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商品説明
幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女の危険を回避するためだけに発動する。突発的な事故ならバリアーとして。悪意をもった攻撃には、より激しく。では、彼女に殺意をもった相手は?ガーディアンに、殺されるのだろうか。特別な能力は、様々な思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。石持浅海流奇想ミステリー、開幕。【「BOOK」データベースの商品解説】
幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護られてきた。彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女に殺意をもった相手には、どんな対応をするのか? 石持浅海流奇想ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
勅使河原冴の章 | 7−172 | |
---|---|---|
間章 | 173−183 | |
栗原円の章 | 185−319 |
著者紹介
石持 浅海
- 略歴
- 〈石持浅海〉1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部卒。「アイルランドの薔薇」で本格デビュー。ほかの著書に「BG、あるいは死せるカイニス」「心臓と左手」など。
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紙の本
これでユーモアがあれば、なんて思いますが、お話の趣旨からは脱線してしまう。そうすると、超能力もの特有の後味の悪さが気になる。でも、悪くはない・・・
2009/03/18 19:32
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本で石持作品を読むのは、これが『月の扉』『BG、あるいは死せるカイニス』に続く三冊目で、今、手元に『人柱はミイラと出会う』が待っていますから、四冊。それに『2006 ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑』で「Rのつく月には気をつけよう」も読んでいますから嫌いというわけではありません。
ただし、もし佐野洋が『推理日記 PART★11』で、◎石持浅海氏『人柱はミイラと出会う』とい章で褒めていなかったら、この三冊目も、いまそこにある『人柱はミイラと出会う』も、私が手にすることはなかったでしょう。少なくとも私が読んだ『月の扉』『BG、あるいは死せるカイニス』二冊の評価は高くなかったのですから。まさに私のよき導き手、佐野洋さまさま、です。
でもこのタイトル、なんだか近藤史恵の小説にあったような・・・。ありました、その名も『ガーデン』、1996年に単行本ででて、今は文庫で手に入る本でした。中身は全く覚えていませんが、うろ覚えでもタイトルが記憶に残っているというのは、それなりに面白かったんでしょう。今の活躍ぶりも、そのころから約束されていた・・・
閑話休題。脱線修復、本業回帰。でも、違うんです。当然ですね、近藤のはお庭、こちらはボディ・ガードのガード。守るほうなんです。でも、私なんかは「カーディガン」と似てるな、なんて思ったりもします。で、近藤にはSFテイスト、っていうのが殆どないんですが石持にはある。あくまで設定に使うんですが、それが、カバー折り返しの著者の言葉
本書には「ガーディアン」という、非現実的な存在が登場します。
存在するはずのないものが、現実世界に現れる。そのとき分別ある大人たちは、いったいどのようなことを考え、どのように行動するのでしょう。
そんなことを考えていたら、まったく毛色の違う、二つの物語が生まれました。
お読みになった後、もう一度考えてみてください。
――あなたなら、どうなさいますか?
になっていきます。カバー後ろの案内には
お父さんに恥ずかしくないように生きる。それは、
護られている彼女のルール。
幼時に父を亡くしてから、勅使河原冴はずっと不思議な力に護ら
れてきた。彼女が「ガーディアン」と名づけたその力は、彼女の危険
を回避するためだけに発動する。突発的な事故ならバリアーとして。
悪意をもった攻撃には、より激しく。では、彼女に殺意をもった相手
は? ガーディアンに、殺されるのだろうか。特別な能力は、様々な
思惑と、予想もしない事件を呼び寄せる。 石持浅海流奇想ミステリ
ー、開幕!
とあります。SFというか超能力ものとでも言えばいいのでしょうか。毛色の違う、二つの物語というのは、目次を見ればわかります。初出とともに簡単に内容を紹介しましょう。
勅使河原冴の章(「週間アスキー」2007年3月20日号~6月26日号(「ガーディアン」改題):『業務改善プロジェクト』のために一ヶ月間だけ社内各部署から集められた仲間たち。飲み会の席で友人の菅井美穂が勅使河原冴の秘密「てっしーには、ガーディアンがついている」とばらしてしまう。その帰宅途上、彼らはその証拠を見せつけられる。そして仲間の一人が死んだ・・・
間章 (書き下ろし):夫の洋樹が娘の円が映るビデオに発見したのは・・・
栗原円の章 (「ジャーロ」2008年春号(「ガーディアン2」改題):倉中奈々子に頼まれて郵便局に行くことになった栗原円。二人が用事を終え外に出ようとした時、局に飛び込んできた黒ずくめの男たち。彼らはその直前に、銀行強盗をして逃走中だった。祖父のガーディアンに護られている円と、それを知りながら友だちとして付き合ってきた奈々子。二人を人質にしようとする男たちに・・・
超能力ものによくあるラストの後味の悪さは、このお話でも変わることはありません。でも、悪くは無い。特に、勅使河原冴の章は、社会人の戸惑いがあっていいな、って思います。それに比べて、栗原円の章は、今流行りの女学生ものなので、「またセーラー服?」、なんで男性作家は十代の女の子を主人公に据えたがるかな、なんて首をひねる。
それと、無いものねだりを承知で言えば、もっとユーモアが欲しい。特に若い女性を描くのに、笑いがないっていう、それだけでも不自然だと思うんです。なにが難しい、ってユーモアだっていうのはよく分かるんですが、あえて言いたいです。若さ溢れる健康な笑いが欲しいな、って。
最後ですが、デザイン関係者は
カバーデザイン:泉沢光男
カバー写真:SPOON KENTAUROS/
orion/amanaimages
Marc Romanelli:ゲッティイメージズ
カバー印刷:近代美術
です。本をそっくり写したんですが、なぜ Marc Romanelli:ゲッティイメージズ なんでしょう。なにが、ってなぜ Getty images ってアルファベットで普通に書かないか、ってことなんです。だって、見た目だって悪いじゃないですか、はっきり言って、これって異物混入ですよ、絶対におかしい。疑問です。
紙の本
本格とSF。このミスマッチをどう料理するのか?
2011/12/07 11:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
背表紙のあらすじに目が止まりました。設定がおいっきりSFです。著者は現代本格の旗手、石持 浅海さん。「月の扉」は名作でしたね。本格とSF。このミスマッチをどう料理するのか?
●守り神は亡き父親
「ガーディアン」。それは勅使河原 冴(てしがわら さえ)を護衛するバリアのような超常現象。幼い頃に他界した父が守護神となり、彼女を傍で見届けているのでしょうか? しだいにエスカレートする能力に困惑する冴。そんな中、信頼していた仕事仲間が彼女の背後を……。
●本格ミステリ作家が描くSF
SFというガジェットを大前提に、あくまで論理で謎を解き明かす。最近ではドラマ「SPEC」が果敢にチャレンジしていました。アイザック・アシモフの「鋼鉄都市」や J・P・ホーガンの「星を継ぐもの」など。海外の名作SFはミステリとしても秀逸なものが多いですね。
本格ミステリ作家が描くSF。西澤 保彦さんの「七回死んだ男」のような感じかな? と期待したのですが。どちらかというとSFサスペンス。宮部みゆきさんの「クロスファイア」っぽい。海外で言うとスティーブン・キング。超意外です。
●サスペンスには不向き?
本著は2部構成になっています。まず前編。仲間内のディベートで懇々と推論を展開するロジックスタイル。そんなシブさがウリの石持作品。今回はそれが裏目に出ましたね。理屈っぽい主要人物たち。サスペンスには向きません。キャラが魅力薄なのでしんどかったです。そこが前述の宮部作品と決定的に異なる所。
後編の主役は……。内緒にしておいた方がいいかな? 前編とずいぶん趣が異なります。こちらの方が展開としては動的。ですが残念ながらもうひとつでした。キャラの薄さと展開の意外性のなさが致命的ですね。
少々肩透かしを食らってしまいました。また楽しませてくださいね石持さん。今度はいつもの冴えたロジックで。
※「です・ます調」レビュー100本ノック。13本目。