうでもいい、ミステリは中身が全て、この物語はは面白いのか?つまらないのか、早速、内容に入りましょう。カバー折り返しには
高校生の暮林少年は、
なにごとも論理的に考えぬかないと
気がすまないという
やっかいな性格の持ち主だ。
まるで、かの名探偵エラリー・クイーンのように。
ある日、学校の近くで起こった奇妙な殺人事件。
偶然巻き込まれてしまった暮林少年は、
考えに考えるうちに恐ろしい事実に気づく。
クラスメートのあの子が犯人だとすれば、
すべてのつじつまが合うということに。
しかし、静かな町を揺るがす
さらなる事件が起きる…。
本格的な謎解きの要素に満ちた
叙情あふれるミステリー!
とあります。高校生をつかまえて「少年」てえのは如何なものか、なんてここでカッツン。やっぱ、少年は中学生まで、高校生は青年でしょ。せめて高校一年なら許せるけれど、どうもそうではなさそうなんです、暮林くんは。それにしてもこの本でも芦辺の欠点が露呈しています。ともかく魅力的な登場人物がいない、一人としていないんです。
ま、これは芦辺の作品の特徴ともいえるんで致し方ないまでも、話が全く収斂していません。いや収斂しているのだろうけれど、それが緩々で、いったいどこを指して探偵小説、なんていう言葉が出てくるんだ、って言いたくなるんです。まして、このボンクラ・ヘタレ高校生がエラリー・クイーン???
よりによって、こんなところで安易にE.Qを出さないで欲しいんです。あのひとは神様なんです、それをテキトーに持ち出すな、って。そういうの読むと、なにが?どこが?ちゃんしゃらおかしいじゃん。エラリーはなんたって基本的に性格は明るいし、実際、成就はしなくても女性にもてるし。
それと全く必要ないのが97頁と100頁の図。読んでも分からないだろうから書いてしまいますが、ここには大きな落とし穴があって、要するに入れ替えが可能だということは、主人公は誰が自分の前に居るかも、後ろを歩いているかも気づいていないわけで、ということはその間に誰でも入り得るろいうことで、結局、犯人の特定なんかできっこない。
ま、どちらの言い分が正しいかは読んで、じっくり考えてもらうしかないんですが、これって解決してないです。それで探偵?クイーン?なにが?どこが?こういうこと書くから苦情、というか批難の言葉が舞い込むんですけど、我慢できないんです。それなら読まなきゃいいんですが、どうも芦辺にはそうできない変な魅力があるから困るんです。
さて、魅力のない登場人物を紹介しましょう。
まず主人公ですが、暮林一樹といいます。なぜか学年が不明ですが、一年生ではないことは友人の夏川について「一年の時、同級で今は他のクラスに」といった説明があるので確かです。容姿ははっきりしませんが、平均より背が低いことは明記されています。ものごとを突き詰めて考えるからもてない、というか、もてないから物ばかり考えているというか、全く魅力を感じない高校生で、正直、キモイです。
主人公の唯一の友人というのが、一年の時、同級で今は他のクラスになっているという夏川至です。行動派で女の子に人気がある、学年に一人は居るタイプの万能モテモテ男です。これまた学年に一人はいる、というのが行宮美羽子です。主人公より背が低い、ほっそりとして華奢な感じの女の子で、目立つ美人ではないけれど、隠れファンがいます。あの子ね、って思って構いません。
京堂広子は、クラス委員、とはいうものの優等生ではないし美人でもありません。そこらを歩いているオバサンにセーラー服を着させた感じといえば分かってもらえるでしょうか。なぜかそんなオバサン女子高生に惚れている様子の、これまたクソみたいな高校生というのがクラス委員長の的場長成です。主人公と魅力なさで競っている感じです。
部外者代表が黒川内刑事。道を誤ってエリート路線から外れた刑事です。いつも黒づくめで、主人公と気が合うというか・・・ビミョーなところ。
そういったオーラ皆無の主人公たちが、どういった動きを見せるか、とりあえずあまり期待せずに読んでみてください。案外、私とは全く異なる感想を抱くかもしれません。最後に構成ですが
書き忘れられたプロローグ
チャプターが全部で19
それに誰も知らないエピローグ
あとがき
となっています。