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閉店時間 ケッチャム中篇集 (扶桑社ミステリー)
9.11テロの傷痕残るニューヨーク。街では閉店間際のバーを狙った武装強盗が相次いでいた。バーテンダーのクレアは、恋に破れた哀しみを胸に抱えつつ今日も店に出る。自分を待ちう...
閉店時間 ケッチャム中篇集 (扶桑社ミステリー)
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商品説明
9.11テロの傷痕残るニューヨーク。街では閉店間際のバーを狙った武装強盗が相次いでいた。バーテンダーのクレアは、恋に破れた哀しみを胸に抱えつつ今日も店に出る。自分を待ちうける運命も知らず…。未練を残して別れた恋人たちを襲う悪夢を描く、ブラム・ストーカー賞受賞の表題作をはじめ、意想外の結末へと読者を導く怒涛のサスペンス「ヒッチハイク」、傑作ノワール・ウエスタン「川を渡って」等、ケッチャム文学の最高峰を示す中篇四本を厳選して収録。加速する狂気に貴方はついていけるか。【「BOOK」データベースの商品解説】
【ブラム・ストーカー賞最優秀中篇賞(2004年度)】【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
閉店時間 | 7−89 | |
---|---|---|
ヒッチハイク | 91−228 | |
雑草 | 229−286 |
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紙の本
闇の先に光はある。ただ、それは求めるものにしか見えない
2008/11/11 21:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「隣の家の少女」「地下室の箱」のジャック・ケッチャムの短編集。
*閉店時間
*ヒッチハイク
*雑草
*川を渡って
の4編が収録されている。帯には「暴走する嗜虐、非情のリリシズム。鬼才の精髄、ここに極まれり」とあって、もうこれ以上の言葉は必要ではないんじゃないかと思う。
描かれているのは、暴力。
それも、容赦ない、非情な、それなのに単純な暴力だ。
解説にもあるが、これが2001年の911テロの後に書かれた意味の重さをいやおうなしに感じる。
人は、暴力の連鎖から逃げることは出来ないのだろうか。
愛だって、振り切れてしまえば、それは暴力という形を見せる。また、憎しみも、境界を越えればたやすく他者を傷つける。そして、愛も憎しみも、そういう感情もなく、ボーダーを軽々と飛んでしまう人だっている。
「雑草」の怖さは、これにつきる。
ボーダーを越えるということは、そんなにたやすいことなのか? その危険は、他者のものではなく、自分の中にもあるものなのかと。
「閉店時間」で、すぐ側にある危機を描き、「ヒッチハイク」で自己の平安の危うさを描き、「雑草」で自分の中の危険に警鐘を鳴らしている。
平和に、安らかに生きていたいというささやかな願いは、悲しいぐらいもろい。それが、本当に悲しい。
ケッチャムの作品は、暴力的であることは確かだ。
けれど、「川を渡って」のように、悲劇的な結末の中に一縷の望みがある。それは、暗闇の中の小さな光のようだ。
光を見たいから、多分、ケッチャムを読むのだとこの短編集でわかった。