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激論!「裁判員」問題 (朝日新書)
著者 木村 晋介 (監修)
裁判員に選ばれたら何が待ちうけているのか。休んだ仕事を気にしながら延々と証言を聞かされるのか。官の暴走にストップをかけ正義を実現するのか。そもそも辞退できるのか。賛成派も...
激論!「裁判員」問題 (朝日新書)
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商品説明
裁判員に選ばれたら何が待ちうけているのか。休んだ仕事を気にしながら延々と証言を聞かされるのか。官の暴走にストップをかけ正義を実現するのか。そもそも辞退できるのか。賛成派も反対派も納得すべく、問題を徹底討論する。【「TRC MARC」の商品解説】
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裁判員制度をめぐっての白熱の討議
2009/07/31 18:21
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:半久 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「おもしろい」といったら不謹慎かもしれないが、非常に白熱した「論争」になっていると思う。木村氏は《裁判員制度について賛成派と反対派がこれだけ激しい議論を戦わせた例を、私はほかに知りません。》といっている。それでも、議論がエキサイトするあまり一線を越えて、人格攻撃にいたるようなことがないのがいい。
議論はディベートの形式をとる。リングに上がるのは、反対派の代表が、『裁判員制度の正体』がベストセラーになった、元裁判官で現在は大学で教鞭を執っておられる西野喜一氏。賛成派の代表が、刑事弁護界の重鎮でありロー・スクールの教授でもある高野隆氏だ。
司会・進行役を務めるのがマス・メディアでおなじみの弁護士、木村晋介氏だ。ときどき見かける、迷宮にはまりこんで混迷化した議論をDランクとするなら、当議論は100%かみ合っているとまではいかずともA ′のランクにはあると思う。木村氏によるコントロールが効いているからだ。あらためて、しっかりした司会役がいるといないのでは違うなと思った。
両論客ともに、これまでの刑事裁判には問題が山積していることは認めている。「改革は必要だがもっと別のやり方があるはずだ」というのと、「このやり方でやってみよう」というのは、郵政民営化問題でもそうだったが、よく見られる対立構造だ。
どんな制度を作ってもメリットとデメリットはある。その意味で、お二人の議論にはどちらにも「一理あるな」と思えるところがいくつもある。多岐にわたる論点を提出していて、その利点・欠点をどう見積もるか、判断にむずかしいところがある。
高野氏は、賛成派だからといって現行の裁判員制度がベストだとは考えていない。被告人が争っている事件だけに、裁判員裁判の適用範囲を絞るのがよいとしている。西野氏も強硬な原理主義的反対派というわけではない。
《被告人に裁判員審理からの自由な辞退が認められ、かつ裁判所に引っ張られる国民のほうも、裁判員の義務から自由な辞退が認められるのであるならば、別に反対する理由はないと思っています。しかし、現行の制度では両方とも認められていませんので、被告人のためにも国民のためにも反対せざるを得ないというのが私の立場です。》
私もかなり近い立場だ。「市民の司法参加」という理念には魅力があると思う。しかし、(私は参政権について権利説に立っているということもあり)参加は任意であるべきだと考える。参加するかどうかの決定権は市民の側にあるということだ。ほかにも疑問点はあるけれども、最低限、上記が実現されなければ制度骨格の容認には応じられない。
どんな制度でも、実施されたあとも平行して見直しをかけていかなければならないのは当然のことだ。本書は、そのための価値ある手がかりを提供してくれている。