紙の本
初めて読んだ村上春樹
2023/02/20 22:38
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投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
取りあえずアトス山巡りから読んでみた。立花隆のアトス山巡りから5年後だからか、写真に映っている中古バスが立花隆の「エーゲ」とはシャーシや塗装が違うので「おんぼろバス」でも新しくなっていたようだ。「インドの奥地」しかないようなバスもぶっ壊れたので、何とか動くような廃車を捨て値で買ったのだろうか?
立花隆みたいに好奇心旺盛な村上春樹が同じようなところを巡ったにしても、どちらかというと「川口浩探検隊」を連想させる「秘境巡り」みたいな本だ。正教会の修道院より修道僧が提供するギリシャ・コーヒーやウゾー、菓子の三点セットが頭に残ってしまう。
なので正教会の修道院での生活や背景などの記述が希薄な感じがする。村上春樹は正教会には関心がないからなのだろう。
今はどうかは分からないが、修道院を補修する労働者や樵として「俗人」が働いていたのは知らなかった。生神女マリア以外に女性がいない土地の修道僧を誘惑するようなヌード写真が掲載されているようなエロ雑誌を持ち込む事は出来ないのだろうか。
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1998年に出版された村上春樹のロードエッセイ。ギリシャのアトス半島はギリシャ正教の聖地で、厳しい山岳地帯に点在する修道院を巡礼する旅。そこは女子の立ち入り禁止地帯だ。船で小さな港に着くと男ばかりの世界が始る。巡礼は3泊4日の滞在しか許されていない。険しい道を歩き修道院に着くと貧しい食事を提供される。それは無料だけれど本当に何もない。激変する気候で滞在許可期間を過ぎても巡礼は終わらない。
もうひとつはトルコ国内を自動車で一周する旅。イラン・イラク・シリアの問題がある時期の周遊だ。街に着くと子どもたちが車にくらいつきタバコをねだる。停車は厳禁。つかまっている子どもを振り払って駆け抜ける・・など、なんでこのような過酷な旅を敢行するのだろうと興味はつきない。村上さんもまた同じ道を旅したいとは思わないと書いているけれど、「旅行というのは、本質的には、空気を吸い込むことなんだ。おそらく記憶は消えるだろう。絵はがきは色褪せるだろう。でもある種の空気は残る」ということなのだ。生きてることってまさに旅。
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ギリシャとトルコの旅記。酷な状況に諦めてばかりいるのが村上春樹さんらしくて好き。最後に奥さんとようやく連絡がとれた時すら「やれやれ」と諦めていて、笑ってしまった。生きて帰れてよかったです。。。
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ギリシアの修道院の島とトルコのきなくさい地域を写真家の松村という男と村上春樹が二人で回った紀行文。こういった偏狭の紀行文て教訓めいたものが多くて花につくのだけど、もちろん村上春樹の狙いはそんなところじゃない。この人は例え他人の役に立つんだっ!って思っていたとしてもそのことを前に出さないし、思っていないだろうし、結果立っているし、と言う感じがする。個人的な体験を語ることでどんどん他人に広がりがもたれるのだ。
ギリシアでは男しか入れない修道院の島で三泊四日(図らずとも延長される)、修道院を泊まり歩く。ウゾーとゼリー菓子の珈琲とパンだけで、険しい道のりをずんずん歩く。修行みたいな旅だ。かなり良かったのは、修道院の中でも最低急のところに止まって、カビの生えたかちかちのパンを無理やり水にふやかして食べているとき、猫が同じものをうまそうに食べているのを見て、「この猫は島の海向こうでは、キャットフードがあって、しかもツナ味やチキン味に分かれていることも知らないで、カビのパンを食べて『ああ、うまいなあ、今日もカビパン最高だなぁ。生きてて良かったなぁ』と思ってんだろうなぁ」というくだりだ。
それからトルコ編ではやたらとチャイばかり飲んでいて、一日何度もお茶をしているので羨ましくなった。わたしも一日中お茶をしたい。
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この前、文藝春秋に寄せられたエルサレム賞に関する手記を読んで大いに感銘を受けたが、
この紀行文を読めば彼がいかに強い好奇心に支えられた人物であるかがよくわかるであろうし、
危険を冒してまでエルサレム賞を貰いに行った行動が理解できるであろう。
ギリシャ編はたった5泊ながら密度が濃く読み応えがあり、
タイトルにもある「雨天」に見舞われた時の描写はとりわけ印象深い。
トルコ編になると「小便でもかけた方が綺麗になりそうな町」などと
ちょっと言いすぎでないかと心配になるぐらい筆が暴走するが、
あそこの住人がこの本を読むことなど万が一にもあるまい。
いずれもとにかく酷い旅であることは間違いないが、
ちょっと行ってみたいかも・・・などと思ってしまうのはなぜだろう。
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春樹さんの旅行記1986年ころ出版されたもの
トルコとギリシャの旅行記なんだけど
結構大変な旅行だったみたいです
ギリシャのお話では、男性しか入ってはいけない地域。半島を旅した記録なので
女子の私にとっては興味深いものだった
とはいえ、山を下り谷を越え〜というだけのものだけど
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旅行地を褒めちぎるわけでもなく、その場所をお奨めするわけでもなく、ただ筆者のありのままの感情が書かれた文章です。
『遠い太鼓』よりはハードな旅をしたという印象です。明るい方が好きだと思われる方は『遠い太鼓』の方が良いかもしれません。
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2011.10.29読了。
村上春樹においては、こういった手記の類が 最も好きと言っても過言ではない。謙虚に見えて頑固であり、ナイーブなようで かなりタフ。
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村上春樹の旅行エッセイ。
ギリシャとトルコ。
なかなか厳しい過酷な場所なんだなーと思いました。
ゆっくりと、文をかみしめて読めました。
充実です。
さすが、村上春樹。
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ギリシャ、アトス半島の旅。初めて知るギリシャ正教の聖地訪問記であります。御茶ノ水のニコライ堂のご本家は、なかなか厳しい戒律をもっておられます。
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ギリシャのアトスと、トルコ一周の旅行記。
著者によると、イスタンブールは見所のない都会ということだったが、トルコという国に漂う空気を感じることができ、憧れが高まった。
実際にトルコに行った人にも同じ話を聞いたが、著者もトルコのパンがめちゃくちゃ美味しいことに言及している。
トルコを訪れる機会を持てたら、それもぜひ現地で確かめたい。
(2012.5)
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梅雨である。じめじめである。
梅雨が明ければ暑い夏が待っている。
雨天炎天。
よそのサイトで知ったこの本、読むなら今だろう、と図書館で借りてみた。
前半はギリシャのアトス半島、後半はトルコ外周を訪れた旅行記の二本立て。
いずれも、楽しい観光だったり、旅情あふれたしっとりした旅だったりはしない。
男3人、あるいは2人の、タフでマッチョな旅路である。
寡聞にして知らなかったが、アトスというところはギリシャ正教の聖地なんだという。修道院が点在し、異教徒が訪れるには許可が必要。女人禁制、3泊限定。聖地であるので、当然、文明からは隔離されている。海沿いの山道をときに道に迷いつつ、ときに雨に打たれつつ、ひたすら歩く。
トルコでは、四輪駆動でひた走る。道がいきなりなくなったり、ゲリラ出没地域に迷い込んだり、タンクローリーの間を縫って走ったり。度はずれて親切なトルコ人に時に辟易し、書き物をする周囲に群がる子ども達に苛立つ(ギリシャに比べてトルコの記述が断片的であるのは不思議ではない)。
過酷な旅の途上、著者は休まず書き続ける。通過する者=旅行者の目から見たスケッチともいえるその記録は、無数の短編小説のようでもある。同行した写真家による多くの写真とともに、ギリシャへ、トルコへと、それは読者を誘う。
少し前の旅行記である。また、自分にとっては、決して訪れることのないであろう土地だ。ありえない、空想上の旅。それもまたよい。
異質なるもの、汝の名は「異国」なり。
*アメリカでレンタカーを借りて旅したことがある。借りる際、メキシコ側に入ってはいけないという規約があった。故意だったか偶然だったか忘れてしまったが、一度、メキシコに入り込んでしまった。距離にしたら大したことはないのに、国境を越えたら、がらりと雰囲気が違った。夕暮れは迫る。帰り道は見つからない。細い裏道に入り込む。アメリカナンバーの車にじろじろと向けられる目。
あのときは冷や冷やしたなぁ、というのを、本書のトルコ旅行記を読んでいて何だか思い出した。
*ギリシャの黴びたパンを食べる猫、トルコの「泳ぐ」猫(ヴァン猫)の話が印象深い。著者は猫好きなんですね。
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1988年出版の村上春樹さんのロードエッセイ。ギリシャ編とトルコ編。ギリシャと言っても旅するのはアトス。ギリシャ正教会の聖地で、修道院が創立されたビザンティン時代とほとんど変わらない質素な自給自足の生活を続けている。今日でも女人禁制のもと祈りと労働を捧げている。そんなシビアな土地の旅を村上さんの独特な文書で楽しく読ませてくれます。
トルコ編でも、いわゆる観光地の記述は全くなく、現地の人との会話や土地の雰囲気、危険地帯だったりするので怖い目にもあったりするのですが、それを面白く読めちゃうのはさすがです。
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だいぶ古い本ですが、ギリシャアトス島での旅エッセイです。
(本の種類によってはトルコ編が同時収録されているみたいですが、私が借りたのはギリシャ編だけの本でした)
アトス島とはギリシャ正教の島で、動物まで女人禁制という異世界の国。
修道院の宿坊に宿泊しながら歩いて島の南端に向かうかなりハードな旅をしてました。
著者の小説はあまり得意ではないのですが、主人の友人に
「彼は小説よりエッセイの方が面白いよ、オススメ!」
と言われたので読んでみました。
確かに !
小説より面白く読めました。文章上手だからね、旅行記向いてると思う。
語り口調も、ときに軽快ときに神妙テンポもいいし、読んでいて楽しかったです。
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村上春樹の本はノルウェイの森(上下)しか読んだことがない。
うそうそ!『ティファニーで朝食を』『風の歌を聴け』も読んだ。本棚には『スプートニクの恋人』があるけどぐっすり眠っている。
この本は、ギリシャとトルコの紀行文。
トルコ編のほうが好きかな。
村上春樹の文章ってのは、淡々としている。
別に驚くような事が起きる訳でもなく。オチがあるわけでもない。
だけど、言葉は次から次へとでてくる。
目の前で起こっていることをどんどんと翻訳していく機械のようにも思える。泣くわけでもなく、大笑いをする訳でもない。
感情があまり崩れないというか。表さないのか。
んんんんん。
漢字とひらがなのバランスがとても美しい。
それはほんとうにおみごと。読んでいても、リズムがとりにくい。
ジャズみたいけど。メトロノームのように正確に刻んでいるようにも思える。
本の中で夏目漱石がでてきたのは、ちょっと意外。
アメリカ少年と古典的な日本人がクロスオーバーしているみたい。これは、たしかに村上春樹の世界。
村上春樹という名前と書く物がそのまんま。ジョン・レノンとその音楽みたいに。
村上春樹という人間に興味がわいてきた。
やばいぞ。村上春樹なんかにのめりこんだら。『やれやれ』