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商品説明
羽村祐太、48歳独身、求職中。でも意外と、名探偵かもしれない。円熟のトリックが冴え渡る西澤ミステリの新境地。【「BOOK」データベースの商品解説】
勤務先を早期退職した孤独な中年男・羽村祐太。高校の同級会に出席した彼は、30年ぶりに再会した加藤理都子に「人前では説明しにくいアルバイト」をしないかと頼まれたのだが…。「迷いゴミ」他5篇を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
迷いゴミ | 7−59 | |
---|---|---|
戻る黄昏 | 61−112 | |
その日、最後に見た顔は | 113−162 |
著者紹介
西澤 保彦
- 略歴
- 〈西澤保彦〉1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。高知大学助手などを経て、執筆活動に入る。「解体諸因」でデビュー。ほかの著書に「ソフトタッチ・オペレーション」「収穫祭」など。
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紙の本
こういう話って好きです。なんていうか全体が徐々に見えてくる、それは結構ありふれた手法ではあるんですが、それを上手にやる、しかも、ね、こういうことまでやるんですから、上手いです。
2009/01/28 19:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
我が家には二枚、リトグラフがあります。作家は北見隆。本の装画をたくさん手がけ、装幀もやっています。名前を聞いても分からない人は、赤川次郎さんの文庫のカバー画を描いている人、っていったほうがいいかもしれません。もっとストレートにいえば、この本の装画の担当者でもあります。そして装幀が中央公論新社デザイン室、DTPは石田香織。
長編だとばかり思っていましたが、連作でした。といっても一篇一篇は独立しながらも、でもきちんと繋がっているというものなので、長編と考えても間違いではありません。話の中心にいるのは現在失業中の羽村祐太ですが、そういう展開をするとは思えない始まり方をします。そしてラストも予想も付かないもので、さすが西澤だといいたくなります。
そういう話の運びが少しもわざとらしくありません。それでいて各話は実に論理的なまとまりかたをしていて、上手いなあと思います。特に、老人の多くがなる痴呆状態を、単に話のタネにするだけではなく、かなりきちんと見つめているのは、西澤の経歴ゆえかもしれませんが、ともすれば利用するだけの作家が多いので、褒めておきたいと思います。
それと登場人物の名前です。西澤といえば難解な漢字の人物ばかり登場するので、誰が誰やらわからなくなって閉口したものですが、最近は、読者が首を捻って唸るようなエキセントリックな名前の登場人物が減ってきて、とりわけ今回はそういうことは全くありません。早速、各話の説明をしましょう。
・迷いゴミ(「Web小説中公」2007年1月号、2月号):48歳で百貨店を退職し、現在失業中の羽村祐太に同窓会で声をかけてきたのは、大学生になる娘がいるという加藤理津子、独身の彼に彼女が頼んだのは・・・
・戻る黄昏(「Web小説中公」2007年3月号、4月号):一人暮らしをしている弓削宗則は、買い物に出かけようとしているときに腰を痛めてしまった。そんな老人を助けてくれたのが近所に住む羽村祐太。弓削には自然食レストランを経営する佐智子という長女がいて・・・
・その日、最後に見た顔は(「Web小説中公」2007年9月号、10月号):小谷野陶子は同じマンションに暮らすイチカワ翁が苦手。エレベーターで一緒になった時の気分の悪さといったら。でも、その理由がわからない。どうやらその原因らしきものに見当がついたとき・・・
・幸福の外側(「Web小説中公」2008年1月号、2月号):父親の葬儀の席で「あたし昔、ユウちゃんのこと好き、だったんだ。」と言い出したのは弓削佐智子。三つも年上の52歳の女性から思わぬ告白をされた羽村祐太。姉の発言を気にした弟は、羽村のことが気になるものの、妻の雪子の行動もおかしくて・・・
・卒業(書き下ろし):大学の卒業論文と家事に追われる膳場詩織が密かに楽しみにしているのは、毎週水曜日に母の同級生である失業中の羽村祐太とのゴミの整理。そんな秘密を見抜いたのが、大学の友人、三留ルナ。友人の惚気ともつかない愚痴を聞いているうちに詩織が思いついたのは・・・
・夢は枯れ野をかけめぐる(「Web小説中公」2008年4月号、5月号):交通事故にあった弓削佐智子の病床を見舞った羽村祐太に、義妹の雪子を遠ざけてまでして告げた年上の女性の最後の願いは・・・
普通に書いてこれだけ楽しません、しかも驚かせてくれる。ロマンスの描き方もいい。文句のつけようがないんじゃないでしょうか。