紙の本
サブプライム問題をわかりやすく
2008/01/08 13:33
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:新井宏征 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとなく理解していたサブプライム問題がすっきりと理解できました。
本書では、アメリカ人にとっての住宅とはどういう存在なのかという説明にはじまり、アメリカで住宅ブームが起きた背景、住宅ローンの実態、住宅バブルを後押しした証券化という金融技術の進化などが解説されています。また、サブプライム問題を受けて、今後、アメリカや世界はどのようになっていくのかということについても触れられています。
どの解説も非常に丁寧で、随所に挿入されている図やグラフも理解を助けてくれます。金融の知識があまりない人にでもわかりやすいように解説されていますし、これを読めばむしろ金融についての興味が深まるような内容になっています。
これを読んで驚くのは、アメリカの住宅ローンの実態(特にNINJAローンの存在など)。こういうのがまかり通っている国というのも恐ろしいなぁと思いますが、かつての日本のバブルも同じようなものだったんですね。そして、最終章にも書かれているように、明日は我が身としてこの問題と、今後の日本の状況を注視していかなくてはいけないようです。
問題の大きさの割には「難しそう」「自分とは関係なさそう」と思ってしまいそうなものですが、本書はとても読みやすく、わかりやすくまとまっているので、ぜひ一度読んでおきたいところです。
紙の本
これでわかる!
2008/08/08 17:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:白薔薇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サブプライム問題って少し前まではよく聞きましたよね。最近はあまり大きく取り上げられないものの、やはり知っておきたい常識の一つです。
この本ではサブプライムとは何かを初歩的なことから書いてくれているので、金融についての知識がない人でも理解できるはずです。
今からでも遅くありません。これを機会に一度サブプライム問題について勉強してみませんか?
紙の本
わかりやすいが本質がつかめなくなっている部分もある
2008/10/05 00:30
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
2007 年 10 月くらいの時点で,サブプライム問題とはなにか,これからどうなるのか,などについて書いている.金融技術を「悪用」しサブプライム・ローンを証券化して売ることがモラル・ハザードにつながったこと,そこに「レバレッジ」という手法で元手の 10 倍の資金を運用するファンドがかかわって損失を 10 倍に拡大させたことなどである.わかりにくい専門的な議論をさけているのでよみやすいが,そのために本質がつかめなくなっている部分もあるようにおもう.
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2時間で読める。
どのような貸し込みが行われていたのか、ということを過去の新聞記事やウェブサイトを例示的に使用して説明している。わかり易い。
米国の借金(=国債)によって成り立って来た戦後経済体制が転換する契機になるかもしれない、という彼の推測はあなかじ大袈裟ではないと感じさせる。
また、日本でも団塊の世代が年老いていくにつれ、リバースモーゲージの悪徳業者が、米国サプフライムのレンダーのような貸付行為をするのではないか、という警鐘も興味深い。
著者のサイト:
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17202
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わかりやすかった〜。住宅ローンを増加させたアメリカの国民的心理やブローカーのモラル・ハザード、それを全世界に撒き散らした証券化という金融技術、そして中央銀行と市場の闘いの中で中央銀行がバブルを放任してしまった環境などなど、いろんな要因があって今回のサブプライムの問題に発展したことがわかった。終章の世界経済の展望もおもしろい。読んでるとアメリカ帝国の崩壊も説得力があるように思えてくる。
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金融技術すげー。ってのが正直な感想。
知らないところで、技術はすっごく進化してる。
ローンの証券化っていうのが、初めて聞いてびっくりした。
本によると何でも証券化できるらしい。特許とか映画の作成とか。。
この問題はだいぶ長引きそうだな。さまざまな要因が絡みすぎて一発で解決っていうのが難しいそう。
と、いろいろ勉強になった本でした。
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サブプライム問題がどのような背景の基,発生したのかについて詳細に書かれている。そもそも、この問題は、サブプライム層向けの住宅ローンが事の発端ではなく、アメリカの住宅ブームによる住宅価格の上昇に乗っかった金融機関の杜撰な体制に問題があった。また、それと併せて、住宅ローンを貸付けた銀行が、それらの集合体(ローン債権)を証券会社に売却し、証券化され、世界中の投資家に出回ったことがこの問題の大きな要因である。いずれにしても、サブプライム問題の影響はさらに拡大するものと考えられ、アメリカ経済の停滞を受け、世界中が金融恐慌に陥る可能性も示唆される。本書を読む事で、曖昧にしか知らなかったサブプライム問題について深く知ることができ、また、単にアメリカ経済の問題ではなく、今後、世界中の経済問題に発展していくその理由を知ることが出来た。
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サブプライム問題の本質とは何か、が平易に解説されています。淡々とわかりやすく書いてあるためかえって問題の深遠さが垣間見え、迫力を感じます。
問題の根は「証券化」。どんなに質の悪いローンを組んだとしてもそれが証券化され高いレーティングがついてしまえば買い手にはわかりません。ある意味食品偽装と同根の問題があるのかもしれません。
問題は、アメリカ発の住宅不況がサブプライムローンを証券化した商品を通じて世界中にばらまかれることです。
次は(これも食品と同じように)中身がちゃんとわかるようなリスク表示という問題に行くのだろうと思います。
それにしてもアメリカの住宅ローン、収入なし、仕事なし、資産なし、でも貸していたとは…日本のバブルよりひどいのでは。
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サブプライムで損失をかなり出した会社にいるので、サブプライムって何?ってきかれた時のために購入。
あー本当せちがらい。
NINJAローンとか驚くべき。
やっぱ資本主義ってそろそろ限界なんじゃないかと思わせる。
2008,february
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この件に関してほとんど予備知識のない一介の大学生が読んでも何の苦もなく理解できるばかりか、一見すると経済的な観点に終始してしまいそうなこのサブプライム問題を、将来的な覇権の変遷という国際政治の分野にまで視座を拡大させてくれるつくりになっている。図表も多用されており、明快かつ読みすすめやすい。
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サブプライム問題の発生原因と、それがどのような影響を与えたのかについて詳しく述べられている本です。筆者が長年、米国に足を運び、記録をつけていただけあります。特に米国の国民性(マイホームを持つことが米国民の夢)などは、実際、米国にいかなければわからないし感じ取れないことだと思います。そのような国民性がサブプライム問題の原因の一つと言及する本書は、サブプライム問題を金融・経済以外の側面から見る面においては優れているかもしれません。
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サブプライムとは何かを適切に、そしてわかりやすく解説。サブプライムローンの複雑さをここまでわかりやすく解説した本はないだろう。Lenderの裏にSIV(Structured Investment Vehicle)というものが存在しているとは知らなかった。まさしく住専の破綻時に明るみになった事を同じではないか。度々出てくる日本のバブル崩壊との比較がサブプライム危機の深刻さを教えてくれる。2005年、6年が一番多くのサブプライムローンが組まれたということで、そのほとんどが2/28や3/27ということで、これからまさしくサブプライムローンの恐ろしさを身に染みる人達が増えるということで、この問題はまだまだ牙を剥き切っていないということが予想される。サブプライム危機を知ることで様々なことが明るみになり、様々な事をうかがい知る事ができるのはとても興味深い。
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最近、ちょっと昔に読んだ本を読み返しています。
それは、このブログを始めたのがきっかけで、
せっかく、昔読んで多少ともおもしろかった本を残さないのは
もったいないと思ったからです。
本書は、その昔の本にあたります。
内容は、タイトル通りそのものです。
これは、知識系の本ですので、筆者の言いたい事が
特に記載されているわけではありません。
しかし、サブプライム問題がなぜ起こったのかははっきりと
理解・認識できます。
今でも、この問題によって大きな損失が度々明るみに出ますよね。
結局は、高度な金融システムと悪徳な銀行マン・証券マンによって
この問題が発生したと考えてもいいと思います。
(ただ、甘い汁に集った人達にも責任はありますが)
そして、今後は私達は欺されないように、より知識を身に付けて
いかなければなりませんね。
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金融知識のインプット用に。
投資銀行はサブプライムを証券化したというより、証券化された債券に投資をしてたのね!と今更ながら気付いたww
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【要旨】
アメリカの住宅ブームの中で、低所得者でも住宅を購入することができるようにしたのが、サブプライムローンである。しかしながら、当初の目的と異なる方向で利用されるようになった。金融技術の発達により、証券化することにより、ローン債権を転売するようになり、問題が複雑化した。またこの住宅ブームは、ITバブルの崩壊、9.11、不正会計疑惑などの後の低金利の状況下で盛んとなった。住宅価格が6年で2倍以上の上昇だったが、FRBも何も対処しなかったため、バブルが弾けてしまった。
低所得者はローンの支払いが遅延すると、即日、強制的に担保(住宅)を差し押さえられ、競売に掛けられてしまうのが実情である。ローンを組んだ金融が、債権を(証券会社を通じ)証券化し、海外の多くの投資家へ転売しているため、法律上の措置として仕方が無い。これによって、住宅バブルの崩壊と、ローン(証券)の焦げ付きという形でバブルは終焉を迎えた。この証券化がグローバルな展開を見せたため、世界的に大きな影響を及ぼすこととなってしまった。
ここまで高度に発達した金融技術・新時代の危機に対して、中央銀行は危機管理の用意(規制の導入など)ができていない。また以前は、資金供給量(マネーサプライ)や金利を操作することにより、市場の流動性をコントロールすることができたが、現在はこれがあまり効果的に機能していない。この流動性の支配はヘッジファンドなどの市場勢力に取って代われた(資金が国境を越えるものであるため、各国の中央銀行が対処しきれる状況でなくなっている)。
最後に、今回のサブプライム問題はアメリカ帝国の終焉を意味しているのかもしれない。アメリカの代わりになりそうな国は、規模や成長性などを考えると中国(あるいはインド)だろう。国ということに拘らなければ、EU(欧州連合)がその地位にもっとも近いだろう。
【感想】
日本ではバブルの象徴は「土地」だった。アメリカでは「住宅」だったのだと思う。サブプライム問題も、いま見てみれば当然の帰結である。物事には構造があり、本質がある。安易に波に乗らずに、冷静な視点が重要だと思う。特に金融を含め畑違いのところで、常に新しいものができている。あらゆる分野が専門分化しすぎ、隣の畑がよく見えない時代になっている。だからこそ物事を「吟味」する冷静さ・客観性が重要だと思う。まぁ、生涯勉強ですね。
【目次】
第1章 住宅バブルを生んだ社会的な背景、時代的理由
第2章 サブプライムが略奪的貸付に変質した理由
第3章 サブプライム問題の露呈
第4章 サブプライム問題への対策と現実
第5章 サブプライム問題の今後
第6章 終わりのはじまり