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紙の本
掘割で笑う女 (講談社ノベルス 浪人左門あやかし指南)
著者 輪渡 颯介 (著)
城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な...
掘割で笑う女 (講談社ノベルス 浪人左門あやかし指南)
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商品説明
城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が、まもなく病で死んだ。女の姿を見た者は必ず死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が、闇に溶け込んだ真実を暴く痛快時代活劇!第38回メフィスト賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【メフィスト賞(第38回)】城下の掘割で若い女の幽霊を見たという普請方の男が病で死んだ。女の姿を見たものは死ぬという噂が囁かれる折、お家騒動が持ち上がり家老が闇討ちされた。怖がりで純情な甚十郎と酒と怪談を愛する浪人・平松左門が真実を暴く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
輪渡 颯介
- 略歴
- 〈輪渡颯介〉1972年東京都生まれ。明治大学卒業。「掘割で笑う女」で第38回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
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紙の本
いっぱい指南されました
2008/03/03 09:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:redhelink - この投稿者のレビュー一覧を見る
真夏の夜の定番は怪談話。蒸し暑い中、みんなで様々な話をするのは青春です。ところで、今の季節は早春。冬の寒さが残っているのと、まだまだ夜が早いことから言えるでしょう。その早春に怪談をするのは、とても怖いと個人的に思います。だって、何もしていなくても身震いするような季節ですし、みんなが厚着をしているから、中身は本当に人間なのかと勝手な妄想をしてしまいます。・・・それは私だけですか?春先は変質者が多いと言われていますが、これを怪談話に置き換えると結構不気味な体験ができます。
私は、それをこの小説でやってしまったわけです。この小説は序盤に、これから重要になってくる奇怪な死を遂げた話が数話出てきます。それを読みながら部屋をキョロキョロする私がいるわけですよ。恥ずかしいことこの上ない。
そんな怪談話を、怖がりだけど剣術の腕はいい甚十郎とその彼を剣術で指導し、怪談話でいじめた平松左門が謎を解き明かしていきます。時代が江戸時代であることで、和服の魔的な魅力が想像できる辺りも好きです。
この小説において、自分の目と耳と足を使い、奇怪に思われた現象を論理的に解決していく平松左門の姿が印象的です。何事も結果があるものは原因があることを悟らせてくれるというメッセージが、面白おかしく書かれているのがこの小説でしょう。
また、推理できる部分も持ち合わせていて、しかもきちんと推理することで犯人もわかるように書かれているフェアな小説です。先入観(=著者)との戦いも楽しめます。
事件を扱っている小説は星の数あります。そしてその数だけ個々人の勝手な思惑があり、そしてその数だけトリックがあるわけです。しかもきちんと整頓すれば論理的に誰にでもわかるような方法で。人間がやることは所詮足が着いてしまうということです。
そこへ立ち向かう(=論理的にものを考えていく)ことがどれだけ大切で、またどれだけ難しいことかが、甚十郎と平松左門を通して感じられます。甚十郎は論理的に話を持っていこうとしているけど、マクロ的視点が少ないのではまってしまう描写は共感できます。マクロとミクロのバランスをとりながら考えることは、非常に難しいことを最近経験した私にとっては、痛々しいキャラクターでもあるのです。
その本について共感できる本を読むととても楽しく読めることは、経験的にあることだと思います。私も友人に言われてしっくりきた台詞でした。寒い季節にびびりたい人、論理的な思考にあこがれる人は読んでほしい作品です。できれば数日かけてじっくりと読むと、よりいっそうその欲求を満たしてくれると思います。