「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
【菊池寛賞(第57回)】ミステリー小説の大家による辛口推理時評。東野圭吾「使命と魂のリミット」、横山秀夫「震度0」、逢坂剛「道連れ彦輔」、海堂尊「螺鈿迷宮」など、話題作を論じたエッセイ集第11弾。【「TRC MARC」の商品解説】
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
80歳でこの記憶力。そして整理整頓。5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を実行しているからではないか、なんて感心したり。でも一番面白かったのは、天皇陛下大いに笑ふ、だったりして・・・
2009/03/12 20:52
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやあ、恰好いいカバーです。石川流星のカバー写真を使った松沢順一郎(カメガイ・デザイン・オフィス)の技の、というかセンスが光ります。で、中身は全38章構成ですが、カバーにはそのうち13章のタイトルがあげられています。気になったので、カバーに書かれている章タイトルを再現するつもりで写してみました。
◎「官」と「公」横山秀夫氏『震度0』に関連して
◎薬丸岳氏『天使のナイフ』について
◎「だいじょうぶ」考 逢坂剛さんの『道連れ彦輔』をめぐって
◎東野圭吾さん『使命と魂のリミット』
◎立ち止まりながらの読書 海堂尊さん『螺旋迷宮』と真保裕一さん『最愛』
◎石持浅海氏『人柱はミイラと出会う』
◎小説の変わった読み方 藤田宜永氏『戦力外通告』
◎桂美人氏『ロストチャイルド』についての元編集者との対話
◎曽根圭介氏『沈底魚』をめぐって
◎楡周平氏『陪審法廷』をめぐって
◎稀作!折原一氏『暗い森』
◎道尾秀介氏の作品について
◎遊び心と小説技巧 誉田哲也氏『シンメトリー』について
となります。なぜ、これを写したかといえば、単なる字数稼ぎではありません。最後の「遊び心と小説技巧」に関連していることで、読んでもらえば色々考えるところがあると思うからです。38章ある中から、どうしてこれらのタイトルが選ばれたのか、頭の文字を並べれば何か浮かび上がるのか、もっと言えば右揃えで出来上がった図形は何かを意味するのか、等などです。初出は『小説推理』2005年8月号~2008年8月号。
文中に何度かゴルフの話とご自身が80歳になられたという記事が見受けられます。文章も立派だし、年齢を感じさせない秘訣はなんだろう、なんて思います。それと変わらない読書量。積読も多いようですが、それでも読む。それと記憶力。いつか読んだ、と思えば記事でも本でも思い出す、それが凄いです。
あらためて読みたいと思ったのが道尾秀介の作品。実はかなり前から意識している作家なのですが、いつも手を出してはそのまま戻す。でも天下の佐野洋がここまで褒めれば、無視できません。要チェック作家に格上げしましょう。笑えたのは桂美人『ロストチャイルド』、私も糞味噌にけなしましたが、それに近い。納得納得。
でも記事として最も楽しんだのは 34 遊び心と小説技巧 誉田哲也氏『シンメトリー』について です。目次の様子もタイトルも、字数も漢字も気にしてしまう私は、誉田氏の答えも気に入りましたが、佐野洋がかつて行った試みに心惹かれました。
推理には関係ない話で面白かったのは、3 藤田宜永さんの笑い、に出て来る「天皇陛下大いに笑ふ」という座談記事の件。『文藝春秋』1949年6月号に載ったサトウハチロー、辰野隆、徳川夢声の座談会記録ですが、私は皇室関係者の微笑以外を決して見せない非人間性(神性では決してありません)が不気味でならないのですが、あの昭和天皇が大いに笑ったというのは、いいなあ、って思いました。