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紙の本
赤×ピンク (角川文庫 Sakuraba Kazuki Collection)
著者 桜庭 一樹 (著)
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも...
赤×ピンク (角川文庫 Sakuraba Kazuki Collection)
赤×ピンク
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商品説明
東京・六本木、廃校になった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ガールファイト、集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を—彷徨のはて、都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、そのサバイバルと成長と、恋を描いた、最も挑発的でロマンティックな青春小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
深夜の六本木、廃校となった小学校で夜毎繰り広げられる非合法ファイト。闘士はどこか壊れた、でも純粋な少女たち――都会の異空間に迷い込んだ彼女たちのサバイバルと愛を描く、桜庭一樹、伝説の初期傑作。【商品解説】
収録作品一覧
“まゆ十四歳”の死体 | 5−70 | |
---|---|---|
ミーコ、みんなのおもちゃ | 71−149 | |
おかえりなさい、皐月 | 151−248 |
著者紹介
桜庭 一樹
- 略歴
- 鳥取県生まれ。1999年デビュー。03年開始の『GOSICK』シリーズでブレイク。04年『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』がライトノベルの枠を越えて高い評価を受け、一般文芸に進出。07年『赤朽葉家の伝説』で推理作家協会賞を受賞。
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紙の本
安易に続編を望む読者もですが、シリーズ化に走る著者も嫌いなんです、基本的に。でも、この話だけは続きが読みたい。ま、桜庭は書かないでしょうけど・・・
2008/10/29 19:50
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
桜庭本にしては珍しいデザインのカバーでしょう。なんたって現代美術作品を使っていますから。なんだか、桜庭の文庫ではないような気が、なんて思ってあとがきを読むと、これって2003年にファミ通文庫で出たものを角川文庫で再版(出版社が変われば、再版ではなくて新装版じゃないか、なんて思いますが)なんですね。
要するに、直木賞作家になった桜庭の過去の作品を、アダルトな装いで売りなおせ、っていう出版社の戦略でしょう。ちなみに、ファミ通文庫のカバー画を見れば、絶対に大人は手をださないはずですから。ま、登場人物が中学生ではなくて、20歳前後というのが今の作品に近いとは言えるし、内容もそれに相応しいものなので、デザイナーの判断は正しいものではあります。
そんな装画は増田佳江(「 flower bed 」2007年/原美術館蔵)、カバーデザインは鈴木成一デザイン室です。桜庭本で白を基調にしているって、本当に珍しいです、はい。
カバー後の案内ですが
東京・六本木、廃校になった小学校で
夜毎繰り広げられる非合法ガールファイト、
集う奇妙な客たち、どこか壊れた、でも真摯で純な女の子たち。
体の痛みを心の筋肉に変えて、どこよりも高く跳び、
誰よりも速い拳を、何もかも粉砕する一撃を――
彷徨のはて、都会の異空間に迷い込んだ3人の女性たち、
そのサバイバルと成長と、恋を描いた、
最も挑発的でロマンティックな青春小説。
解説・山崎ナオコーラ
となっています。三人の女性(少女、ではありません)が、交代で三話の主役を務めます。とはいえ、連作ですので、一つの流れを視点を変えながら追いかける、そういうパターンです。とりあえず各話の主役を中心に、簡単に内容を紹介しましょう。ちなみに、目次、章、ではなくCONTENTS、Fileという表記になっています。
File.1 “まゆ十四歳”の死体
主人公は高山真由、21歳。リング名は「まゆ十四歳」。『ガールズブラッド』で働いて半年になります。ウェイトレス姿が多く、泣き虫で孤独好きで、小柄で可愛く、14歳に見えるときもあります。もうすぐ死んでしまうような変な予感を抱き、いつもオドオドし、会話も苦手で弱い、それがファン心理に訴え、指名人気ナンバー1です。そのため指名料は3000円。好物はチョコバナナパフェで、実はOL経験もあります。
File.2 ミーコ、みんなのおもちゃ
主人公は山ノ辺美子、19歳。ミーコ女王様、と呼ばれます。SMファッションでリングに上がるグラマラスな美女で、格闘も強く、いつも観客が何を望むかを考え、それに応えようとすることから、見方によっては自分のスタイルを持っていないといえます。格闘家ミルコのファンですが、それすら人に隠しています。指名料2000円と三人の中では一番安い設定。昼間はSMクラブで働いていますが、性格は明るいほうです。ただ、再婚した義父との関係が母に知られ15歳で家出しています。趣味は彫金。
File.3おかえりなさい、皐月
主人公は天王寺皐月、19歳。インターハイベスト4のホンモノの空手少女です。同性が苦手で、それをよくミーコからからかわれています。いつもサラシを巻いて女性らしさを隠し白ランをまとっているせいか、女性ファンが多く、指名料は2500円。バイクが好きで、タクシーと併走して事故ったりします。自分の性癖故に家族と離れてフリーター生活を送りますが、空手の恩師は今も彼女を推薦で受け入れる大学があることを知らせてきます。趣味はバイクと古着屋めぐり。
あとがき:2003年にファミ通文庫で出たものを角川文庫として再版したあいさつ。
解説 悲しいときにはコーラなの? 山崎ナオコーラ:桜庭を語るというよりは自分を語り過ぎで、ウザイです。しかも桜庭に対する羨望(というか嫉妬)がミエミエ。売るにはいいでしょうが、桜庭ファンにとっては空手の先生のほうが好ましかったのではないでしょうか。人選ミス。
それはともかく、冒頭にも書きましたが全年齢に受け容れられる作品ではないでしょうか。初期の作品の中では、レベルも高いほうでしょう。読んでいる途中でピンときますが、このお話全体の主人公は天王寺皐月でしょう。輝き方が違いますし、登場の仕方も印象的です。私なら彼女の指名料を3000円にしますが、メイド姿に熱をあげる男性が多い今の時代では、皐月の美しさは同性にしか認められないかもしれません。
他の登場人物にも触れておきましょう。
武史:鮫島道場で空手を学ぶ好奇心一杯の高校生。まゆ、ミーコ、皐月と上手な距離のとり方ができ、可愛がられます。
安藤千夏:上海リリー。スマックガールに出ていたこともある美女格闘家で、『ガールズブラッド』で採用が決まります。衣裳はチャイナドレス。高校のとき結婚して、現在、家出中。父親はキックボクサーと、皐月と似たサラブレッド。
師範代:鮫島道場の師範で、まゆ、ミーコに空手の指導もする。実は、怪しい性癖が・・・
社長:30代半ばで、いつもサングラスを掛けています。資産家の御曹司とも作家ともいわれる謎の人物で、『ガールズブラッド』の主宰者です。この手の仕事の陰によくいるヤクザ、といった雰囲気は皆無です。
レンタルショップの雇われ店長:経営者の縁故の人間で、映画配給会社をリストラされたと噂があり、そのせいか威張るため若い人に敬遠されます。脂ぎったデブ風、というのは定番ではあっても肯けます。
この三人にはもう一度会いたい気がします。
紙の本
ひたすらキャットファイトを眺めるお話
2020/04/18 21:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鯰江 - この投稿者のレビュー一覧を見る
GOSICKと同じ桜庭さんの本と聞いて購入しました。
全体的に特徴的で可愛い表現が多い文章ですが、読みやすくさらさら読めます。
内容は3人の少女(年齢的に少女でない人も含む)達が、親や社会、恋などそれぞれの敵から逃げたり戦ったりする様子を格闘技を通して見つめる青春小説でした。
もう少女とは名乗りにくい、しかし心は明らかに”少女”の彼女達がそれぞれの思いを胸に(文字通り)檻の中で戦う姿は、見ているこちらの心にも何かぐさりと来るものがあります。
小説としては綺麗な終わり方をしていますが、少女達の物語に終わりは見えない、その先を想像するのが楽しい作品でした。
登場人物は女性メインですが、男女どちらも楽しめる作品だと思います。
紙の本
いつかどこかで感じたピンク
2008/06/24 19:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「少女」の代弁者かのように思われがちな桜庭であるが、本作品に登場するのはgirlというよりはlady。それでもなお少女の視点が失われないのは、女そのものが純粋に危うく揺れる少女という幻想を持ち続ける生き物だからかもしれない。
少女は憧れ焦がれる生きた結晶だ。
簡単に壊れ容易く揺れ動き、すんなり憧れた色に染まってしまう、大人に憧れつつ全力で拒否する矛盾そのもの。その少女が恐れるのはいつだって大人になること、いや、その為に「何か」を失って行くのだという現実である。
少女というのはその喪失進行中の真っ只中にあり、だからこそ必死にその「何か」に憧れ、縋り、求め続けているのだろう。
そして時にその「何か」は、彼女らの居場所そのものでもある。
深夜、廃校で行われる違法のガールファイティングマッチ。怖れつつも出られずにいた「檻」から世界に逃げ出したまゆ、愛されるように演じ続ける自分を捨てて格闘の中に己の世界を見つけたミーコ、「女」を拒絶し「家」から逃げ、ようやく一人の女を愛し初めて自分と向き合えた皐月。
設定も舞台もフツーではない、登場する彼女達もフツーとはとてもいえない。彼女らの心の動きにも結末にも納得いくか?と問われれば正直YESとは言い切れない。が、それでもいつしか共感し、その世界に溶け込んでしまうのは、彼女らの発するピンク色した結晶の光が私の中にもまだ流れているからかもしれない。理屈ではなく感覚的だがこれ以上無いくらいハッキリ肯ける一つの答え。
彼女らが格闘技の中にソレを見出したように、私にはソレが感じ取れる。そのことに何か嬉しくて、どこか安堵する。
いつか著者も私もこの感覚を忘れていくのかもしれない。こうした少女のリアルさが感じられなくなるのかもしれない。
だから、今この感想を、共感を、伝えたい。まだ手にとっていないあなた方へ。
紙の本
山茶花の赤ピンクの花。
2009/06/29 06:04
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は直木賞作家の書籍を読むのが好きで、桜庭一樹氏の書籍もそれで手を伸ばした。通常だと、受賞作をまず最初に読むけれど、なんとなく本書の装丁が目に留まってそのままレジへ。
三つの違った視点からの物語で成り立っている一冊。
まゆとミーコと皐月の三人の、別々の人生と背景。
読み始めて間もなく、これは直木賞作家の傾向と違うような気がするな…という違和感に襲われ、正直に言って自分が好む世界とは全く違った世界が描かれているので落胆した。
けれど、根気良く読み進めていくとミーコのストーリーになって、面白さが徐々に増していった。人を気遣うあまり、主体性を欠いてしまっていたミーコが見出す一筋の光。過去の記憶として根強く残る、山茶花の赤ピンクの花と母親の鬼のような形相。求められて答えれば去られ、失意のどん底に落ちてみたり。SMの女王様の陰の部分である。
皐月という子は、空手少女でありながら人に言えない葛藤を抱え続けて生きている。受け入れてもらえるか分からない不安や、色々な柵の中で生きてきた。女性でありながら、女性へ抱く嫌悪感や恐怖感。浮上した全ての疑問は最後になって明かされるので、そこで腑に落ちる。
普段感情移入し易い私だけれど、本書に登場してくる女の子たちは皆、私の周囲には居ないタイプなので客観性を失わずに読了できた。現実の女の子たちでも、こういった悩みを抱える子たちがいるかもしれない。人は皆、それぞれが自分の弱さと対峙して生きていかなくてはいけない。何かを通してヒントを得たりするけれど、本書ではそれは格闘技であったり、第三者であったりする。色々と考えさせられた部分もあるので、当初の評価よりはぐんと上がったところがある。
桜庭一樹氏は、女の子の心情を表するのが巧妙だなと感じた。
読み終えて、作者は男性だよね?と思ったほどである。
近いうちに直木賞受賞作も読んでみたいと思う。
紙の本
泥まみれのシャワー室。
2016/02/15 18:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
蟹の身をほじるように、というこの表現に舌を巻いた。
桜庭作品のなかで、現在最も好きな一冊。
紙の本
非現実的な中で現実を生きる少女たち
2015/08/28 19:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マツゲン - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ガールズブラッド』という見せ物の格闘ゲームで働く少女たち。
非現実的な舞台は何かしらの傷を持っている彼女たちの慰めにはなるけれど、安息の場所というわけではなく、それでも日々過ごしている。
そんな少女の一人におきた出来事が、他の少女たちも変えていく。
紙の本
もどかしき青春
2022/12/30 22:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鎮文修 - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会の表には出てくることのない、女性たちの青春のもどかしさのようなものが、非合法ファイトにぶつけられているのであろう。
描かれている女性心理がとても面白く、どこか切なくも感じた。