僕がリチャード・ブローディガンを知ったのはほんの1年半ほど前、柴田元幸の『翻訳教室』という本の中でのことだった。 ご存じのない方のために書くと、この本は柴田元幸教授の東大での翻訳演習の模様を収めた本で、柴田教授と学生たちが課題文(多くは短編小説)ごとに独自の翻訳を仕上げて行くまでのやりとりが収められている。そして、この本の読者は1)原文、2)演習で柴田と学生が仕上げた翻訳、3)すでに発売されているその作品の翻訳、4)改めての柴田訳、の4通りで1つの作品を読み比べることになる。僕はそんな形でブローディガンの『太平洋のラジオ火事のこと』(Pacific Radio Fire)を読んだのである。そ…
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