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商品説明
夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。月の光と不思議な猫に導かれ、彼が知ることになった「秘密」とは—。小説家の父とデザイナーの母、食堂「メルシー軒」のおかしな息子とその両親、お金持ちで偏屈な老婦人、そして、猫…。個性的なキャラクターが満載の、ひと夏のさわやかミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。月の光と不思議な猫に導かれ、彼が知ることになった「秘密」とは−。個性的なキャラクターが満載の、ひと夏のさわやかミステリー!〔「ぼくと猫と満月の夜」(ポプラ文庫ピュアフル 2012年刊)に改題,加筆訂正し書き下ろし短編を加える〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
松尾 由美
- 略歴
- 〈松尾由美〉1960年石川県生まれ。お茶の水女子大学卒業。「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテスト入選。ほかの著書に「ハートブレイク・レストラン」「雨恋」など多数。
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親は子供を騙しても許される、っていうのが嫌ですね。しかもその嘘たるや、子供のためでもなんでもなくて、ただ自分の都合。そういう親を松雄は許す?ちょっと古くない?
2008/09/12 20:55
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は勝手に似たもの同士レースって呼んでます。何がって、松尾由美、加納朋子、近藤文恵の争い。ま、実際に三人が競っているわけでもないし、作風もかなり違ってきているし、似たもの同士、っていうのはもう当て嵌まらない、いや出だしから違っていた、という当然過ぎるご意見はあるんでしょうが、でも私の中でこの三人の産み出す作品の方向がはっきりと異なってきたのは、最近なんです。
で、文学賞レースで一歩遅れを取っているのが松尾なんですが、実は私、松尾のことが一番好きなんです。感動、って意味では『スパイク』だけなんですが、でも何となく応援したい。特にSF的な話を書けるという点では、あとの二人は松尾には敵わない。それとユーモア。ま、微妙なんですけど、そういう味わいは松尾にはある。ま、判官贔屓かもしれないんですが。
で、最近流行っているのが児童向けミステリ。松尾の新作は、児童書だけではなく一般書にも意欲的に取り組んでいるポプラ社からのもの。既に加納朋子は講談社からミステリランドシリーズの一冊として『ぐるぐる猿と歌う鳥』を出していて、近藤が予定に入っているかどうかは分かりませんが、やっぱり三人は私の中で、いい意味で競っている。
造本もいいです。今までのポプラ社の装幀は児童書を意識してかなり堅牢な印象が強かったのですが、一般書に関してはセンスのよさが光ります。松尾の本は読者対象と同じで、その中間といった感じ。手にしたときの大きさや重さがとってもしっくり来ます。ただし鈴木志保のイラストレーションは、ちょっと読者の対象年齢を意識し過ぎた感。ブックデザインとロゴデザインは丸尾靖子、じゃあ、頁の猫のマークは?
さてお話の中身です。カバー折り返しには
夏休みを港町で過ごすことになったカズヤ。
月の光と不思議な猫に導かれ、
彼が知ることになった「秘密」とは―。
小説家の父とデザイナーの母、
食堂「メルシー軒」のおかしな息子とその両親、
お金持ちで偏屈な老婦人、そして、猫・・・・・・。
個性的なキャラクターが満載の、
ひと夏のさわやかミステリー!
とあります。これ以上は説明不要でしょう。印象ですが、正直、弱いです。その一番が、悪が決して悪ではないという設定にあります。読んでいただければ分かりますが、人間の二面性が主題であれば、それも分からないではありませんが、このシンプルな話では、却ってそれが話の展開というか主人公のあり方を曖昧にして、結局、ええかっこしい、で終ったなというところです。
それは主人公の両親にもいえて、こういう予定調和的エンディングでは読者の心をつかむことはできないんじゃないか、そう思います。先ほど勝手に松尾、加納、近藤に競争をさせてしまいましたが、最近の作品の出来を見る限り、近藤文恵が質・量ともに一歩抜け出した感がします。作品のバラエティだけではなく人間に迫る力でも、近藤がリードしているのではないでしょうか。
最後に登場人物を簡単に紹介しておきます。
カズヤ:樫村和哉、主人公です。区立の学校に通う小学五年生で、性格は父親似。テキトーといえば言える。頭も運動神経も普通で、走るのだけが得意な少年。あまり個性的とはいえない気がします。ここらは松尾の特徴かもしれません。
父:作家で本名で書いているというが、有名ではない。平気で嘘をつくが恥じるところはない、というところが正直読者としてはウザイ。とくに息子を騙すようなところは嫌いですが、児童書にはよくいるタイプ。
母:できるという噂のあるデザイナー。基本的に家にいる時間が少ない。こういう結末、ありか?なんて登場の仕方をします。
ミツル:小早川充、新聞の社会面・犯罪記事を読むのが好きな運動神経の鈍そうな小学五年生。カズヤと父が夏休みを過ごす海辺の町で暮らしています。個性的という点では主人公を凌駕しています。
母:ミツルの母で、佐多緑子を慕っています。ミツル一家はいい意味で理想の家族。個性的で、児童書の登場人物としては代表的なタイプ。私は樫村家に比して小早川家のほうが好きです。
父:ミツルの父で食堂「メルシー軒」の主人。影は薄いです。
吉岡:横浜出身の美人の図書館司書。印象に残る存在で、美味しい役どころでしょう。
泥棒:30代の男で方向音痴という設定ですが、今ひとつ笑えません。
佐多緑子:資産家の老女。九郎の妻で、後継ぎが無いため全財産を相続したが、最近、持病で亡くなっています。
佐多九郎:町一番のお金持ち。数年前に亡くなりました。
出川ケンイチ:体がでかいいじめっ子で、町長の孫。勿論、カズヤを目の敵にします。
出川轟造:ゴルフ場開発を狙う欲張りな町長。町で二番目の金持ちで、かねてから佐多の資産の半分は自分に権利があると主張しています。
猫:人語を話す不思議な存在。