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商品説明
「親子喧嘩の果てに、父親が「死んでやる」と言い残して家出した」という記事が新聞の社会面に載った。何の後ろ盾もない男が県議会選挙でトップ当選。その議員の応援演説をしていたのが「死んでやる事件」の父親であった。一見、全く関係のない二つの事柄。だが、ある女性新聞記者だけが驚くべき関連性を指摘する(「選挙トトカルチョ」)。作家生活半世紀。円熟味溢れる短編六作を収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
「親子喧嘩の果てに、父親が「死んでやる」と言い残して家出した」という記事が新聞の社会面に載った。この「死んでやる」事件の父親は、県議会議員の応援演説をしていた−。表題作を含め全6話を収録したミステリー短編集。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
昔の噓 | 5−49 | |
---|---|---|
ペンギン体験 | 51−95 | |
選挙トトカルチョ | 97−141 |
著者紹介
佐野 洋
- 略歴
- 〈佐野洋〉1928年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。新聞社勤務を経て、作家生活に入る。「華麗なる醜聞」で第18回日本推理作家協会賞受賞。97年第1回日本ミステリー文学大賞受賞。
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紙の本
これみよがしなトリックではなく、自然体のミステリ。年齢を感じさせない、とまでは言いませんが、まだまだ若いものには負けない、そういうレベルの作品集です。
2008/05/19 19:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きですね、手塚リサの装画。なんていうか近代美術風?ブラックとレジェを足して割ったような、無論、とっても分りやすくしたものなんですけれど。それとタイトルの文字。なんだか、かしこまった著者名だけが浮いてるっていうか、面白味がないんですが、それはそれ、双葉社らしからぬ装丁は芦田慎太郎です。
でも内容に関しては危惧していました。最近の佐野洋のミステリといえば大半が不倫とセックスをめぐる話ばかりで、今回も変わらないだろうなあ、と思っていたんです。それと出版ペース、これがかなりおちました。もしかして物忘れが酷くなってきて、筆をとるのを止めたのかしら、そんなことも考えていました。
緻密な組み立てを第一にしてきた作家の老いた姿を見せつけられたらどうしよう、そういう不安もありました。でも杞憂でした。確かに不倫はあります。でも、それはじつにサラっとした表現。そういった枯れた軽妙さというのとも違う、なんていうかあまり深く入っていかない距離感が、実に自然です。
出来不出来の差がないのもいかにも佐野洋らしい。ベストを選ぼうと思いましたが、これが難しい。個人的には「烏兎忽忽」が好きですが、絶対かといわれれば首を傾げます。ともかくキレの凄さは感じないものの、どれも肯いてしまうものばかり。ちなみに巻頭の「昔の嘘」、10年前だったらもっと違った展開になったんじゃないか、そう思います。
佐野洋、80歳。そのお歳でこれだけ書いてもらえれば、私は満足です。ボケたなんて根拠のない先入観。この調子で今後も執筆されることを願ってやみません。
初出は「小説推理」’07年4月号~9月号ですから、現役の新作です。簡単に内容紹介をしておきます。
・昔の嘘 :A県に住む47歳の医師・松村に県立第一病院で消化器部長を務めている豊岡から、彼の患者で現在無職、61歳の山田重一という人に会ってもらえないかという電話が。松村はその名前に覚えがないが・・・
・ペンギン体験 :聖恩寺の住職・根本晴久は56歳。D県下の主な都市に支局を置いている県紙・D新聞社の40歳の砥上は根本を訪ね、知り合いの野瀬夫人が「その子が、ペンギンになってしまった」と言い出したことを教え・・・
・選挙トトカルチョ :8年前J県警J中央署の副所長に就任したという坪内信行から佐野洋の元に送られた手紙で、当時57歳だった坪内は23歳だった中央新聞記者の横地俊恵と犬のタローとの出会いから不思議な親子喧嘩の事に触れ・・・
・烏兎忽忽 :書店で私に「宇佐先生」と声をかけて来たのは、東京で暮らしているとばかり思っていた小杉志穂だった。昔、中学校の教師だった彼女が言い出したのは、カラスの言葉がわかるという小学生の少女の話・・・
・爪占い :同僚の川瀬が結婚式で披露したのは、彼が一度教わったことがあるゴルフ場のレッスンプロ紺野のエピソード。嘘のような話に興味を抱いた『週間樹氷編集部』の多岐野は、紺野が行なうとう爪占いで昔のことを・・・
・蝶の写真 :中尾千穂が答えたアンケートを見て取材に現れたウィメンズ・ウィークリーの野際という20代半ばの女性記者。千穂の運命を変えたという『P大占い研究会』の高村の一言。出会いと別れの裏にあったものは・・・
以上、重くない本格ミステリ集でした。