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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2008.1
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/475p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-208891-8
紙の本
堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド)
著者 飛鳥部 勝則 (著)
両親を事故で亡くした中学1年生の如月タクマは、母方の実家に引き取られるが、そこでは魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死していた。さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた...
堕天使拷問刑 (ハヤカワ・ミステリワールド)
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商品説明
両親を事故で亡くした中学1年生の如月タクマは、母方の実家に引き取られるが、そこでは魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死していた。さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。そんな呪われた町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず…。【「BOOK」データベースの商品解説】
両親を亡くし母方の実家に引き取られた少年、如月タクマ。そこでは祖父が密室の蔵で死んでいた。さらに数年前、祖父と争っていた一族の女3人を襲った斬首事件。2つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔のせいだというのだが…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
飛鳥部 勝則
- 略歴
- 〈飛鳥部勝則〉1964年新潟県生まれ。新潟大学大学院教育学研究科修了。「殉教カテリナ車輪」で第9回鮎川哲也賞を受賞。他の著書に「鏡陥穽」「レオナルドの沈黙」など。
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紙の本
とんでもねえ本が復刊された!
2024/01/07 00:47
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
因習村ミステリーが思春期特有の、それもかなり尖った飛躍も厭わない想像力豊かな視点で描かれている。不安定な年頃のフィルターを通して目の当たりにするこの舞台なら、本当に悪魔や堕天使みたいなのがいるんじゃあるまいな……と思わせてくる表現力。一旦ホラーに寄り道してからミステリーに着地して、更にラブストーリーをひとつまみ添えるなんて、筆の曲乗り、筆の綱渡りとでも言うべき離れ業がこうもキレイにまとまっているだなんて、通読した今も信じられない。今年一番の読書がこれで本当に良かった。
紙の本
前代未聞のトリック×2
2023/12/04 12:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
幻想的だったりスプラッターだったり、時にはモンスターパニックの顔も覗かせたりと多彩なホラー要素を備えたホラーミステリ―。
ミステリーとしては、本格ミステリベストテンの選評でも書かれていたが、最初の殺人と最後の殺人のアリバイトリックがどちらも前代未聞で開いた口がふさがらなくなる。書き方を間違えるとギャグにしかならないようなものだが、文章や人物造形の力でそうさせていない。人間の愚かさや怖さを感じさせたうえで、一定の説得力、そしてミステリーとしての驚きへつなげられているように思う。
トリック重視の本格ミステリー好きなら必読。復刊を強く希望する一冊。
☆2023年12月追記
長らく絶版でしたが、現在、「書泉と、この10冊」企画で特別重版され書泉でのみ購入できます(オンライン販売あり)。hontoのサイトに書くべきではないかも知れませんが、読みたくても手に入らなかった人はこの機会に是非。
紙の本
嫌いじゃないんでうが何ていうか、ガーン、っていうのがないんです。雰囲気も文章もいいんですが、結局、キャラが弱いのかなあ、結局そういう終わり方?みたいな・・・
2008/06/20 19:56
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
毎度のことですが、読みかけの本を机の上に置いておくと、真っ先に反応するのは夫ではなく娘たちです。ちなみに、このセーラー服少女の絵を見た長女が言ったのが「これ、ジャケ買いでしょ」でした。あんたねえ、親に向かってなんていう誤った先入観を。私がこれを選んだのは「ハヤカワ・ミステリワールド」「飛鳥部勝則」「殉教カテリナ車輪」という三段跳び、じゃなくて三段論法からなんだって。
それにハヤカワ・デザインのカバーデザイン、多田進のフォーマットデザインはともかく、PARADISE"D"のカバーイラスト、私の好みじゃありません。女子高生の可愛さなら、竹さんとは比較にならないし、線がキモイ。同じミステリワールドでも東直己『駆けてきた少女』(早川書房2004)のほうがずっと上品。ちなみに、私の『駆けてきた少女』ジャケット評は
「紫を上手に使った鮮やかなカバーイラストは、ご存知、景山徹(あれ、たしか影山徹じゃなかったっけか?)。で、カバーの真ん中にすっくと立つミニの制服を着た、スレンダーな女子高生が何とも格好いい。カバーデザインはハヤカワ・デザイン。フォーマットデザインは多田進。」
ですから。とはいえ、それはあくまでカバーのお話。内容となると勝負は別。とりあえずカバー後ろの案内は
両親を事故で亡くした中学1年生の如月タクマは、母方の実家に引き取られるが、そこでは魔術崇拝者の祖父が密室の蔵で怪死していた。さらに数年前、祖父と町長の座をめぐり争っていた一族の女三人を襲った斬首事件。二つの異常な死は、祖父が召喚した悪魔の仕業だと囁かれていた。そんな呪われた
町で、タクマは「月へ行きたい」と呟く少女、江留美麗に惹かれた。残虐な斬首事件が再び起こるとも知らず……
となっています。基本的には、これでいいのですが、舞台となる町の雰囲気がここには描かれていません。町に名前があったかどうか、気がつきませんでしたが時代は現代です。イメージ的には地方の因習でがんじがらめになった町を思えばいいのですが、田畑の臭いはしません。地方の小都市、よりすこし小さ目な場所としておきます。
更に言えば、陸の孤島でもないのに、閉じたという印象が強くて、その最大の理由が私設警官の存在です。山中の孤立した町でも駐在くらいはあるのですが、この町ではヤクザに近い男が警察官に似た権力を持っています。ま、過去の大きな事件を除けば、町長一族の横暴くらいしかない土地のこと、威張りようもないものではありますが、とりあえず態度がでかい。
それと事件の影響、というか町で最大の資産家がその道に走ったせいか、町全体をオカルティックな雰囲気が包んでいます。中学にはオカルト研球界もあるくらいです。主人公の祖父には悪魔を降臨したという噂が絶えませんし、町の住民もそれを信じている向きがあります。そして、それに相応しい事件が起きています。
飛鳥部の文章は『殉教カテリナ車輪』でもそうでしたが、こういう雰囲気を描くには絶好のもので、中学生の男女が登場しても、決して軽く浮ついたものにならず、重厚です。しかも、惨劇を描いても扇情的にならず、その様子を古臭い言葉でいえば「風林火山」、いやはやなんちゅう喩えでしょうか、書いた本人が恥ずかしい、でも決して衒学的ではないものです。
犯人は、そのパターンだけはやめて欲しかった、という黄金期のミステリを思わせるものですが、これはいたし方ないのでしょう。それと、話に出てくる不二男の作ったオススメモダンホラー(第二部第十一章のタイトルでもある)が立派です。これだけ読んでも損はしないのではないでしょうか。
それと出版社のこの小説につけた謳い文句「ジョン・ディクスン・カー+ボーイ・ミーツ・ガール」、密室というより、オカルティックな雰囲気からカーへの言及は理解できます。でも・・・とりあえず登場人物をグルーピングして詳述して内容紹介に代えておきましょう。ちなみに、登場人物が殆ど何らかの形で血が繋がっています。いかにも地方です。
如月タクマ:中学一年生。両親である如月達也、幹子を交通事故で亡くし大門家に引き取られるが、旧姓を名乗る。幹子は大造の長女。
大門大造:タクマの祖父。死去。私設美術館も所有する、豪農で国立大学も出、数々の会社を経営していた。晩年はオカルトに興味を抱き、悪魔を降臨したとも噂される。5年前の町長選で王淵一馬と死闘を演じる。
大門松:大造の妻で、幹子、法子、有里、玲の四人の娘の母。80歳近い。
大門玲:大造の末娘で、タクマの義母となる。ツキモノハギ、巫女。
鳥新啓太:タクマの担任。国語教師で康子の父。タクマのおじでもある。
鳥新法子:啓太の妻で大造の次女。大造の美術館の館長代理兼事務。
鳥新康子:タクマのクラスの委員長。タクマの従妹。
憂羅有里:タクマの叔母。大造の美術館の学芸員兼管理。
根津京香:町の建築業者の娘。オカルト研の部長で中学三年生。カリスマ的美女。
土岐不二男:オカルト研部員で、タクマのクラスメイト。
村山舞:オカルト研部員。タクマのクラスメイト。
江留美麗:絶対零度の美貌の中学二年生。殆ど人と口を利かず、白い少女の印象。
憂羅充:タクマのクラスメイト。木村修一:スキンヘッドの中学一年生。ガン、グレンの舎弟。
王淵一馬:町長。
王淵一也:グレン、中学三年生。母と二人の妹を大造に殺されたと思っている。
憂羅希明:町の私設警官。巡査と呼ばれるが、警察官ではないし、仕事はヤクザに近い。
差賀:町医者。差賀クリニックを開業。大門玲の元夫。
間秀:安寧寺の住職の一人息子。妻帯者。エロ坊主、変態ともいわれる。玲と関係を持つ。
アク:大造の美術館の受付。
ツキモノイリ:人面瘡をもってしまった人の呼び名。
ツキモノハギ:ツキモノイリからツキモノを剥ぐ儀式の執行人。
最後は目次を写しておきます。
プロローグ
第一部 アンダー・ザ・ムーン
第一章 蛇 ~ 第十六章 出棺
間章A 現在――現在 二〇〇七年三月十六日
第二部 アンチ・バベル
第一章 ヒトアマ ~ 第十四章 新婚旅行
間章B――現在 二〇〇七年三月十六日
第三部 天使が現れなければならない
第一章 第二次創生記戦争 ~ 第十四章 真相
エピローグ
終章 現在――メール交換・二〇〇七年四月~