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紙の本
追憶のかけら (文春文庫)
著者 貫井 徳郎 (著)
事故で愛妻を喪い、失意の只中にあるうだつの上がらない大学講師の松嶋は、物故作家の未発表手記を入手する。絶望を乗り越え、名を上げるために、物故作家の自殺の真相を究明しようと...
追憶のかけら (文春文庫)
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商品説明
事故で愛妻を喪い、失意の只中にあるうだつの上がらない大学講師の松嶋は、物故作家の未発表手記を入手する。絶望を乗り越え、名を上げるために、物故作家の自殺の真相を究明しようと調査を開始するが、彼の行く手には得体の知れない悪意が横たわっていた。二転三転する物語の結末は?著者渾身の傑作巨篇。【「BOOK」データベースの商品解説】
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紙の本
不思議な文章構成、2度楽しめた。
2014/05/06 08:44
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BACO - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作品も一気に読めた。
トリックとまではいかないが、小説の中にもうひとつの「物語」があり、それが全体の半分近くを占めているため、読み進めていくとその「物語」を買ったのかと錯覚を起こしてしまう。
後半は現実に戻ることとなるが、「物語」主人公と現実の主人公がダブってしまい、一瞬「どっちがどっちだっけ?}と混乱することもしばしばあった。
かと言って混乱が複雑なわけではなく、楽しめる混乱と言ったほうがいいかもしれない。
ラストはほんのりと暖かな締めくくりとなっていたので、読了後も気分が良かった。
紙の本
休日の一気読み
2009/02/09 16:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る
「読み易く正月休みに一気読み、
ミステリー仕立てのどんでん返しがあるが、
それよりは戦後の日本の描写などが印象的。
傑作にはもうひとつ。」
大学講師の主人公は、
無名の小説家の手記を手に入れたことから
悪意ある策略にはまっていく。
小説家の手記の部分は興味深かった、
なにもかもが溢れんばかりの
現代と違い、
まだまだその日一日を生きることが
とても大変な終戦直後、
そんな状況は作家の描くものにも
もちろん影響を与えていく。
それって作家にとっては幸福なことにも
思えるのは、この平和ボケの現代では
心の内を描くことに執着し
「生きる」という欲求は強くは感じない、
でも惹きつけられるのは
荒々しくも心を揺り動かされ、
大変な現実を生きる姿を見るからだ。
この本の後半部分は
誰が主人公を陥れようとしたのかという
謎解きが二転三転する、
それらはその頃には自分にとっては
重要にも感じられず、
読んでいる小説が提示するものとは
全く別のところで同じ小説をあれこれ考えるという
なんとも不思議な体験をした。
ミステリーというより、
人の心の「悪意」の存在をぼんやり考えた、
生きている限り、
人は自分と他人を絶えず比べている、
関係ない、自分は自分と言いつつも
他人の目が気になって仕方ないのだ、
そしてそれが他者を傷つける方向に向かうのは
本当に不幸なことだと感じた。
長い小説ながら一気に読めるは
作者の慎重に選ばれた言葉や
ストーリー展開にあるのは言うまでも無い。
★100点満点で70点★
soramove
http://yaplog.jp/sora2001/