紙の本
心配を想起させる1冊
2008/03/10 22:33
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ざわ・・・ぶろぐ - この投稿者のレビュー一覧を見る
感想の第一声はこうだった。「おいおい、よしてくれよ」。
「KY語は、遊びとして楽しんでいるうちはいいが、日本語の中に深く浸透しすぎると、いろいろ問題が出てくるだろう。若者の過度な使い方には心配なところもある。しかし、批判するにしても、まずKY語の何たるかを知らなければならない。中には、なるほどと頷いたり、感心したりするものもあり、使ってみたくなるものもあるかもしれない。ともかくKY語の実例に当たってみていただきたい。(まえがきより)」
本編を進めるうえで、3つの前提が示されている。ひとつめはタイトルにもあるように「ローマ字略語が流行っている」こと。ふたつめは「若者はローマ字略語を、心配をされるほど過度な使い方をしている」こと。そしてみっつめは「KY語の実例を本編で紹介していく」ということ。この3つの前提は――読後の印象からすると――編著者か、読み手(私)の大きな思い違いである。これらについて順番に言葉を連ねてみる。
まずは、ローマ字略語が流行している、という記述について。
どんなことを「流行」としているのかはわからないが、「ちなみに、現在では、「NHK」は「日本ひきこもり協会」「日本貧乳協会」「年中ヒョウ柄キャミソール」などのKY語でもある。」(p.3)という記述は疑問符なしには読めなかった。「日本ひきこもり協会」という「KY語」のルーツは滝本竜彦の小説『N・H・Kにようこそ』にある。また、それを原作にしたマンガやアニメもある。しかし、流行と言うにはあまりに強引な印象を受けた。仮に、NHKが「日本ひきこもり協会」の略である、という認識を知っている人が少なくないとしても、「日本ひきこもり協会」という意味でNHKという言葉を使う人は稀だと言える。要するに、ローマ字略語は特に流行っているわけではない、と思う。
次に、若者が「KY語」の過度な使い方には心配なところもある、という記述について。
一番の問題は「なにが過度であるのか」わからないことだ。文脈からは「使う頻度が高い」とも読めるし、「作り出す数が多い」とも読めるし、「作り出されたKY語と、その意味することの間の距離が遠い」と読むこともできなくはない。なにを「過度」として書いているのかにもよるけれど、頻度が「過度」であるとすると、記述には全く賛同できない。逆に、読後の印象としては「こんな言葉は使われてないでしょ」と言いたくなる語が非常に多いと感じた。
最後に、本編でKY語の実例を紹介していく、という記述について。
ふたつめの後半でも述べたように、紹介されている実例の多くがあまりにも馴染みのない語だった。これは私が「KY語」に縁がない生活をしているという可能性もあるのだけれど、その可能性も踏まえた上で意見を書きたい。第2章「KY式日本語主要単語集」(30頁強)で紹介されているものは、目にしたことがあるもの、または耳にしたことがあるものがちらほらあった。しかし、第3章「込み入ったオトナの話はKY式で乗り切る 実検!KY語 現場編」(35頁弱)、第4章「KY式日本語 基本単語帳」(50頁弱)で紹介されているものは、全てと言ってもいいほどに初見、または初耳だった。80頁強を割いて紹介した「KY語の実例」は、本当に「KY語の実例」なのだろうか、という強い疑問が生じた。
この本によって「ほほう、いま流行りのKY語とはこういうものだったのか」などという感想を持たれる読者がいるかもしれないと思うと、気分が暗くなる。私の「KY語」に対する知識不足・認識不足であれば編著者への失礼を詫び、杞憂だったのだと胸を撫でおろすと思う。しかし、そうでなかったとしたら、実際には存在しない言葉の乱れを創りだす悪著だと言わざるを得ない。
せめて調査のデータやどのような調査をしたのかなど、情報のソースについて書いてあれば確かめようもあるのだけれど、残念ながら、それらはの記述はない。心配である。
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KYは「空気読めない」の略語。こうした略語は空気を読める間柄でしか通じないので、「KY式日本語」というタイトルはとても「言えてる」タイトルだと思います。
「AB」と言われて「甘いものは別腹」のことだと解せる人が、百人のうち何人いるかわかりませんが、だからこそコレ、クイズのネタ帳として使えそうです。
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代表格のKY(空気読めない)など、若者を中心に日本語をローマ字表記して短くした言葉が使われるようになっています。そのような言葉をKY語として定義して、言葉の意味や使い方、用例をまとめた本。KY語が生まれた理由として、言いにくいことを遠まわしに表現できたり使うものの中で仲間意識を高められるであるとか、略語を使う機会が増えていたりや携帯電話を用いたコミュニケーションが多くなっているなどの背景をあげてあり、最初のKY語を分析した章は納得できることが多かったです。ローマ字の略語として分かるものはほとんど無かったのですが、若者が使う言葉が沢山出てきます。(2008.2.13)
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さらっと読むと面白いです。
ただ、実際若者みんなが使うわけでもありませんし、自分はほとんどピンと来なかったです。実際にこんなに使われているのかなぁ…という。
用例も含めて“今”の言葉が本のかたちで残るのは意味があるなと思った。
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第1章 KY式日本語を理解するために
第2章 KY式日本語 主要単語集
【KY】空気読めない/【AM】後でまたね/【ATM】アホ な父ちゃんもういらへん/【CB】超微妙/【DD】誰でも大好き /【DK】大事なところでかむ/【FK】ファンデ濃い/【GMM 】偶然街で会った元カレ/【HD】ヒマだから電話する/【HT】 話ついて行けない/【IT】アイス食べたい/【IW】意味わかん ない/【JK】女子高生/【KD】高校デビュー/【KZ】絡みづ らい/【3M】マジでもう無理/【MHZ】まさかの匍匐前進/【 MK5】マジキレる5秒前/【MM】マジムカつく/【MMK】モ テてモテて困っちゃう/【ND】人間としてどうよ/【ODD】お 前、大学どうする/【NW】ノリ悪い/【PK】パンツ食い込む/ 【PSI】パンツにシャツイン/【QBK】急にボールが来たので /【TD】テンションダウン/【TK】とんだ勘違い/【WH】話 題変更
第3章 込み入ったオトナの話はKY式で乗り切る
実検! KY語現場編
オフィス編/人事編/接待編/喫煙所編/社員食堂編/給湯室 編/女子トイレ編/社内恋愛編/飲み屋編/終電編/ゴルフ編/カ ラオケ編/ドライブ編/食事編/デパート編/夜の接客業編
第4章 KY式日本語 基本単語帳
[コラム]KY語声に出して読む名句・名言1〜9
http://thistle.est.co.jp/tsk/detail.asp?sku=30544&page=1
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KY=空気読めない、という言葉が流行したころの話(2007年ごろ)。こういった略語がいろいろ収録されています。ちょっとした話題にはなるでしょうが、それがどうしたって感じは否めません。図書館予約数は9(08/05/14現在)です。
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KY(=空気読めない)のようなローマ字略語を紹介した本。
以下、抜粋して紹介。
■CB=超微妙
■BK=馬鹿なカーナビ
■IT=アイス食べたい
■IR=行くならランチまで
■HR=ひとりでランチ
■GM=牛丼の方がマシ
■OS=温度設定
■3M=マジでもうムリ
■MA=マジありえない
■JT=ジャージ登校
■NTT=荷物担当
■DBK=だいぶバカップル
■ISO=一発ですぐにおしまい(若手芸人?)
■OJT=お前若干タチわるい
■PKO=パチョレック、郭李、オマリー
■KKY=急に会話がやむ
■PSI=パンツにシャツイン
■MHZ=まさかのほふく前進
■BMW=馬鹿丸出しの若者
■DVD=デブ・バーサス・デブ(大相撲?)
TN(=とりあえず生ビール)は今後使いたいと思います笑。
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日本語の省略もここまできたか…という感じだね。もっとも、隠語の延長には間違いないし、隠語ほど作りが賢くない。(笑)どういう意味にもとれるところは、今風なのかもしれないけどね。小集団の中でしか通用しないところも…。
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ブーム後のためか、面白さがまったくわからなかった。この手の本は、流行しているときに読むか、当時の思い出が強い場合に読んだほうがいいと思った。
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2007年夏、時の内閣を評して、「KY内閣」という言葉がメディアを乱れ飛んだ。「KY」と書いて、「空気読めない」と読む。若者やネットを中心に広がり続けるこのローマ字略語の世界に、多面的な考察を試みたのが本書である。
インパクトを期待したがなんだか微妙だった。個人的に。
刊行2008年。今更読む必要はなかったかも。
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『KY式日本語──ローマ字略語がなぜ流行るのか』(北原保雄編著,「もっと明鏡」委員会編集,大修館書店,2008年)を譲ってもらいました。
「空気読めない」を略して「KY」と言うような,近頃巷に氾濫しているローマ字略語について書いた本です。編著者は『明鏡国語辞典』の編者で,日本語のプロの目から見た解説が素晴らしい。
ローマ字略語は最近の流行ではなく,NHK=日本放送協会とかKK=株式会社とか,実はむかーしから日本語の中に素地があった用法です。戦前には海軍の中で「MMK」=「もててもてて困る」という言葉があったそうで,これなんかはまさしく今の「KY」と同じです。
これが今若者の間でたくさん使われている背景について,編者はいくつかの理由を挙げています。携帯電話のメールで文字数を減らすために略語を多用する,という理由に加えて,携帯やパソコンで知らず知らずのうちに日本語をローマ字で書くことに慣らされている,という理由が挙がっており,これには目からうろこの思いがしました。そう言われてみれば,私も最近めっきり手で字を書くことが少なくなり,ほとんどがパソコンです。とすると,私が書く字のほとんどはローマ字で書いていることになります。これは怖い。そのうち,漢字やかなもいらなくなってローマ字そのまま,なんて時代が来てしまうかも。
それにしても,後の方で紹介されているKY語の数々には頭が痛くなります。「ださい」を「DSI」と略す必要があるのか。文字数的には全然略されていないし,音数でいったらむしろ長くなってます。「IT」が「アイス食べたい」の略だというのも意味がわかりません。略語で言わなければならないほど,しょっちゅうアイスを食べたくなるのか,近頃の若者は。
要するに略語ではなくて,若者の言葉遊びの面が強いのですね。
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略号が好きなのは、コンピュータ業界だった。
ネットでのチャットでは、顔文字、略号は30年ほど前から流行っていた。
携帯メールで女子中学生、女子高生がよく使うようになったのは最近である。
だから、女子中学生、女子高生の言葉だと思っている人がいる。
コンピュータ業界と女子中学生、女子高生では意味が違うものが沢山ある。
略号は、いつでも、誰でも作っても良い。普及するのは一部だけだし、生き残るのも一部だけだ。10年後に1割残っていればよいかもしれない。
例えば、CDは、コンパクトディスク、キャッシュディスペンサ、チェンジディレクトリ、中日ドラゴンズなど様々である。キャッシュディスペンサはATMになってしまったので死語になりつつある。
10年後に何が生き残っているかを予想を書きながら読むと面白いかもしれない。
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パラパラとページをめくるだけで単語帳のごとく、KY語と使用例が目に飛び込んでくる。
アルファベット略字でコミュニケーションを済ませてしまう現代日本人。
読み進めるにつれ、「KY語ってこんなにあったのね。このうちいくつが生き残れるのかしら?」という感想が膨らんだ。
著者はマジメな学者さんで、他著作も豊富。KY語の紹介を交えながら、戦前からの日本人の言葉の使い方や、そこからわかる特質について解説書を加えてある。
ギャグ的要素が濃いが、読者の意識によって学術的利用も十分可能な本である。
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略語形成について、社会的背景を見て書いている。
特に、冒頭で「打ちことば」に触れている点は重要。
語彙の説明については基本的に無意味。
というか「もっと明鏡」って時点で…
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ちょっと、遅かったか、と思いながらの読書。
なんでKY語が流行っているか
それは、仲間内でしかわからない言葉を使って一体感を感じていたり、直接言うには結構きわどい言葉なところをオブラートにくるんでいたりと、今の若者の壊れやすい心を反映しているのかなぁとおじさんはつくづく感じるわけです。でも、明日は多分KY式日本語を使っています。多分、明日だけ(^^;