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商品説明
時は2050年、東南アジアの海上都市、リンガ。宇宙産業の拠点となったリンガには、額に汗して働くさまざまな女性たちがいた。宇宙服デザインに挑む駆け出しデザイナー、港の小舟タクシーの「艇長」、機械の腕をもつ彫刻家、巨大企業の末端で不満を抱えるOL…。自らの「技」を武器に、熱く働く女たちを描くオムニバスストーリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
時は2050年、東南アジアの海上都市、リンガ。宇宙産業の拠点となったリンガには、額に汗して働くさまざまな女性たちがいた。自らの「技」を武器に、熱く働く女たちを描くオムニバスストーリー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
天上のデザイナー | 5−45 | |
---|---|---|
港のタクシー艇長 | 47−79 | |
楽園の島、売ります | 81−150 |
著者紹介
小川 一水
- 略歴
- 〈小川一水〉1975年生まれ。日本SF界の旗手。2005年「老ヴォールの惑星」でベストSF国内編第1位。その他の著書に「導きの星」「天涯の砦」など。
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紙の本
カバーで損する、っていうか読者を限ってしまうのが惜しいような内容です。女性なら年齢を問いませんし、勿論男性だって楽しめます。海堂尊を楽しめる人には、絶対にお薦め
2008/06/12 19:40
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小川一水、初めて読みます。名前だけは以前からよく知っていて、早川文庫の平積みコーナーで何度か手にはしているのですが、なんとなくカバーチェックでお終い。縁がないという点では冲方丁の日本SF対象受賞作『マルドゥック・スクランブル』と似たような感じで、このまま小川の 第35回星雲賞日本長編部門受賞作『第六大陸』も読まずに死にそうな気がします。
ちなみにそんな二人、小川が75年生まれで、冲方が77年生まれ、ともに岐阜県生まれというのが何となく面白いです。大好きな中村航も岐阜生まれなら、池永陽もそうだったはず。若手日本画家の神戸智行もそう。いやいや、今年は岐阜が面白い、ってかどの県にだって4人や5人の有望な芸術家がいる?いえいえ、私が見込んだ人間がこれだけいるところは結構レアなんです、はい。
ではなぜ、今回、小川の本に手を伸ばしたか?まず、ポプラ社、っていうのが大きいです。児童書専門の出版社の殻を破ろうとして着実に前進しているポプラ社、ハードカバーではいい味を出しているのは既に何度か報告済み。勿論、内容のほうもそれにバランスのとれた素晴らしいものです。でも、この本は違います。
D・キッサン描く女性が読者を見上げる緑色がかったカバーは、児童書の雰囲気あふれるソフトカバー。装幀は新上ヒロシ(ナルティス)。女性の表情はイラストというよりはコミックスタッチ。あたらしいYA叢書?でも、そんなニュース聞いてない。何より、ポプラ社に小川一水?っていう素朴な疑問もあります。
とりあえず本を開くと活字がゆったりと配されていて読みやすそう。安っぽい装幀には目を瞑るとして、とりあえず読む決心。もし児童書だったとしても、それで手を抜くような作家ならば、縁がなかったと二度と手にしなければいいわけだし、案外いい選択かも、なんて軽い気持ちでいたんです、わたし・・・
先に書いちゃいますけど、読み終わってすぐに娘二人に読ませました。彼女たち二人もあっという間に読み終わってしまいました。勿論、面白かったからに他なりません。今、冷静になって考えるとタイトルの「乙女」っていうのは何だか釈然としないな、とは思いますが、きっと深い考えがあってのことと再び目を瞑るとして、とりあえず各話の内容紹介と初出データです。
第一話 天上のデザイナー (「asta*」 2006年11月号):25歳の駆け出しデザイナー、京野歩。リンガに渡って三年目の彼女が上司の目を掠めて宇宙服の新しいデザインに挑む・・・
第二話 港のタクシー艇長(スキッパー) (「asta*」 2006年12月号):港の小舟タクシーの「艇長」、23歳の歌島水央が乗せたのはリンガ島の防衛を請負う軍事会社のF・メッツラー少将・・・
第三話 楽園の島、売ります (「asta*」 2007年1~2月号):32歳の幡守香奈江は、リンガでただ一社の高級自然住宅開発企業・株式会社ヴァージナイルの共同経営者。彼女が請負った新しい仕事は・・・
第四話 セハット・デイケア保育日誌 (「asta*」 2007年3月号):のんびり暮らすのが一番、そう思う阪奈麻子は保育士の資格を取って二年。彼女が勤めるリンガの保育園で。ある日、子どもたちの数を勘定すると一人多い・・・
第五話 Lift me to the Moon (「asta*」 2007年4月号):20代?の犬井麦穂が乗り込んだのはリンガと静止軌道上の宇宙港を結ぶカプセル。17名のケージ・アテンダントのリリーフの仕事は・・・
第六話 あなたに捧げる、この腕を (「asta*」 2007年5月号):京野歩より五歳年下の鹿沼里径は彫刻を始めて八年目、あらゆるマテリアルを削りだして彫刻を作るアーマートの作り手。そんな彼女に舞い込んだ仕事は・・・
第七話 the Lifestyles Of Human-Beings At Space (「asta*」 2007年6月号):リンガ生れの歌島美旗が巨大企業CANTECの経営者から、宇宙作業者の環境改善プロジェクトの次に命じられたのは・・・
時は2050年、東南アジアの海上都市、宇宙に続く軌道エレベーターを抱える街リンガが主な舞台です。宇宙への門戸がありますから、話も海が舞台というよりは宇宙と考えておいたほうがいいでしょう。登場人物の年齢がはっきりしている話と、そうでないものがあるのは、何か意図があるのでしょうか。特に曖昧にする必要もないとは思うのですが。その1点が釈然としない他は、実に面白いです。
未来の話ではあっても、人間の行動や思いは現代そのもの、わかり易い。女性であれば、小学校高学年から老人まで幅広く読むことができる内容でしょう。とくに高校生から30代の人であれば素直に共感できるのではないでしょうか。第一刷が2008年2月7日で、第二刷が2008年2月23日、とありますから、読者に好評裡に迎えられたことがよく分ります。勿論、感動だってします。
巻末に参考文献・ウエブサイトとあるのがいかにも目新しい、そんな一冊。ちょっとカバーはミスマッチかな、児童書だと思って手にしない人が出てきそうなのは勿体無い内容です。ご家族でお読みください。
紙の本
瑞々しい感性の文章と内容
2008/04/19 18:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
瑞々しい感性の文章と内容である。軌道エレベータの地上側設備が設置された赤道直下の島における、意欲と技量を備えた女性達を主人公にした、近未来SF短編集。何年か前にフェミニズムSFあるいはジェンダーSFといわれるものが流行したことがあった。その時の作家は、ほとんど女性であった。この作品の作者は男性であるが、若い女性の感性と心理を良く描いているように思われる。
また、物語の背景となる各分野の技術や設備や道具について、よく勉強し広く深い知識を有しているようでもある。宇宙服のデザイン、スキッパーの操船、熱帯雨林の生態系、多民族の子供達の混成保育、マジックハンドを使った金属彫刻、宇宙農場、どれも参考文献を参照しているとはいえ、良く消化し巧みに使いまわしている。作者自身も作品の登場人物に劣らず、相当な技量の持ち主らしい。
ただ一つ、第二話の「将軍」は「提督」と表記すべきだろう。
紙の本
現在と未来に橋を架ける
2008/02/10 22:21
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルの通り、手に職を持った女性達が活躍する物語なのですが、物語のベースになっている世界観が興味深く感じられます。
SFで描かれる世界の多くでは、月や衛星に生活拠点があったり、他の恒星系に人間が生活出来る環境が作られています。つまり、人間が宇宙を生活空間としている世界なわけです。でも、現代の人類の科学力は、せいぜい、宇宙に人や物を送って、そこで生存させることが精一杯。生活というレベルには達していません。こう考えると、未来史上のどこかに、「生存」を「生活」に変える転換点が存在することになります。そのミッシングリンクを描いているのが本作と言えるかもしれません。
しかし、SFとしての面白さとは別に、働く女性にスポットを当てる作品は、描き方が難しいな、と言う感想も同時に抱きました。ツンツンしながら働くキャリアウーマンの物語を書けば、単に女性が男性のロールモデルで働く物語にしかならない。かといって、能力のある女性がかっこいい男性と出会って幸せな結婚をしました的な物語にすると、結婚が女性の幸せなのか、となってしまう。男性の物語ならこんな感想を抱かないと思うのに、女性の物語だと何かバイアスがかかるのは、ボクが男だからなのでしょうか。それとも、そういう社会的な何かが刷り込まれている?
SFとしての着眼点も面白いのですが、こんなことも考えさせられる作品でした。
紙の本
近未来の女性たちの日常
2008/02/24 18:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来、宇宙に続く軌道エレベータのある街で暮らす様々な女性たちの話
デザイナー・タクシー艇長・保育士などバラバラな職業でありながら、それぞれがリアリティを持って息づいています
SF性を感じさせない丁寧な描写で日常を描き、人類が避けて通れない宗教問題も含め深みのある物語でした
いまいちコンセプトを外した部分もありましたが、充分面白かったです