紙の本
社会に警鐘を鳴らす意味で、著者にはぜひ続編を出してほしい。
2009/02/01 22:47
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は心理学の勉強を専門にしたことがないので本書によって初めて知ったのですが、心理学の教科書に長年掲載されている事柄の中には、全くの根拠のない“神話”が数多くあるとか。そんな“神話”のあれこれがなぜ多くの人々に信じられるに至ったのか、その顛末について、一般の読者でも理解できるように平易な言葉で追った一冊です。
いや、実に面白かった。
面白いと同時に勉強になりました。
まず表題にもなっている「オオカミ少女」のアマラとカマラの二人のお話が抜群に面白いのです。この「オオカミ少女」のお話は、私が小学生くらいのときに世界の怪異現象をとりあげた子ども向けの本の中に紹介されていて、以来私は30年以上もインドには昔オオカミに育てられた少女たちがいたと本気で信じていました。
しかし本書によれば、オオカミ少女伝説は二人の少女の養育者であったシング牧師夫妻が都合よくこしらえたお話であったようです。残された少女たちの記録写真をひとつひとつ丁寧に見ていきながら著者はそこに様々な矛盾点を指摘していきます。
さらに驚きだったのは、人心操作に利用されうると人々に恐怖を抱かせた映像のサブリミナル効果が、実は広告業界の男によって捏造されたものであり、科学的な研究論文が一切存在しないものであったということです。
人気ドラマ「刑事コロンボ」の1エピソードに、このサブリミナル効果を応用したと称するトリックが出てきます。中学時代にこのテレビドラマを見て、私もサブリミナル効果の神秘的な力を心の底から信じてしまったものです。
著者はこうした心理学の神話の責任が、それを生み出したデタラメな学者にだけではなく、それを無責任に広めていくマスコミにもあることを最後にきちんと指摘しています。
まさにおっしゃる通り。上述したとおり私もメディアを通じて随分と騙されてきたものです。
紙の本
えっ!いなかったの!
2018/08/26 15:46
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投稿者:Otto Rosenthal - この投稿者のレビュー一覧を見る
馴染みの書店の中でも普段は寄り付かない学術書コーナーをブラついていたとき、タイトルのキャッチーさが胸に響いて、思わず手に取りました。
オオカミ少女もサブリミナル効果もいまだに信じている人(恥ずかしながら私もその一人でした)も多いでしょうから、科学啓蒙書としておススメです。
紙の本
タイトルに衝撃を受けました
2016/02/28 10:42
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題の「オオカミ少女」も本書内にあるサブリミナル効果や
双子のシンクロニシティも、科学的事実だと思い込んでい
ました。
確かに心理学には胡散臭い部分があるなぁ、とは思っては
いましたが、胡散臭い部分が良くも悪くも面白い部分なの
で、私を含めた門外漢には印象深く心に残るのでしょうね。
心理学が「科学」になるための生みの苦しみの部分を興味
深く読みました。
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サブリミナル効果、赤ちゃんが心音で泣き止む、プラナリアの記憶実験、双子実験など
的確な検証されていないにもかかわらず巷で定説のように扱われている。09.2
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否定されているのに事実として何度もよみがえり、テキストにさえ載る心理学の数々の迷信や誤信。それらがいかに生み出され、流布されていくのか「人間の営み」としての心理学のドラマを読み解く!
1章)オオカミに育てられた少女は捏造
2章)サブリミナル効果は捏造
3章)言語や文化が知覚を制限することはない
4章)バードの双生児研究は捏造
5章)母親が赤ちゃんを左胸で抱く根拠はまだ不明(心音説は否定的)
6章)計算できる天才ウマは、計算しているのではなくて回りの挙動で答えていた
7章)プラナリアの条件反射は可能で、共食いによる条件付け成立は何によるものか未だ不明
8章)アルバート坊やの恐怖条件付け実験は怪しい
終章)心理学を科学として認めてもらうためには
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これ面白いっす。もうね,尖ってますね。攻撃的です。
確かに,僕らが常識として教えられてきた,まさに「嘘のようなほんとの話」が実はやっぱり嘘だったりすることを,説得力をもって示してくれている。
早速,授業で使わせていただきました。当然のことながら,出典付きで,この著者はこういう風に今までの説に異を唱えていると言う形で紹介しました。だけども,こういうのって案外おざなりにされがちだとは確かに思う。
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素人向け心理学の本の好きな私としては、え〜(-_-;)そうなのか(-_-メ)という話が多く、ちょっとショック。コーラの広告のサブリミナル効果がうそなんだったら、最近ちょろちょろ見かけるサブリミナル効果というやつもウソなのか〜?
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本当に面白くて、小気味良くて、読了までに其程時間が掛からなかった。
心理学の講義でも必ずと言っていいほど例に出され、
また、心理学を学ばずとも今日の様々なメディアに於いて信しやかに語られている彼れや是れが、
鮮やかな切り口で論破されている様は痛快である。
加えて、それらによって、ヒトの心理について多く考えさせられるのも、
『心理学』を冠するに値する良書であると言えるだろう。
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「人は数字に弱い。数値が出てきただけで、それが科学的に保証されたものと思い込んでしまう」あの双生児研究もデータ捏造ありなのか/”長年会わなかった育ちの違う双子が同じ好み”も、実は連絡を取り合っていただけだった?確かに逸話として面白いし信じたくなるが。研究対象の証言に頼ってしまうと、ときにトンデモができてしまうと。
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ある現象を心理学的に○○といわれると、どうも人はそれを信じやすい。
昔からあるオオカミに育てられた子供の話なんて冷静に考えてみれば胡散臭いわけだが、
ゲゼルなどの著名人に力説されると、何となく信じてしまう。
サブリミナル効果もその一種らしい。
昔の映画は一秒間に24コマ。
そのような技術の時代に1/3000秒の中に1コマのメッセージなんて流せるわけない。
「無意識に働きかける」なんて言われるといかにも効果がありそうだが、
その裏づけとなるような実験もデータも存在していなかったなんて・・・
意外と驚かされた一冊。
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サブリミナル効果とか、或いはオオカミ少女のアマラ・カマラと言った話は現代社会に於いて広く知られているが、実際これらの効果は科学的見地から見た場合非常に怪しいものであると論じた本。これらの噂は確かに一人歩きしやすい性質を持っているなと感じた次第。
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本書は,副題に「心理学の神話をめぐる冒険」とあるように,心理学上における迷信や誤信の例を挙げてそれが何故なかなかなくならないのかを「人間の心理」をもとにして考えています。
「帯」の文章をを紹介しましょう。
否定されているのに事実として何度もよみがえり,テキストにさえ載る心理学の数々の迷信や誤信-それらがいかに生み出され,流布されていくのか。「人間の営み」としての心理学のドラマを読み解く!
誤謬や迷信に興味がある私にとって,本書は期待通りの内容の本でした。
取り上げられている内容は「アマラとカマラのオオカミ少女」「サブリミナル効果」「言語・文化相対仮説」「双子の話」「赤ちゃんを左手で抱くのは」「りこうな馬ハンス」などです。
サブリミナル効果の話ってどんなことだったのか正確には知らなかったので,顛末を知っておもしろかったです。どう考えてもあり得ないことが,一人歩きするなんて,人間の心理ってある意味とっても情けないものですね。サブリミナル効果なんて,未だに信じている日本人も多いんじゃないかなあ。
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心理学の神話、オオカミに育てられた少女、サブリミナル効果の欺瞞、天才ウマは実験車が作り出したもの、赤ちゃんを左胸に抱く心音説、等々、俗説が蔓延していることに驚いた。
ただ少し取り上げている話が古い気がする。
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心理学という、直接識別することが難しい学問において、今まで何の気なしにに信じていた者が必ずしもそうではないということをこの本によって知ることが出来た。
盲信するするのではなく、それが真実かどうか吟味することが大切だと思った。
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心理学の嘘、でっち上げ、間違いを丁寧に暴いていく。「狼に育てられた子-カラマとアマラの養育日記」(福村出版)、「メディア・セックス」(リプロポート)等、どれだけの人が真実と受取っているだろう。そしてそこから、どれだけの別の真実が作られていっているのだろうか。
「カラマとアマラ」「サブリミナル」「プラナリアの学習実験」「アルバート坊や」など、心理学では有名すぎるトピックスの「嘘」が丁寧に暴かれていく。いくつかについては、僕もそう信じてきたし、いくつかについては、当初から眉唾とは思っていたが、それを口にすることはなかった。
いまだに「狼に育てられた子」も「メディア・セックス」・・・は、書店に並んでいる。たぶん大学図書館にもあるはずである。まず、心理学を学んでいる方は本書を読んでいただきたい。そして、もしそれらについて今も真実だと思っているのなら、その知識はリセットしていただいたほうがいいかもしれない。
科学を志す方もぜひ読んでいただきたい。真実に近づく態度として、本書はすばらしい。
「論文捏造」(中公新書)という本もあるけど、功名心に負けてしまう科学者って意外と多いのかも・・・。そして、自分の経験と感性をもっと信じたほうがいいのかも知れないと思うのであった。鈴木に指摘されるまでもなく、常識的に考えれば「おかしい」ことはやっぱりおかしいのである。もっとも、この常識とやらが結局、知識や経験からしか得られないものだから、「非常識」が広く流布されることにもなる