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紙の本
お神酒徳利 時代小説 (祥伝社文庫 深川駕籠)
著者 山本 一力 (著)
深川の新太郎と尚平は息の合った若い駕篭舁き。ある日、尚平のもとに想い人おゆきをさらったという手紙が届く。堅気の仕業ではないと考えた新太郎は、博徒の親分・恵比須の芳三郎を訪...
お神酒徳利 時代小説 (祥伝社文庫 深川駕籠)
お神酒徳利―深川駕籠
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商品説明
深川の新太郎と尚平は息の合った若い駕篭舁き。ある日、尚平のもとに想い人おゆきをさらったという手紙が届く。堅気の仕業ではないと考えた新太郎は、博徒の親分・恵比須の芳三郎を訪ねた。筆跡から、かどわかしには札付きの渡世人・弥之助が関わっていることがわかるが…。二人はおゆきを無事救出できるのか?好評「深川駕篭」シリーズ、待望の第二弾。【「BOOK」データベースの商品解説】
収録作品一覧
紅蓮退治 | 7−84 | |
---|---|---|
紺がすり | 85−264 | |
お神酒徳利 | 265−427 |
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紙の本
できる駕籠舁きも、ひとりではデキない
2010/11/17 18:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ときには、路傍で苦しんでいる臨月の女性を茶店に運び、産婆をおぶって連れてくる。
ときには、火事の現場へ飛んで行き、火消しを手伝う。
新太郎と尚平はできる駕籠舁きだ。現代だったら、救命救急士や消防士のような仕事についていたかもしれない。
駕籠舁きは脚の速いのが自慢である。飛脚と勝負してもなかなか決着が付かない。そのために、前の年の師走に、深川の肝煎りたちと鳶の辰蔵親分と今戸の芳三郎親分とが勝札を売り出して江戸シティマラソン(トライアスロン?アクアスロン?)をおこなったほどである。
それなのに、新太郎と尚平は、毎月十五日、家主の木兵衛と銭函を駕籠に乗せて、深川から入谷まで、「歩いて」行かなければならない。入谷にも木兵衛の持つ長屋があって、無愛想な差配人がいるのだ。木兵衛は新太郎と尚平の身元引受人だし、実家を勘当された新太郎も、在所の村から追放された尚平も、木兵衛の御蔭で仕事と住まいを得たので、頭が上がらない。別に、駕籠に乗せていくだけならば構わないのだ。ただ、ずっと歩き通して行け、と言われるから、嫌なのだ。駕籠舁きが、「はあん、ほう、はあん、ほう」と拍子良く声をかけながら走っていかないと、町の人々が指差して笑うのだ。こどもなんかがいたずらするのだ。だけど、木兵衛さんには逆らえない、ふたり。
木兵衛は因業でけちんぼで愛人を囲っていて……と新太郎たちは思っていたが、ある行き倒れの親子との出会いから、木兵衛には実は意外な一面があることがわかる。銭函の中身の使い道も。それから、さくらちゃんというかわいい娘とも知り合えた。そしてさらに、今戸の芳三郎親分が警備を請け負っている材木商が、悪党どもに狙われていることに気づくことにもつながった。
いまいち、新太郎と尚平には、悪党どもの企みの全貌がつかめなかったが、そこは芳三郎親分、知恵があり、また、「空見」という、現代の気象予報士のような人物の助けも借りて、万全の態勢を整えて悪党どもを待ち受ける。新太郎と尚平も一緒になって、悪党たちと闘う。
人情に篤く、友情の絆の強い、新太郎と尚平。一時は、美しく優しく賢いおゆきさんへの恋のライヴァルともなったが、尚平と彼女とが相思相愛だと知ってから、新太郎は、ふたりをくっつけるために「怒り断ち」をしたり、いろいろと奮闘努力をしてきた。でも、おゆきいわく、新太郎と尚平とは「お神酒徳利」で、どちらか一方だけでは、女とデキることもできないのだ。
おゆきが誘拐され、それを助けるために尚平と新太郎は奔走し、今戸の芳三郎の力を借りる。無事におゆきが帰って来て、今度こそ尚平とくっつくと思いきや、ふたりはますます、新太郎をそばから離さない。
いささか極端な気もするが、こういう友情というか、同志愛というか、同僚愛というか、それもありかな、と思う。
新太郎が、尚平とおゆきをくっつけようとすればするほど、善意は空回りするようだ。こうなったら、作戦の方向を変えるんだ。新太郎がさくらちゃんとくっつけば、尚平も安心しておゆきとくっつくぞ、きっと。
そうだ、ついでに、損料屋の喜三郎と江戸屋の秀弥もくっついて、三組一緒に合同結婚式、なんてどうでしょうか。作者へ、お願いします……
紙の本
いいなあっ!
2009/02/28 21:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終わった瞬間思わず声が出てしまう。「いいなぁっ!」。何とも、心を揺さぶってくれる。なんとも僕の日本人のココロを、揺さぶってくれる。・・・面白いなぁ。山本先生の本を読むたびに、自分の住む町深川が、どんどんどんどん、好きになる。本作品もまさにそんな感じ。そんな感じの、本当に素敵な作品が、本作なんである。
前作「深川駕籠」に続く第二弾の本作。変わらず主人公は駕篭かきの二人、新太郎と尚平である。駕篭かきだからこその視点で、江戸の街と風俗を感じさせてくれる。お互いを「相方」と呼んで信じあう二人。だからこそ、のジレンマもあったりする。そこに今回は焦点をあてている。お互いがお互いを必要としている。でも、一生の伴侶にはなりえない。心に決めた女がいても、相方を思えば祝言は挙げられない。そういう相方を、また心苦しく思う相方がいて・・・。そんな折り、その女がかどわかし(誘拐)にあってしまうのだ。静かに怒りを募らせる二人。それでも物語は決して上ずらない。ぐっと丹田に力を込めて怒りを腹に貯めて、犯人を追い詰めていくのだ。ちゃっちゃかした今の世の中に、「事が甚大であればあるほど、落ち着いて大人であれよ」と訴えかけているようだ。
毎度新しい切れ味を見せてくれる山本作品。3つの短編が、まさか最後に見事に絡むとは。最近読んだ本の中では、一番「そうきましたか!」感が強かった。しかも清く美しく粋であって「情けは人の為ならず」なんである。ああーー面白い!!
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相肩を気遣い合う新太郎と尚平の強固な結びつきを描く、深川駕籠シリーズ第二弾。
2010/09/30 20:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
深川の駕籠舁き・新太郎と尚平の粋と矜持と人情と、二人の周囲で起こる事件を描いたミステリー風の作品。
新太郎と尚平のプライドをかけて競う賭けに焦点が当てられていた前作「深川駕籠」とうって変わって、今作品では恐喝、拐かし事件が中心のミステリー風の作品となっている。
収録されているのは全3話。
●勘当された実家の隣町に火事が起き、実家を守るため、その鎮火に奔走する新太郎を描いた【紅蓮退治】
●今戸の渡世人・芳三郎が材木の見張りを請け負う材木問屋丸木屋への恐喝事件をミステリータッチで描き、新太郎と尚平の家主であり親代わりである木兵衛の意外な素顔を描く【紺すがり】
●尚平とおゆきのなかなか進展しない関係と、おゆきの拐かし事件を描いた【お神酒徳利】
実は、前作品もそうだったのだが、新太郎と尚平の周囲に起きた事件の解決には、直接二人が関わっていない。
事件そのものが今戸の渡世人・芳三郎に関わりあることもあり、解決には二人の知己となった芳三郎が中心となってあたり、二人はそのサポート役をしている。
そのため、芳三郎の男っぷりに主人公の二人が喰われてしまっている雰囲気があり、主人公の活躍を期待していた人には物足りなく感じるかも知れない。
その一方で、相方を気遣い合う二人の強固な結びつきや、困っている人をみんなで助け合う人情、己の事に責任を持つ矜持を濃厚に描いており、爽やかな気持ちにさせてくれる。
人によっては、「深川駕籠」と「お神酒徳利」で描かれている物語の違いに、シリーズものの連続性が失われたと感じるかもしれない。
しかし、一本の棒を互いの肩で支え合う『相肩』、新太郎と尚平の結びつきの強さをモチーフとして、二つの味で楽しませてくれると考えれば、紛れもないシリーズもの。
その男っぷりに目立ち気味の芳三郎も、ひとたび新太郎と尚平の強固な結びつきに目を向ければ、たちまち影が薄くなってしまうだろう。
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駕籠舁きのオフ
2018/12/19 23:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:rilla - この投稿者のレビュー一覧を見る
駕籠を担いでいない 訳ではないですが、シリーズ第1巻と比較すると駕籠から離れた印象があります。
登場人物が、こう、揃いも揃って曲者?!って…面白過ぎる。
最初の疾走感からすると、叙述が丁寧になっていて抒情的に感じられます。
何がどうした、という目に見える展開が好きな方には少しだけ物足りないかもしれません。
駕籠舁きの二人に強烈な魅力があるので、もっとドーンと構えて書いて欲しかったかな、という気はします。
それでもお薦めです。