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商品説明
ファン・エイク、ユトリロ、信貴山縁起絵巻、ゴーギャン…。名画にまつわる“生と死”の謎と、事件の真相を画材の裏まで透徹する慧眼が射る!驚嘆の美術ミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
ファン・エイク、ユトリロ、信貴山縁起絵巻、ゴーギャン…。絵画修復士・御倉瞬介が、名画にまつわる「生と死」の謎と事件の真相を追う。表題作など全5編を収録した連作美術ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
神殺しのファン・エイク | 5−64 | |
---|---|---|
ユトリロの、死衣と産衣 | 65−138 | |
幻の棲む絵巻 | 139−217 |
著者紹介
柄刀 一
- 略歴
- 〈柄刀一〉1959年北海道生まれ。公募アンソロジー『本格推理』への参加を経て、98年「3000年の密室」でデビュー。著書に「時を巡る肖像」「マスグレイブ館の島」など。
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あまりオリジナリティで判断をしたくないんですが、柄刀の作品て二番煎じの感を免れないんです。勿体ないと思うんです、ミステリとしては良くできている。でも、他の人の名前を思い浮かべちゃうんです。今回は藤田、北森両氏の影がチラホラ。その点、表題作はいいかな・・・
2009/05/30 17:13
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どっちが先か、なんていうことよりも、どちらが優れた作品であるかを論じるべきだとは思うんですが、でも絵画修復士を主人公に据える、っていうことだけでも他人の褌で勝負しているような気がしてならないんです。藤田宜永には『壁画修復師』という傑作がありますし、北森鴻にも『深淵のガランス』『虚栄の肖像』という絵画修復師を主人公にした素敵なミステリがあります。
なんでカブルかな、って思います。前にも、柄刀の『ペガサスと一角獣薬局』について、島田荘司のパクリとは言いませんが、謎の提示から舞台設定まで同じじゃないか、って思うんです。で、今回のものにしたって藤田、北森世界そのものなんです。いや単純に言えば、越えてない。でも、雰囲気は一緒。何考えているんでしょう、柄刀一。それさえなければ、一つ一つの話はよく出来ているんですが・・・
ゴッホにしたって小林英樹には日本推理作家協会賞受賞作である『ゴッホの遺言』以外にも『ゴッホの証明』『耳を切り取った男』『ゴッホの復活』といった力作、佳作があり、藤原伊織にも『ひまわりの祝祭』という読んでいてドキドキするような面白い作品がある。日本人のゴッホ好きが背景にあるのは分かりますが、またゴッホかよ、です。
それと主人公の職業。副題として「絵画修復士」とあるんですが、藤田はそのものズバリではありませんが「壁画修復師」と書き、北森も「絵画修復師」と表記します。「士」と「師」、似ているんですが明らかに違う。私は資格の有無から判断して、ここは「修復師」が正しいと思うんですが、どうでしょう。要するに、こんなところで差をつけるくらいなら、違う職業にしろよ、って思います。
それと圭介っていう八歳になる子供のこと。なんていうか、必然性を感じない、っていうか邪魔。家庭的な雰囲気を出そう、っていうことかもしれませんが、媚しか感じない。
で、これを読んでいて思うのは、最近のテレビの美術番組は凄いな、っていうこと。特にこの本でも巻末で柄刀が名前をあげている「美の巨人たち」ですね。これを丹念に見ていればミステリが何本でも書ける、って思うんです。もっといえば、下手なミステリよりこっちのほうがもっと面白い。発見もあります。それ見ちゃうと、実際の作品を小説で解剖する、その限界を感じるんです。
そういう意味では、実作にまったく頼らない表題作「黄昏たゆたい美術館」が一番面白いんじゃないか、って思います。文体を全く変えて、殆ど意味もない子どもも、必然性のない「絵画修復士」も登場させない、そうすればいい作品になる、そう思います。繰り返しますが、イメージでカブル、おまけに人物造形と文章に特別なものがない、っていうのはダメなんです。「ユトリロの、死衣と産衣」読んでも、京極夏彦作品を再読したいと思うばかり・・・
カブラないとしても「幻の棲む絵巻」のように素人だって思いつく結論を、その道のプロが気付かない、っていう流れは拙いでしょ。だから、うーん、凄い!って思えない。なんか、とっても勿体無い。そういえばこの本のブックデザインについて
装丁/大塚充朗
写真/R.CREATION/SEBUN PHOTO/amanaimages
っていうのもよく分かりません。写真というのは空中を舞う天使みたいなもの、このオブジェのようなもののことでしょうか。でも、これならば写真ではなくて、被写体のほうが重要ですよね。或は、ドームを見上げたような俯瞰図、私にはイラストにしか思えないこれが実際は写真だ、とでも言うんでしょうか。首捻ります、ポキッ・・・
最後に各話の内容と、初出です。
・神殺しのファン・エイク (月刊J-novel'06年11月号)「アルフィノ夫妻」1434年 ロンドン・ナショナルギャラリー:自殺するとは思えない男が死んだ。42歳の総合プロデューサーの投身自殺。その謎の死の中心にいるのは、男を絶対視し共同生活を送っていたコミュニケーション能力の乏しい若い画家。彼の描く作品には熱心なファンもいて・・・
・ユトリロの、死衣と産衣 (月刊J-novel'07年 3月号)「ラパン・アジル」1910年 ポンピドゥ・センター:ユトリロの白の時代の作品を数多く所蔵する62歳の漆工芸の大家と、その後添いで39歳になる妻、そして瞬介が耳にした依頼人の後妻が妊娠20カ月を過ぎてもまだ出産しないという噂の真実・・・
・幻の棲む絵巻 (月刊J-novel'07年 8月号)「信貴山縁起絵巻 延喜加持の巻(剣鎧護法童子部分)平安後期 信貴山朝護孫子寺:盲目の女性の証言はどこまで信憑性があるのか。そして焼け焦げた巻物の焦げ痕の謎。女子大生の死に昔の女優の殺人事件が絡んで・・・
・「ひまわり」の黄色い囁き(月刊J-novel'07年12月号)「アルルの寝室」1888年 ゴッホ美術館、ホルツィウス「ミネルヴァ」1611年 フランス・ハルス美術館。:フランス人と結婚した日本人女性が遺した七点のコレクション。1点はピサロの真筆、そしてもう1点は。鑑定をしていた女性が「ゴッホ」という言葉をメールで送ったまま死んだ・・・
ゴッホを殺したのは誰なのか!? そして、ゴッホにとって福音とは死であったのか? そしてゴッホとゴーギャンの確執とは……!?
・黄昏たゆたい美術館 (書き下ろし)章扉にこれだけ掲載作品なし:画家の意図を無視して美術館が展示方法を決める、その姿勢に反発して展覧会を取り止める画家もいるという水辺の小さな美術館、個展の最終日に訪れた瞬介父子は・・・
装丁/大塚充朗
写真/R.CREATION/SEBUN PHOTO/amanaimages