紙の本
世間の風はきつい
2008/01/30 13:52
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
25歳フリーターの風実(ふみ)はもう若くはないことを自覚し
野球場のビールガールを引退する。
が、バイト歴を重ねてもなんの経歴にもならず
これからのことを思うと暗い気持ちになってしまう。
でも決してふらふらしているだけの女の子と違い、
また単なる自分探しの小説にしないところが、平安寿子なんですね。
風実は幼い頃、父親が愛人を作り家出。
激怒した母は離婚届の印を絶対に押さないと自己憐憫にひたり
ひたすら自己愛と依存心で凝り固まっている。
それは風実にも及び、親子決別。
高校を卒業して以来、ひとりで生きている。
そんな彼女に問題が降りかかる。
高校生の弟はゲイだとカミングアウトし
知り合いのゲイバーで働きたいと姉のアパートに家出してくる。
恋人の英一は大学院に通いながらもボクシングを続け
限界に挑戦したいという。
そんな彼を応援したい風実。
が、Aという道を進もうと思うと
Bという道に進まざるを得なくなる。
人生なんてそんなもの。
唯一、心の安らぎだった30代後半のサラリーマン小池さんは
仕事のきつさで、持前の明るさをどんどん失くしていく。
しかしラストには爽やかな風が吹き抜ける。
きっとそれは、きつく冷たい風に
顔をあげて歩いたものだけが感じられる風。
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タフなフリーター、風実の生き方をテーマに書き下ろした作品。
まだまだ若いが、自分の行き先も、恋の行方も定まらない風実。子どもに寄りかかる母親、子どもに関心のない父親、家出してきた弟幹を絡ませて「いかに生きるか」を模索する。
にくめないぐうたら男性を主役にした作品や更年期の女性の生き方などを書いてきた同世代の著者だが、今回の作品は世代を問わず読める作品にしあがっている。
一番オススメ。
星は4以上。
作成日時 2008年01月20日 21:42
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25歳でフリーターの風実は、
今まで元気に、いろんな仕事をしてきたのだが、
「30歳恐い病」なるものに取り付かれ、
そろそろ、きちんと自分の人生設計を立てなくては。。。と思い始める。
ボクサーを目指す彼がいるにはいるが、将来が見えない。。。
そして、別居中の両親のことや、ゲイの弟のことなど、
周りの環境もなんだかややこしい。。。
それでも自分なりに、いろいろ考えて、何とか前へすすもうとする彼女に、
ほんのり、優しい人々が、それとなくアドバイスしてくれて、
なんだか、ほっとして、こちらまで心が軽くなっていく。
この作家さんの本は、ぐいぐい読者に迫ってくるというのではなく、
じわっ。。。と、しみてくるというか、
受け止める人によっては、生きる元気がもらえる本だと思う。
わかるわぁ。。。その気持ち。。。っていう感じかな。。。
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風実(ふみ)は25歳。
様々なバイトを転々とする、フリーター。
彼氏。
自分よりも一回りも下のバイト先の女の子。
彼氏の愚痴を話せる友達。
とあるバイト先で出会った妻子もちの年上の友達。
とりたてて派手な生活ではない。
ドラマチックな毎日でもない。
だけど、色々ある。
実は結構色々ある。
そんな風美の日常を、なにげなく
丁寧に描いた作品。
面白い。
かなりスラスラ読めた。
これ、女の子は結構楽しめるんじゃないかな?
感覚的に「分かる!」ってことが多そう!
男子はどう感じるのかな?
“色々ある”ってことが、
すごく特別なことではないんだけど、
とてもナイーブな問題だったり、誰もがぶつかりうる道だったり
うん。読んで損はない気がするなぁ。
これを読んで楽になれる人もいるんじゃないかな。
物語としてもよくできてた!
人と人との関わりを
大切に描いている作品に思えました。
今、自分にとってのベストタイミングで読めた気がする。
オススメ!
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25歳フリーター
なんだか近しいものを感じてしまい思わず手に取りましたん。
弟がゲイで(私にも弟がいるので、ちょっと不安になった)ボクサーの彼は保育士になっちゃうし、母は子離れしないしで、なんだか私よりもいろいろある。
でも、前を向いてれば新しい道が開くんだって教えてくれたお話でした。
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三十歳怖い病に陥りそうになっている20代後半の女性の人間模様。
なんやかんやありながら、自分の進むべき道をたぐりよせていく、風実の行く末を応援しちゃう。
夫に出て行かれながらも離婚に応じない母親、いつも自分の背中に隠れていたが自分はゲイだとカミングアウトする弟、球場のビールガールのときに知り合った飲み仲間であるドラッグストアの部長、思いを寄せながらも明確な進展につながらない”恋人”のボクサー。
平さんの最近の作品。作風がちょっと変わってきた?
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キーワードがあっって……
タイトルと内容がマッチしてて……
なんだけど、俺のイチオシはここ!
ふうちゃんVS母ちゃん
圧巻のシーン!
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25歳フリーターの女性。 ゲイの弟、10年前に家族を捨て女に走った父、父にしがみ続ける母をもつ。 仕事を転々としたり不安定な恋愛に振り回されたりしながら、自分を見つけていくまでの物語。
うん、良かったです。私も主人公と同じくらいのときに2年くらいフリーターしてたので共感します。あの時期って本当に自分にとって実になったと思ってます。
仕事に満足できないと適当にあきらめたりせず、次にゆく主人公の態度に好感。特にジーンズショップで「倒れた同僚のことを誰も心配しない雰囲気に嫌気がさし」転職するところは 読んでいて「ああ、流れが厳しかったら変えてもいいんだなあ・・」と学びました。最後お客さんの笑顔のために働けるいい職場に出会えてよかったですね。やっぱり好きなことをするというのが仕事の基本かもしれません。
全体として仕事について深く考えさせられた作品でした。「自分がこうしたいというだけじゃダメなんだね。人がしてもらいたいと思っていることをやらないと・・」という言葉が印象的でした。
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25歳でフリーター。
「このままでいいの?」
弟はカミングアウトするし、母親は相変わらずだし、彼氏?なのかはっきりしないし、やりたいことがわからないし・・・。
人生は不安だらけで・・、「このままでいいのか?」って悩んでしまうから、共感したのか面白かったし、サラッと読めた。
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この先の将来に不安がある25歳フリーターとそのまわりの人々について。
境遇は違えど、先に不安があるのは一緒だから共感して読めた。
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25歳フリーターは自由?それともヤバイ?ゲイの弟とか、自称ボクサーの彼とか、子離れできない母とか、他人の心配しているフリして、本当は、自分のことが一番心配だった。『グッドラックららばい』以来初の書き下ろし長編。
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2度目。
すごーく共感できる部分が多くて、大好きな作品。
目標が定まらなくてもがいてるところや、家族…特に母親や元カレ、ちょっと危うい小池さんとの関係。
他人に弱みを見せられないところとか、すごくわかる。甘えるのが下手なところも。
最後の、
「人と人はこうして別れ、出会っていくのか。明日、何が起きるかは誰にもわからないんだ。知りたければ、生きていくしかない。それって、すごくない?」
本当にそう思う。
生きていくしかない。
今の苦しみが明日には軽くなっているかもしれないから。
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ビールガールをしている風実は
25歳になった自分を考え違う仕事を探そうと決意した。
ファミレス、ジーンズのアウトレットなど職場を転々とするが
これといった仕事は決まらず、
悩みを相談しようとしても周りもゆれてばかりだ。
彼氏の英一はボクサーの夢に敗れて保父をしようと考えているし、
弟の幹はいきなりゲイだとカミングアウトをして家出してきたし、
飲み仲間の小池さんは利益追求を促すポストについて人間味を失ってきているし、
父は昔不倫の末家を出て行き、母は元から自分が一番可愛い人間だ。
装画:ヒロミチイト 装丁:高柳雅人(角川書店装丁室)
25歳でフリーターの女子が自分の将来を模索する物語。
途中で何度かゲイの弟と自分を比べて
どちらが楽か考えるシーンが出てきますが、
何を持って楽とするかにもよるんじゃないかなぁ。
信念とか軸みたいなものが決まっていれば
進む道を迷うことは減るだろうけれど
向かい風に立ち向かわなければならないときはつらい。
それでも私としては進む方向が決まっていてつらい方がいいなぁ。
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またもや、帯の北上次郎さんにつられて読む。
20代後半から30代前半 多くの人が感じるであろう悩み事。
共感できる人も多いと思う。
自分的には 年齢的にも経験的にも ちょっとこえてるので、深く感情移入は出来なかったけど。
でもこういうふつーの日常を描くのって 意外と難しいかな。
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25歳フリーターの風実。
今ならいくらでもいそう。
これでいいのだろうか? と自分のことを見つめ直せるのはいいことよ。30歳手前の揺れる女心もわからないでもないし。焦ってしまうよね〜。最終的には、自分のやりたいことが見つかってよかった。
それが困難なことであっても、自分のやりたい事をやれればいいなぁ。