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- カテゴリ:中学生 高校生 一般
- 発行年月:2008.8
- 出版社: 小学館
- サイズ:22cm/60p
- 利用対象:中学生 高校生 一般
- ISBN:978-4-09-726346-3
紙の本
いしぶみ
つまらない石ころのぼくにも、ひとつだけ自慢できることがある。人々がまだ言葉を知らなかった頃、ぼくは「石文(いしぶみ)」と呼ばれ、手紙として活躍していたんだ。2008年9月...
いしぶみ
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商品説明
つまらない石ころのぼくにも、ひとつだけ自慢できることがある。人々がまだ言葉を知らなかった頃、ぼくは「石文(いしぶみ)」と呼ばれ、手紙として活躍していたんだ。2008年9月公開映画「おくりびと」から生まれた絵本。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小山 薫堂
- 略歴
- 〈小山薫堂〉1964年熊本県生まれ。放送作家。小説やコラムの執筆、ホテルのプロデュースなどで活躍。
〈黒田征太郎〉1939年大阪生まれ。世界各国でライブペインティングを行う。
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紙の本
耳をすましてください
2009/05/21 08:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した滝田洋二郎監督の『おくりびと』に、銭湯を営む友人の母の死をみおくった主人公とその妻の、納棺師という夫の職業から生じていた二人の心のわだかまりが緩やかにほどけていく場面があります。
最上川のほとりの河原。主人公が妻のために探す、石ころ。
「何?」と訊ねる妻に主人公はそれが「石文(いしぶみ)」というものであることを告げます。「昔さ・・・まだ人間が文字も知らなかったくらいの大昔。自分の気持ちに似た石を探して、相手に贈ったんだ。もらった方は、その石をギュッと握りしめて、その感触や重さから遠くにいる相手の心を読み解く」(オリジナル・シナリオより)ものと、妻に教える主人公。
最上川の風景と相俟って、印象に残る一場面です。
「石文」に込めたものは、脚本家小山薫堂だけでなく、監督滝田をはじめとした映画『おくりびと』の俳優、スタッフたちの「伝えたい」という思いであったでしょう。
そして、多くの観客が拍手と涙と賛辞をもって、その思いをしっかりと受けとめた。
そんな映画であったのではないでしょうか、『おくりびと』という映画は。
映画の脚本を書いた小山薫堂が文を書き、絵を「野坂昭如/戦争童話集」などの挿絵などを手掛ける黒田征太郎が描いている、わずか六十数ページのこの本は、そんな映画から生まれた絵本です。
「それは それは 僕の一生なんて ひどいものです」というふうに、この小さな物語は石ころからのメッセージの形で書かれています。
石ころの夢が「かいだんをのぼること」なんて知らなかった。苦手なスポーツが「水泳」というのはなんとなくわかっても。
理想の相手は・・・・少し笑えますよ、本を読んでみてください。
このように、この絵本の前半は映画とはまったく関係ありません。子どもたちと一緒に素直に楽しめばいいでしょう。
そして、後半で映画にあったように「いしぶみ」のメッセージが書かれていきます。
こうして文章として読むと、「いしぶみ」に込められた意味がよくわかります。
それは「いしぶみ」を贈られる側の心です。
この絵本にこうあります。「あなたの大切な人は きっと あんた以上に ぼくを強くにぎりしめるでしょう。あなたの心を知りたくて」
映画『おくりびと』の主人公は父からもらった「石文」をどれほど強く、そして何度もにぎりしめたでしょう。母と自分を捨てた父が残したメッセージを知りたくて。
伝えたいものは本当はそんなに簡単には伝わりはしません。
小さな石ころの声が聞こえるようになるには「聞きたい」「知りたい」という強い気持ちが必要でしょう。そして、それは映画であっても絵本であっても同じです。
そっと耳をすましてください。あなたには何が聞こえますか。
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。