紙の本
オウィディウスは『変身物語』っていう常識が崩れました。ほとんど恋愛の手引き、いえいえ性愛術すら包含するすごい指南書です。もちろん、バリバリの現役本で通用します
2009/02/16 20:11
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに惚れました。女にとって、恋愛はいつまでも夢見、憧れるもの。カバーカット=マイナデスを誘惑するサテュロス(ボンベイ壁画、一世紀)もいいものです。カバーは中野達彦。多分、中野の仕事ていうのは一冊一冊の個別デザインではなく。この文庫のカバー全てに拘わる基本フォーマットのことじゃないかと思うんですね。他の表現のほうがいいのではないでしょうか。
ちなみに、私にとってオウィディウスは『変身物語』の著者以外の何者でもないのですが、あとがきによると、この『恋愛指南 ―アルス・アマトリア―』、今も世界的に広く読まれている本だそうです。それは我が国でもにていて、出版二ヶ月経った時点で、岩波のHPをみると重版の最中とあります。
で、読めばわかりますがかなり真実をついたことが書かれています。どんな女性と付き合うべきか、女とはどういう生き物か、あるいはセックスの最中の女の様子、ついには性技についても出ています。ま、最後のものは量的にもたいしたことはありませんが、それでもそれが古代の女性?って言いたくなるようなあられもない姿を見せたりします。いやはや売れるはずというか・・・
カバー折り返しの言葉は
航海術や馬術のごとく恋愛にも技術がある。
愛の名著か背徳の書か、詩人に名声と流刑を
もたらした書は男女に濃やかな知恵を授ける。
遊びの恋、戯れの愛、洒脱と雅とを離れず、
知的にことをはこぶには…〈黄金のローマ〉
時代の社会や風俗を鏡のごとく映し出す奇書。
となっています。構成は目次に従えば
第一巻
第二巻
第三巻
訳注
解説 沓掛 良彦
と味もそっけもありません。でも、ここには今でも使える様々な恋愛テクニック、というか女性の見方が示されています。まさに今に生きる古典、といっていいでしょう。そういう意味で「〈黄金のローマ〉時代の社会や風俗を鏡のごとく映し出す奇書」というのは、これを女性に読ませないための意図的な謳い文句ではないか、なんて思います。
オウィディウス=『変身物語』という私の常識は間違っていた、そう確信させる一冊でした。我が家の娘二人にも読まさねば・・・
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「恋愛は、戦いの場である」
2000年も前からほとんど進歩がないもの
それが恋愛なんじゃないかって思う。
みずからを「やさしき恋の戯れ人」と呼ぶ
ローマの詩人、オウィディウスの
ありがた~いお言葉は、
21世紀の男女にも役立つことが沢山である。
「あらゆる女はつかまるものだ」
と心に確信を抱け、というマインド的なことから
「出合いたいなら円形劇場
(今でいえばクラブみたいなものか?)行け」、とか
具体的なアドバイスまでびっしり。
中には「びびることなかれ」なんて
現代の草食男子にも
聞かせたいお言葉も。
ありがたや、偉大なる詩人、オウィディウスさまさま。
恋愛にだけは、
人間あと2000年かけても
進歩しないままなんでしょうね!
だからこそ、楽しいんだろうな、恋って。
辛いこととか、情けないこととか含めて。
みんないい恋できればいいなーとか思う。
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オウィディウス『アルス・アマトリア』の新訳。
タイトルがなぜ「恋愛指南」でなければならないのか解説には詳しいが、私には些かの違和感が残る。
平凡社ライブラリー版よりも訳注は詳しい。
それでもなんだか愉快な気分になれないのは、何故?
「正確さ」という意味ではこちらを推すべきなのでしょうが、やはり私は、樋口勝彦訳を。
楽しんで読めなければ、わざわざ2千年以上も前の人の恋愛指南を手に取らなくてもいいもん。
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「恋愛の師匠」オウディウスが軽妙洒脱に恋の駆け引きを歌う。今にも通じるところがあってふつうに面白い。当時はパロディだったのに中世ヨーロッパではバイブルとなって真面目に読まれていたというのがまた面白い。中世ヨーロッパ文学を読む際のキーブックかも。
「薔薇物語」後編で引用されまくりなので読んでみた。
解説によると「アベラールとエロイーズの往復書簡」にも引用があるらしい。
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恋愛に関する駆け引きは紀元が始まる頃からも共通であることが文面からよくわかります。
不倫は暴いてはならぬとか、周りの堀を如何に埋めるとか、周りの同僚の身に現在進行形で起こっている事も書いてあり、思わず笑ってしまいました。
喧嘩した時の仲直りの方法も豪快かつ直接的で昔の人の考えっぽい。小難しい字体でエロいことかかれると当惑してしまいます。
第三巻は女性の身だしなみが中心だったので読み飛ばしました。
誰もが共通して興味が持てる話題の古典ですので、古典ジャンルの中ではかなり取っ付きやすいと思います。イメージとしては読書好きな女子高生に読んで欲しい。(妄想)
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ローマの温泉マンガ「テルマエ・ロマエ」のおかげでローマ時代の本に手をでしてみて、はまった一冊。作者のオウィディウスはローマ文学を知る人は誰でも知っている大変な大詩人だそうだが、恋愛詩の大詩人による「ハウツー恋愛」の本。かなりきわどいテクニックまで網羅されている。
2000年前も今も男と女の物語は何にも変わらないことを改めて痛感!!たとえ話の舞台を「ローマの円形競技場→どこかのサッカースタジアムかスポーツバー」と言う風に書き直すだけで、全く現代でも通用する内容。
ところでWikipediaによると作者は高名な詩人であったが、ベストセラーになった本書が風紀紊乱と咎められ、流刑地で生涯を終えることになったそうな(真相は皇帝の娘にに手を出したらからとも言われるが)。そんなことも知って読むとまた一興!
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塩野七生さんのローマ人の物語を読んでいて、人間の本質を語った名著として紹介されていたので購入した一冊。
引用、例示されているのが、ギリシア神話などで、註を見なければ中々ニュアンスや意味が分からないのは難点だが、2000年後の現代でもそこかしこで繰り広げられている男と女のやりとり、また、そのテクニック的なものが展開されており、本書がローマの人々にとってベストセラーだったということは分かる気がした。ローマ時代のan-anとでも言おうか。。。
どのような態度は人に、特に異性に良い印象を与えるのか、または悪い印象を与えるのか。どのような点に気を配るべきなのか、ある行動・言質の背後にある思い、狙いはどのようなものなのか。
読み継がれている古典は、結局時間が経っても変わらないものを含む、すなわち、人間そのものが今も昔も変わらない部分を捉えている、ということだと改めて思った。
望むらくは、高校生、大学生、結婚前、結婚後と、人生の色々なステージで読んでみると、より面白いのではないかと思う。
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2000年前の恋愛指南書。「意中の女性には値の張る贈り物をせよ、などと私は言いはしない。ちょっとしたものでいいのだが、ちょっとした品で、これぞぴたりというものを抜かりなく選んで贈るがいい。」だそうです。←それができれば苦労しないって
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オウィディウスの非凡な才能と歴史的価値とで、いかめしい文学作品のように思えますが、そんなこと全くありません。机に座って難しい顔して読むものではありません。冒頭に良家の子女は読者対象に入ってません、という意味の詩句があります。
訳者あとがきは、学ぶ者たちの友情にじんときます。必ず読んで欲しい。
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自らを愛神(アモル)の師匠、経験豊かな詩人とするオウディウスの書です。紀元前後の時代に神様の恋愛模様を皮肉り、古代~当時の名著をパロディ化する。なんてセンスでしょう。そりゃあ法律に引っ掛かるようなこと書いてませんよ~って予防線も張りたくなりますわなぁ。(解説によると結局この作品のせいでローマを追い出されたそうですが。)恋愛とは戦争であり狩りである。獲物を得るにはどうしたらよいか。手にした獲物を逃がさないためにはどんな技術が必要か。女性には、男性に気に入られるにはどうしたらよいか。そんなことをローマ人の気骨溢れる口調で説かれるんだからもう笑っちゃいますよ。しかも内容が結構情けない。目当ての女性の服に付いたチリは払い落とせ、付いてなくても払い落とすふりをしろ、小間使いは釣るか口説き落とすかして丸め込め、居留守を使われたら見なかったふりをして耐え忍べ、女に悪口を言われたり打たれたりするのを恥と思うな等々。女性に対してもすごいです。男は騙すこともあるけどそれでどんな損をするんだ、一心に自分を磨いてこそ美しくもなるのだ、女が遊びごとをしらないなんてみっともない…。可笑しくて可笑しくて、できるなら全文紹介したいくらいです。
註もしっかりついてるけど、神話の神様とエピソードをある程度知ってれば毎回参照しなくても十分読めます。ので、本当に色んな人にお勧めしたい。局地的でもいいからブームになってほしいです。
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『恋愛指南』・・・
このタイトルはなかなか書店で買う時には変に意識してしまう・・・
恋愛HowTo本じゃないし!岩波文庫だし!古代ローマだし!と、色々考えながらもとりあえず購入!
読み終わっての感想は、ローマの風紀結構乱れてたんだろうな~と(笑)
女を捕まえたければ闘技場行け! とか、 ゴミついてなくてもついてるフリして落としてあげて、親切具合をみせつけ~の、スキンシップ!
などと恋に関するテクニックが書かれています。
1、2章は男性向けですが、3章は女性向けに書かれています。まあ、貞淑な女性には無縁のものらしいですが・・・
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今のモテ本のタイトルにでもありそうですが…これ、紀元前に書かれたもの。
3部で構成されており、平たく言えば「女性へのアプローチ法」「交際を持続する方法」「女性の男の操り方」で構成。第1、2部は男性へのメッセージ、3部は男女両方へのメッセージに解せました。現在でも十分通用することが書いてあり、紀元前に書かれた内容とは思えないのが本音。とりわけ随所に記されたファッション、エチケット論は興味深かったです。
「髪も髭も確かな腕の持ち主に切ってもらうこと」
「鼻毛一本たりともたててはならない」
「女性は化粧をした後、化粧品を机の上に出しっぱなしのところを男性に見られてはならない」
身だしなみは大事ですが、今でも紀元前でも押さえるべきことは共通している部分が多いようです(笑)
また、本書は随所で神話を引き合いにして論を展開しており、これが読みづらくしている一方で、同書の味を出しているともいえる気がします。
岩波文庫で出版されているので、比較的容易に入手が可能…今度の月曜会も恋愛系の課題本ですので、あわせて読むと面白いかも??
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二千年前に書かれたというのがまず驚きの本。今も昔も基本変わらないんだなあと、時間も場所も超えて人の心理を垣間見られる点では百人一首より面白いかも。隔たりが大きいので。成る程納得のアドバイスもあり、ギリシア神話の多様な引用もあり、ローマの気風を伝えるところあり。こんだけ読んでて楽しいと、そりゃみんな読むよね。
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[ 内容 ]
航海術や馬術のごとく恋愛にも技術がある。
愛の名著か背徳の書か、詩人に名声と流刑をもたらした書は男女に濃やかな知恵を授ける。
遊びの恋、戯れの愛、洒脱と雅とを離れず、知的にことをはこぶには…“黄金のローマ”時代の社会や風俗を鏡のごとく映し出す奇書。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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あんまり読み込めた自信はないんだけど、恋愛ってきっと楽しいところもあるんだろうし、そういう楽しさを追求してるスタイルの本だとすれば、そういったセンス好きだなぁ・・・!でもこれが漠然とでも響くのは古典だからかも!