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  • みんなの評価 5つ星のうち 3.9 219件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2008.9
  • 出版社: 新潮社
  • レーベル: 新潮文庫
  • サイズ:16cm/394p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-10-216931-5
文庫

紙の本

チャイルド44 上 (新潮文庫)

著者 トム・ロブ・スミス (著),田口 俊樹 (訳)

スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと...

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チャイルド44 上 (新潮文庫)

税込 781 7pt

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商品説明

スターリン体制下のソ連。国家保安省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、あるスパイ容疑者の拘束に成功する。だが、この機に乗じた狡猾な副官の計略にはまり、妻ともども片田舎の民警へと追放される。そこで発見された惨殺体の状況は、かつて彼が事故と遺族を説得した少年の遺体に酷似していた…。ソ連に実在した大量殺人犯に着想を得て、世界を震撼させた超新星の鮮烈なデビュー作。【「BOOK」データベースの商品解説】

【英国推理作家協会(CWA)賞イアン・フレミング・スティール・ダガー賞(2008年)】【日本冒険小説協会大賞(第27回)】【「TRC MARC」の商品解説】

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みんなのレビュー219件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

犯罪が存在しない国での犯罪

2008/12/14 13:58

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る

ニューズウィーク日本版5.28号の書評で紹介されていて、ずっとそそられていたが、個人的な事情により今まで読めなかった小説である。
.
舞台は1953年、スターリン恐怖政治下のソ連。”疑わしきは罰すべし”の論理により、多くの人間がささいな、あるいは全くいわれのない罪で弾圧されている。主人公のレオ・デミドフは、弾圧の先鋒を担う国家保安局(KGBの前進)の捜査官だが、自らも”疑わしきは罰すべし”の陥弄に捕らわれて左遷される。レオは左遷先で、連続殺人と思われる事件に遭遇する。だが、”凶悪犯罪は退廃した資本主義社会の病気であり、理想の共産主義国家ソ連に犯罪は存在しない”という絶対不可侵の建前の下、連続殺人犯の存在を指摘する事は国家への反逆に等しい。果たしてレオはどうするのか?
.
犯罪は存在しないという建前に固執するあまり、犯罪が起きた事を頑として認めまいとする…その気持ちはわからなくもない。だがそれでも、良心的に犯罪を捜査しようとする人間を反逆者扱いするなんて、いくら何でもひどすぎると思う。スパイや反逆者は”疑わしきは罰すべし”の論理をふりかざして、行き過ぎた弾圧をする一方で、一般の犯罪は存在すら認めず、実質的に野放しにするのも、完全にバランスを欠いている。本書の連続殺人犯もかなりのサイコだが、スターリン時代のソ連という国家の方がはるかにサイコだと思った。
.
だが、楽しいとはほど遠い話にもかかわらず、グイグイと話に引き込まれていった。終盤になると、強引な展開やご都合主義が目に付くのだが、それらを打ち消して余りある圧倒的な迫力があった。特に、自分はどうなろうとも、連続殺人犯の凶行だけは食い止めようと苦闘するレオを、手放しで応援してしまった。

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紙の本

傑作です。ミステリファン、冒険小説ファン読むべし、めちゃおもしろ!!。

2009/05/11 00:52

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最初に、書いておきますが、これめちゃ面白!!。

 ロシアが舞台の作品と聞き、翻訳ミステリの名作「ゴーリキー・パーク」
を勝手に想像してしいまいましたが、
(実は、私、ミステリの名作「ゴーリキー・パーク」
 ウィリアム・ハートの映画は見たのですが、原作は読めていません。
そんな不埒な私が、かってに比較していいのか!!) 
 作風としては、若干違うか!?という感じ。

 プロットですが、
冒頭に、プロローグとして、
ロシアの田舎で飢えと飢餓に襲われた
兄弟の話が割りとねちーっと描かれます。そして、連れ去られてしまった兄。
 スターリン時代のソビエト。管理社会、密告社会が国家として頂点にまでいっていた時代です。
 国家保安省の捜査官レオは、部下の息子が鉄道脇で変死体で発見されたにもかかわらず、
その事件性を無視するように説得し、事故として処理させてしまいます。
共産主義のソ連では、連続殺人などの犯罪は、資本主義社会の悪癖だと国家として
考えているため、連続殺人など、起こるはずはないと、考えているからです。
 やがて、スパイ追撃の折、狡猾な部下の計略にはまり、
地方の民警に左遷されてしまうレオ。そこでも、惨殺死体を発見し、
一連の因果関係に一人気付くのですが、、。

 これ、捜査物、謎解きと思ってしまうのは、若干間違いです。
謎解きの要素は、それほどないかもしれません。
 実は、冒険小説です。
 前半のスパイ追撃のシーンもそうだし、左遷されてからもそうなのですが、
主人公は、本当に、ぎりぎりのところまで追い詰められていきます。
自分の身も危ない
(危ないどころか、収容所への護送列車から脱走までしています)
状況なのに、事件を捜査してしまう。
勿論、部下の息子の事件を握りつぶした負い目もあるのでしょうが、
そんなに身を削ってまでなぜレオが捜査するのか?
 それが不思議でしょうがないほど、追い詰められようなのです。
この辺が、近年の冒険小説にないほどの切迫感でした。
 著者は、これがデビュー作で、はっきりいって、
ストーリーテラーではないかもしれません。
 ただ、一つ一つを自分のイメージにあわせて丹念に描写している感じ。
それが、ロシアの寒さ、暑さ、過酷さ、殺人犯の不気味さ、
密告社会の恐怖感、と成り、例えようもない迫力で読者に迫ってきます。
それが、リーダビリティ、切迫感、緊張感にもなっていると思います。

 多分、傑作です。いや、傑作です。

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紙の本

受賞作だから、評判だから、って安易な気持ちでとりかかると、挫折します。重く暗い、やりきれない話です。旧ソビエトの悪口をいうのは簡単。でも、戦前戦後の日本にだって今のアメリカにだって闇はある・・・。心して読みましょう

2009/02/26 22:06

7人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

カバーは上下巻を並べれば、一つの絵になって線路が真っ直ぐに伸びますが、カバー色が上下巻で白と赤と全く異なっているので、一体感が損なわれている、それがもったいない気もします。ま、現代絵画的に見れば、そういうやり方も「あり」なんでしょうが、それならもう少し変化を加えてもよかったかな、と素人判断。

そんなカバー写真は

Paolo Pllegrin/Magnum Photos
Alex Majoli/Magnum Photos
Robert Warren/ゲッティ イメージズ

です。ふむ、なんで英語好きの新潮社が突然、ゲッティ イメージズって書くんでしょうね。今までは Getty Images と平気で書いていたはずなんですが。で、ついでに書いちゃうと、このお話って、ソビエトものだけあって暗いんです。読んでいて、戦前の日本の軍隊、憲兵、特高を連想します。そういうソビエトのイメージズって間違っていません。

ちなみに、この作品はCWA賞受賞(最優秀スパイ・冒険・スリラー賞)作だそうですが、そういったミステリマニアに対する殺し文句がカバーの紹介文に入っていません。こういうのって凄いというか勿体無いことです。帯は一過性の存在なんですから、カバー本体にこそ、こういう美味しい文言は欠かせない、って思うんです。理由、切に知りたいです。

ストーリーについてはカバー後の案内を引用するので、注意点だけ書いておきます。メインの話は1953年のソビエト連邦が舞台です。でも巻頭にその20年前、1933年のエピソードがあります。それと CUBE製作 の地図。上巻を読んでいる限り、どちらも殆どその役割を果たしませんが、下巻にはいると、その意味が良くわかります。心して読みましょう。

カバー後ろの言葉ですが上巻は

スターリン体制下のソ連。国家保安
省の敏腕捜査官レオ・デミドフは、
あるスパイ容疑者の拘束に成功する。
だが、この機に乗じた狡猾な副官の
計略にはまり、妻ともども片田舎の
民警へと追放される。そこで発見さ
れた惨殺体の状況は、かつて彼が事
故と遺族を説得した少年の遺体に酷
似していた・・・。ソ連に実在した大
量殺人犯に着想を得て、世界を震撼
させた超新星の鮮烈なデビュー作!

下巻は

少年少女が際限なく殺されてゆく。
どの遺体にも共通の“しるし”を残
して――。知的障害者、窃盗犯、レ
イプ犯と、国家から不要と断じられ
た者たちがそれぞれの容疑者として
捕縛され、いとも簡単に処刑される。
国家の威信とは?組織の規律とは?
個人の尊厳とは? そして家族の絆
とは? 葛藤を封じ込め、愛する者
たちのすべてを危険にさらしながら、
レオは真犯人に肉迫してゆく。

となっています。登場人物を少し詳しく書いて補いましょう。

レオ・デミドフ:主人公で、30歳になる国家保安省捜査官。国家のため、体制のためとあれば真実などはどうでもいい、いやむしろ真実とは「国家のため」になるものである、と堅く信じる男で、その姿勢は国から高く評価され、エリートといっていいでしょう。第二次大戦の英雄でもあります。

ライーサ:レオの妻で、27歳の美女、教員です。地味な身なりをわざとしていますが、彼女の美しさに気づいた男たちは、欲望を抱かざるをえなくなるような女性です。ただし、彼女はそのことに気づいていない、というか無視しようとしているふしがあります。子供ができないことを周囲が気にしています。両親は殺され、親戚もいないという設定です。

ステパン:レオの父。

アンナ:レオの母。

ヤヌズ・クズミン:レオのことを評価している上司で、少佐です。ただし、この時代のソ連の人間らしく、自分の身を捨ててでも部下を庇う、というようなことは決してしません。この話に出てくる殆どの男たちは、相手がミスを犯せば掌をかえしたように友人を、隣人を、上司を、部下を、そして配偶者をすら切って捨てますが、ヤヌズも例外ではありません。

ワシリー・ニキーチン:レオの部下ですが、品性下劣。自重するということを知らず、すぐ暴力に走る35歳の男で、敵役といっていいでしょう。人を殺すことになんのためらいも覚えず、かえってそれをレオにとがめられたことから逆恨みをし、上司の失脚、というか死そのものを画策します。容姿に恵まれているのに、獣以上に見られないという男です。帝国軍人の憲兵タイプ。

フョードル・アンドレエフ:レオの部下です。我が子の死に疑問を抱き、再調査をレオに依頼しますがが、事故として処理され、レオに恨みを抱くことになります。人間としては口が軽く思慮に乏しく、いかにも我々がイメージする旧体制下のソビエト官僚です。

アナトリー・ブロツキー:アメリカ大使館の人間などと付き合いがあったと目される獣医で、監視の目をくぐって逃亡します。彼の家族の扱いをめぐるレオとワシリーの対立は、この話を暗く陰湿なものにしていきます。

イワン・ジューコフ:ライーサの学校の同僚で、40代の反体制派と目される教師です。それもあって、ライーサは彼に心を許し、ある意味、夫以上に信頼しています。それがレオを苛立たせているとも知らない、いや知っているのかもしれないという危険な存在です。イワンもレオのことを嫌っています。

ワーラム・バビニッチ:知的障害者ゆえに事件の犯人に仕立てられやすい男で、女性の髪や幼児に偏執的な思いを寄せています。彼の扱いをめぐってもレオとワシリーは対立を深めます。

ネステロフ:中央から来た人間を恐れるヴォウアルスク人民警察署長。人間としてどうこう、というよりは、なにより己を守ることに汲々としている典型的なソビエト官僚です。レオの任務に疑いを抱き続けます。

どうでしょう、これだけでも暗くなってきませんか。このミスで選ばれていたから、っておいそれと手を出していいようなものではないんです。この暗さを正面から見つめる勇気がなかったら、軽いミステリが好きだったら、止めたほうがいい。でも、世界の真実、日本にもあり、世界の何処にでも見かける剥き出しの権力の無情、非情を知り、少しでも世の中を変えたいと思うなら、是非読んでください。フィクションのなかにも真実はあるのです。そういう本です。

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紙の本

恐怖政治の元での個と国家をサスペンスタッチで描く。

2012/02/26 11:13

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:更夜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ」

 これはチャールズ・チャップリンの『チャップリンの殺人狂時代』の台詞で、反戦スローガンとして
有名です。この映画でチャップリンは、戦争による殺戮を弾劾しましたが、そのせいで当時の
アメリカの右翼的な政府から、赤狩り(レッド・パージ)の名のもとにアメリカを追われてしまい
20年後にならなければアメリカへは戻れませんでした。

 この物語は、ソビエト連邦で実際にあった事件を元にしています。
残虐な方法でたくさんの子どもを殺害した事件。12年にもわたる間、犯人がつかまらなかったのは
この物語の舞台となるスターリン恐怖政治、静粛時代にあったスローガンに
「この社会には犯罪は存在しない」というものがありました。

 共産主義だからこそ、平等であり、平和でなければならない。
そういう社会のしくみのひずみから、こんな罪を犯す人間はソ連の人間にはありえない、という
盲点だったそうです。すべては資本主義の悪癖の洗脳からしかしかありえない、という
西側に対する恐怖の裏返しともいえる自信が故の灯台もと暗しだったのでしょう。

 作者、トム・ロブ・スミスはイギリスの作家ですが、様々な文献からこの物語を立ち上げました。
骨太にして、繊細、巧妙かつ大胆、はりめぐらされた見事な伏線、緊張感がとぎれない文章の
潔さ、流れるようなストーリー展開、ドキュメンタリー手法を駆使した冷静さが、最後の最後まで読む者
の気をそらさない、一流の冒険小説ともなっています。

 主人公となるのはレオという国家保安省の調査官。
主人公だから、正義のヒーローか、というとレオはあくまでもソビエト国家のはっきり言えば犬です。
印象深いプロローグから、レオの優秀な捜査官ぶり・・・と思いきや、それに嫉妬する部下の
策略によって、罠にはめられ、失脚する。

 レオはその失脚のきっかけを作ってしまった事件に対峙します。
ある少年の死が事故か、殺人か?うやむやに 葬り去る、それがレオの仕事であったのに、
そのせいでレオと妻、ライーサ、特権階級の恩恵 を受けていた両親までもが失脚する現実。
子供は事故ではない、殺されたのだ、とやっと気がついて
その真相を追うと同時に、反逆者のレッテルをはられ、政府から追われる身となります。

 レオの妻、ライーサは小学校の教師でしたが、子どもへの社会的教育の現場を知っています。 

「国は詩人を必要とはしていない。哲学者も宗教家も必要としていない。国が必要としているのは
寸法と量が測れる生産性。ストップウォッチで計測できる成功だ。」

 国と個、個と個、というものを誰ひとりステレオタイプな単純な人間と描かず、人の殺意を
漠然とした狂気や資本主義の悪癖ですまそうとする「国の狂気」を浮き彫りにしています。
人間の持つ業の深さ からの裏切り、告発の陰湿さ、家族、夫婦、親子の失望と再生を見事に描きわけ、
それをまた見事にブレンドしつつ、物語の展開のスピードは失速することがない。

 これは、スターリン恐怖政治時代だから、こんなことが起きた、だけですまさないものがあります。
現に次々と独裁政治が革命によって倒され、水面下で行われていた恐怖政治のあれこれが
浮かび上がっては、また次の革命が起きているという時代。
共産国だから、ということもなく、日本だって「こういうものなんだから仕方ない」と考える事を
停止してしまう恐怖というものも感じるのです。

 

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紙の本

ぐんぐん引き込まれる

2015/08/23 10:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:jacky - この投稿者のレビュー一覧を見る

共産主義による人間の尊厳が失われた社会。政権に近い者のみが権力を振りかざし、都合の悪い真実は葬りさられる。
その中で、主人公が何か人間にとって真実なのかを明らかにしていく。一気に読み進め、社会の不条理を考えさせらる一冊です。

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紙の本

俊英の華麗なデビュー作は前評判にたがわぬ快作、深さと娯楽性の幸せな融合、ただし犯罪の質はショッキング

2013/04/04 15:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

作家の本国イギリスでは相当話題になった本らしい。
小説自体の面白さだけでなく、何しろ作者はスウェーデンとのダブルのイギリス人で、
執筆時20代半ばと若くて、ケンブリッジ大学英文科をトップで卒業したエリートで、
出来上がったものもイギリス最高の純文学賞であるブッカー賞候補になったというではないか。
話題性があるわけだ。

ただ誰にでも勧められる本ではない。
旧ソ連、飼い猫すら食べようとするほどの飢餓の寒村を舞台に、そこで起こる殺人からすべては始まるのだ。
この出だしも、全体で扱われる犯罪の質も衝撃的なもので、これには当然拒絶反応を示す読者もあるだろうし、
その辺にどう反応するかが、小説自体の評価にも影響してくると思う。
私自身も抵抗はあったし、それに作家の若さのせいなのか、文章に味わいがあるほどでもないし、
最初はどうかと思ったものの、主人公のレオが出てくるあたりからいい感じになった。

舞台が旧ソ連であることについても深く考えていなくて、
ふつうに事件があってそれを解決するスタイルのミステリーと思っていたのだが、
スターリン時代のソ連を西側の作家が描いてそれで済むわけもない。
シリアスなミステリーで知られる英国の大御所ジョン・ル・カレの再来のように言われているらしいが、
ミステリーとかル・カレとかいうより、個人的にはかなり強く、
ジョージ・オーウェルの『1984』の連想があった。
拷問の場面などだけでなく、全体主義国家による恐怖政治の中の個人、という話。
題の付け方に数字があるのも、作中の建物の番号などと同じく管理国家的な連想を呼び起こす効果があるだろう。

レオは体制側の秘密警察のような組織のメンバーで、
そこからいろいろ疑問を感じて離れて行って、そのためにより危険を背負うことになる、という展開である。
追う者が追われる者でもある、というのはグレアム・グリーンなどについてよく言われるパタンだが、
追うがゆえに追われる、というのはなかなか新しい気がした。
そういう大元のところが予想外だったので、途中全く展開が読めなかったのもよかった。

途中驚いていたら、まだ別の驚きもあって意表を突かれるなど、ミステリーとしての質も高い。

謎解き的な興味が、スターリン時代のソ連で生きる人間の問題と融合しているのが見事なわけだが、
そうしたテーマ的なものだけでなく、
プロット的にも、犯人探しとレオのサバイバルとの二重構造というにとどまらずに、
これらが密接に絡み加減がすばらしい。
最終的に、物語は単なる犯人探しでもその逮捕でもなく、
また、問題はレオと全体主義国家のものだけでもなく、
個人が背負う運命的な悲劇という相まで加わって深みを増す。
なるほど、ブッカーの候補になるのも納得。

レオは、といえば、そんなこんなで、けっこうぼろぼろだ。
が、挫折と繰り返しながらも希望を持って、それでまた挫折して、ぼろぼろでも前に進もうとするのがいい。
妻のライサもまた、単なる美女キャラクターではない複雑な人物造型で、全体にこの二人の成長物語とも読める。

なお扱われている犯罪については、作者の後書きによるとネタがありそうだったから調べてみると、
かなり事実を基にしているらしいとわかった。事実の方がいっそう異様で、不気味だったのだが。

ところで、名匠リドリー・スコットが映画化の権利を買ったと聞いたが、映画はどうなったのだろう。

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紙の本

これほどまでのサディスティックな描写が連続する小説は読んだことがなかった。

2009/01/03 15:37

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

盗聴盗撮装置を張り巡らし、国民の私生活を徹底的に管理する未来社会。首相暗殺の犯人にでっち上げられた若者が秘密警察に追われる。絶体絶命。危機一髪、友人の協力で逃れる。甘美な友情賛歌。伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』は思想などとはおよそ無関係、饒舌の若者たちが軽快に突っ走る、コミカルな香港製アクション映画のようだった。

同じように国家権力が犯罪者とした男の逃亡劇ではあるが、『チャイルド44』、これは激辛のリアリズム。スターリン統治下のソビエトを舞台にした身の毛のよだつマンハントチェイスストーリーである。これほどまでにどぎついサディスティックな描写が連続する小説にはいままでお目にかかったことがない。

冒頭の一節から度肝を抜かれる。寒村の飢餓地獄。もはや食物はない。ねずみはいない。猫もいない。一匹いた猫がこれも自分が食われると気づいて森へ逃げる。これを幼い少年が追い詰める。これを見ていた男が少年に襲いかかる。猫ではなく少年を食うために。スターリン統治下では飢饉により数百万人の死者がでたと聞くからそれはこんなこともあったはずだが、圧制の被害者である一般人を小説でここまで残忍に描かれると生理的に気持ちが悪くなるのは避けられない。

ジェイムズ・ボンドが罠に嵌ってどこまで真相を知っているかと拷問にかけられる、あるいは正義の一匹狼が悪党の指を切り落としながら金のある場所を吐かせる、これらはどんなに過激であってもそれはそれだけである。だが『チャイルド44』は普通の市民を相手にするものだ。善良な人間を政治犯に仕立て上げるために加える自白強要の拷問シーンはスパイ冒険小説やハードボイルドサスペンスとはまるで違う。ここまでのリアリズムは必要ないのではないかとその惨さの表現に嫌悪感すら覚える。そしてこの尋問官、さらにその組織、そしてスターリン体制へ、読者としての憤りがいやがうえにも高まってくる。
恐怖政治 監視国家、秘密警察、密告システムなどなど知識としては持ち合わせているのだが、これらにより国民はお互い、夫婦、親子といえども疑心暗鬼、見ざる聞かざる言わざる、生きている心地がしない毎日………など生活の現場が実に克明に描かれているため、この恐怖を肌で実感することになる。

「犯罪は資本主義の欲望がなすものであり革命後のソ連には犯罪は存在しない」ゆえに44人もの幼児を惨殺する事件はありえない。「ある」と主張する人間がいればそれは国家に対する反逆だ。………とする「国家と犯罪の理論」が成立していることが、このミステリーの大前提なのだ。が、いくらソ連だからといって罪人のほとんどが政治犯というわけではあるまい。いささか無理のある設定ではないだろうか。だが、ミステリーには虚構の約束事は許されるし、まあいいだろう。

国家保安省(KBGの前身)の敏腕捜査官レオ・デミドフは彼を蹴落とし出世を狙う狡猾な部下ワシーリーの計略(レオの妻・ライーサはスパイであるから告発せよ)にはまる。レオとライーサ、彼の家族は生きていられなくなる過酷な状況に追い込まれるのだが、なぜか片田舎の民警へ追放されるにとどまった。だがそれは死よりも苦痛を強いるワシーリーのサディスティックな処置であった。赴任地でレオは広域で少年少女が同じように猟奇的手口で惨殺されている事実に気がつく。だが殺人事件の存在しないのがソ連だから、警察の捜査はいい加減であり、これらはいずれも事故として扱われていた。
国家に対する反逆罪と烙印を押されたレオ。ワシーリーの繰り出す巧妙な捜査体制。見つかれば殺される絶体絶命の危機また危機。だがレオは訓練を積んだ有能な諜報員でもあり殺しのプロでもある。レオとライーサは生き延びるためのあらゆる手段を駆使して逃げる、逃げる。ライーサの応戦力も並大抵ではない。この息を継ぐ間もない逃走劇がこの小説の最大の魅力だ。そして連続殺人鬼に肉薄していく。

アクション冒険小説につきものの「痛快な」ではない。「過酷・冷酷な」バイオレンスアクションの連続技、リアル感も凄い。
ミステリーとしての仕掛けも成功しており大いに堪能できた。

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紙の本

ロシアが舞台の新鮮ミステリー

2009/02/09 16:22

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

スターリン体制下のソ連、
自由主義の常識とは全く違うところで
当然のように社会は動いていた、
この事実だけで、ミステリーと言うか
サスペンスたっぷりだ、
たぶんある程度は現実を描いたものだろう。

そう思うと、
個人の意思が押さえつけられた様な社会を
人間は受け入れてしまうものなのか、
何か違う、こんなことオカシイ
そう思いつつも人間はその苦しい枠の中で
それでも自分らしくやっていけるものなのか。

したたかであり
弱くもあり
だから愛しいのか。

寒い寒い国で子供を狙った
連続殺人が発生する、
その事件をめぐって国家保安省の
敏腕捜査官の主人公が
犯人逮捕の為に
踏み越えてはならない一線を越えてしまう。

こんなふうになら無いと良いがと
思う悪い方向にどんどんと進んでいく、
上下巻の読み応えのある作品だ。

映像になったら面白いだろうなと
思いながら読み進めた、
心の奥底の苦悩などが中心の
かなり難しい作品にはなるだろうが。

かなり面白く読めた作品だった、
でも実はラストを迎えてほっとした部分も、
そして蛇足的な部分に目をつぶれば
これはかなり良く出来た作品だ。

都会が舞台の慌しい展開の小説と比べ
新鮮なテンポと新しい感じの恐怖
しっかりとした描写で読ませてくれた。

でもなんだろう、読み終えるのがもったいないとまで
感じるには何か物足りなさも、
でもそれは贅沢なことだろう。

★100点満点で75点★

soramove
http://yaplog.jp/sora2001/

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紙の本

過大評価

2009/05/13 00:11

8人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読書屋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品、各方面で絶賛の嵐ですが、僕的には読破するのが辛いほど面白くなかったです。
ストーリーは古臭いし、ありきたりだし、良い所が一つもありませんでした。
この本のせいで、最近海外ミステリーから離れていってます。

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2008/09/09 21:50

投稿元:ブクログ

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2008/09/27 19:54

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2008/10/28 17:02

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2008/11/15 18:55

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2008/11/23 11:44

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2008/11/24 20:25

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