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商品説明
「平家物語」の譜本(楽譜)である「平家吟譜」。宮崎文庫記念館蔵「平家物語」12巻および灌頂巻・全12冊を、岡村玄川撰「平家吟譜」と判断し、影印で収録。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- 『平家吟譜』(宮崎文庫記念館蔵『平家物語』影印)
- 宮崎文庫記念館本平家物語(吟譜)
- 宮崎文庫記念館蔵平家物語(平家吟譜)について
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紙の本
「平家吟譜」完成直前の編纂課程がわかる貴重な史料
2008/02/10 16:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鈴木まどか - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の平家琵琶相伝者や演奏家が使う譜本は、尾張藩の事業として荻野検校が安永5年(1776年)に編纂した「平家正節(へいけまぶし)」で、平家物語を199句にわけ、教習順に編纂してある。
江戸ではこれより早く、岡村玄川が元文2年(1737年)に「平家吟譜」を編纂していた。平家物語の順序に編纂してあると言われるが、原本の所在は不明であり、現存する写本には全句が揃ったものがないことから、もともと部分的にしか存在しないという意見もあった。
このたび発見された「平家物語」は享保16年(1731年)の奥付があるので「平家吟譜」原本とは言えないし、秘事の「延喜聖代」「宗論」「劔之巻」「鏡之巻」は掲載されていないが、平家物語の順に編纂され、すべてに語り方を示す譜がついている。平家物語の諸本の一である。
何よりも貴重なのは、『平家音楽史』(1910年、館山漸之進)の記述にある通り、岡村玄川が山田検校・上田検校・豊田検校(瀧井)の語りを比較したことや、宮城某宅において吟味会を行ったことを裏付ける加筆の存在であろう。むしろ「平家吟譜」原本よりも、語り方の訛謬を整譜する作業がわかり、学術研究的には価値が高い。
平家物語の諸本の研究者、平家琵琶の研究者、平家琵琶を学ぶ者や演奏家には必携の一冊。