紙の本
ウィキペディアをめぐる教育現場の混乱からの脱出のために
2008/09/03 19:01
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウィキペディアのさまざまな問題点を教育現場を中心としてえがいている.それほどあたらしい視点があるわけではないが,「ウィキペディアは上下両院の全てのコンピュータから行われる修正をブロックすることにした」など,知らなかった内容もいろいろあった.
本書でもウィキペディアと従来の百科事典との比較をしているが,ウィキペディアの混乱の原因はむしろウィキペディアが百科事典のふりをし,百科事典だとおもわれていることにあるとかんがえられる.しょっちゅう書きかえられるものがリファレンスとしての百科事典であるはずがない.最後の章は「ウィキペディアの賢い利用法」にあてられているが,そのことに気づけば「賢い利用」ができるにちがいない.
この訳書にはちいさな活字で 41 ページにもわたる「解説」がつけられている.しかし,これは解説ではなくて独立の内容であり,なぜ本書の末尾につけられているのか,よくわからない.
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[○08/09/06完読]内容は面白いのだけど翻訳が下手なのか、原文がフランス語(?)だからなのか、とにかく主張がはっきりと分からない部分が多い。ただしウィキペディアの背景や問題点、今後の課題を知りたい人は読んでいいと思う。特にウィキペディアをよく参照する人は知っていて損はない内容。
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ウィキ盲従な学生の風潮へ警鐘を鳴らしつつ、フランスでのwiki管理方法の功罪を論じる。終盤で記述ある、ウィキへの投稿を課題とする大学の実例。この発想は気づかなかった。フランスではウィキ管理にも工夫してるようだ。日本とは違うな。
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もはやWikiでの検索、調査は当たり前になりつつある。
しかしその信憑性はいかに。筆者のフランス人学者も懸念している。
私の周囲でWikiの明記、削除している人なんて一人もいないが。
私が大学時代はコピペさせないためか、手書きでレポート提出させる先生がいました。
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解説は冗長すぎる、かな。そのせいか薄いのに値段が高くなっている
のか…??
中身は刺激的でよかったんだけどね。もうちょっとウィキペディア批判な内容かと想像していたから。
ネットでも本でもそうだけど、そんなに真の知識は簡単にころがっていないんだなぁということを実感しました。
この本の目次の構成も結構こっていて好みです。
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この本はウィキペディアについて批判的に書いてあるけど、ウィキペディアは一人一人の知識の集合体みたいなものなのでこれからも有効活用していきたいと思う。
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2010 12/13読了。筑波大学図書館情報学図書館で借りた。
フランスのジャーナリストが序文を、彼が講師を務める研究科の院生(当時)が、その指導下で本文の各章を執筆、それに日本語版の解説と訳者によるあとがき付き。
ウィキペディアについて色々取材して書かれた本なのだが、うーん、序文がいきなり感情的で、ジャーナルのエディトリアル読んでる感じ。ジャーナリストの文章らしい、と言えばらしい。そのため、「書き込まれる言葉は大理石に刻まれるようなもの」という著者自身の言葉に説得力がない。大理石に落書き彫る人だっているしね、観光地とかに。
本文は、面白い指摘もあるが、Wikipedia批判の文をアンサイクロペディアから引いていたり、何がしたいのかよくわからないところもある・・・というかそれもジャーナリズムっぽいのか。院生が書いたとのことで、インタビュー等の取材能力はさすがジャーナリスト養成課程、と思うが中身の質もジャーナリズムであって研究ではない。別に研究がしたいわけじゃないのだろうから、それで問題ないのだろうが。
あとがきで訳者も指摘するが、「百科事典=知識の体系、Wikipediaにはそれがないのが最大の問題」という姿勢は文化の違いというか、Wikipediaに期待するものの違いではないか。全体のバランスなんてものをこの規模のテキストに求めても仕方がないというか、個人としてはWikipediaの全体を捉えることなど不可能なのだからどうでもいいんじゃないだろうか。例え体系だっていたってその全貌は得られない。そういう意味では、Wikipedia再度があくまで自分を「百科事典」だ、と主張することが批判を煽ってもいるのかもしれない。もう百科事典とは違うものだ、って認めてしまえば色々な人が楽になりそうではある。
正直、序文・本文よりは末尾の解説の方が中立的でいい記事に思った。『Googleとの闘い』の訳者も佐々木勉であったが、この人の訳が自分に合わないのか、フランス人が合わないのか。
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ウィキぺディアといえば、誰もが知っているあの有名なオンライン百科事典だ。期末テストの勉強をしている時、本を読んでいて知らない単語が出てきた時、地域研究の調べ物をする時・・・皆が恐らく利用しているだろうし、かくいう僕も頻繁に使っている。僕の友人には、期末課題をウィキペディアの記事を丸写しするだけで済ませる強者もいて(ああ、なんてウィキペディアが便利で素晴らしいことか!)、学生の勉学における友である(笑)
250以上の言語により750万項目も持つ世界最大の百科事典。もっとも検索される国際的サイト第9位。このオンライン協力型百科事典ウィキペディアに批判的な立場から本書は執筆されている。とはいっても、著者らはウィキペディアを禁止させ、その社会的地位の抹殺を望んでいるわけではなく、批判的精神を作用させることで行き過ぎを押さえたいと述べているのだ。そしてその警告は、特に大学生や中高生、すなわち僕達に向けてなされている。まあ要するに、それだけレポートや勉強にウィキペディアを使う学生が多いということだ。
この本を読んで、僕がもっとも関心を持ったのが第7章の「ウィキぺディアの賢い利用法」だ。それまでの章では、ウィキペディアによって混乱する教育現場や英国百科事典ブリタニカとの比較、間違い・改ざん・虚偽の危険性の示唆など、ぶっちゃけて言えばよくあるウィキペディア批判の文章が書かれているだけなのだが、この章だけは少しばかり違う。内容は見ての通り「ウィキぺディアの適切な使用法とそれを身につけるには」というものだ。「(ウィキぺディアへの) 全面的な反対は、風車に立ち向かうドン・キホーテの闘いのようなものだ。」と致し方ない感じで書かれている文章なのだが、我々ウィキペディアンにとっては刮目すべき箇所である。
著者らはこう言う。ウィキペディアを賢く利用するには、二つの利用法を区別することが必要だと。一つは「すぐに利用できる情報を検索し増大する情報量を確認する方法」、もう一つは「百科事典の網羅性が十分ではないため、情報を深め、個人的な考察を組み上げる方法」である。恐らく、我々の多くは前者は実践できていても、後者の利用法を会得している人は少ないのではないだろうか、どうだろう。とにかく、あらゆる情報の収集をウィキペディアに依存しきっている状態は紛れもなく害である。
我々にとって身近なウィキペディア。身近なだけに、「便利だからいんじゃねー」的な発想ではなく、付き合い方を再考すべき存在である。どういう時にウィキペディアを使えばいいのか、どのように利用すればいいのか、そもそもウィキペディアを使用するべきなのか否か・・・。そういう意味で、色々考え直させられた本であった。
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フランスのエリート養成大学を出たばかりの、新進気鋭の著者によるウィキペディアとは何なのかという詳細な検討。ウィキペディアの誕生以来その内部でおこった主要な事件のほとんどを網羅しながら、新しい波への単純な拒絶でもなく、賛美でもなく、客観的に徹底的に分析を加えていく。エピソードは、欧米のものが中心なので、巻末に国内の研究者による日本語版のウィキの解説が補説として追加されている。これもかなりの分量のもので読みごたえがある。ウィキペディアを利用している人にはかなりのお勧め。
ただし、現役のウィキのアカウントユーザーには目新しい話題はないので、退屈かもしれない。
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2007年夏、ある調査がフランスで話題となった。調査はウィキペディアによる教育の現場の混乱や、そこで不正確で悪意のある書き込みが日常化し政治的な意図をもった情報操作も行われていることを明らかにした。単なるウィキペディア批判ではなく、集合知という情報システムそのものの可能性と内在する問題を根本的に問い直す。
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wikipediaを取り巻く思想や、wikipedianの哲学について書かれている。WEB2.0を代表するオープンコンテンツえあるwikiが抱えるそのユニークなフロー特性と、集合知への認識、考察が面白かった。
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欠かせない情報ソースになっているウィキペディア問題点の指摘。存在する以上、我々はそれを携えていくしかない。
解説・木村忠正「ウィキペディアと日本社会」集合知、あるいは新自由主義の文化論理、結構読み応えがありました。
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今や情報源としては、欠くことのできなくなったwikipediaについてフランス人の著者が考察をしているものの翻訳版。
光と影は必ずあるわけで、本書では、教育現場、雑誌ネイチャー誌の判断、ウィキペディアを支える人、間違い・改ざん、百科事典が相対的に落ちたことなどを取り上げている。
集合知、アナーキズムなどと分析されることもあるが、やはり問題もあるわけで、そららを実際に取材しながらよくまとめていると思った。
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本書は、パリ政治学院卒のジャーナリストらによる、「ウィキペディア」の分析について述べたものである。
近年、クラウドソーシング・集合知およびソーシャルメディアを褒めそやす文献は多い。本書はそれに反して、かなり批判的な立場から世界最大級の集合知メディアであるウィキペディアを分析したものである。「批判的な分析」という点だけをもってしても、一読する価値はあると思われる。
また、本書を読むことにより、ネイチャー誌が行ったブリタニカ百科事典とウィキペディアの精度における比較調査がかなりいい加減であったこともわかる。STAP細胞論文の査読の件といい、世界最高レベルの学術雑誌だからといって編集部まで最高であるとは思わないことである。
全体的に定量的・統計的な分析が少ないこと、あまりにも批判的であることが気にかかるが、巻末の木村忠正氏の解説でほどよく中和されていると感じた。
前述したように一読の価値がある。しかし、フランス語の原著の表現がひねくれているのか、邦訳がひどいのか不明だが、係り受けのよくわからない文章や、抽象的で意味不明な単語の用法には苦しまされる。よって★1つ減じて★4つと評価する。
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あとがきにウィキペディア批判ではないと書いているが,どう見てもネガティブな立場を貫いている.
翻訳本なので,原著のニュアンスが伝わっていないところもあるのかも知れないが.
本編ではなく,後半の木村忠正の解説の方が日本のネットの現状を知るのに有益だったりもする.