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- カテゴリ:一般
- 発売日:2007/10/31
- 出版社: 文藝春秋
- サイズ:20cm/511p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-16-326330-4
紙の本
ウォッチメイカー (「リンカーン・ライム」シリーズ)
著者 ジェフリー・ディーヴァー (著),池田 真紀子 (訳)
ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十...
ウォッチメイカー (「リンカーン・ライム」シリーズ)
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商品説明
ウォッチメイカーと名乗る殺人者あらわる。その報がリンカーン・ライムのもとに届いた。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていた。やがて犯人が同じ時計を十個、買っていることが判明した—被害者候補はあと八人いる!だが、いつ、誰が、どこで?尋問の天才キャサリン・ダンスとともに、ライムはウォッチメイカー阻止に奔走する。一方、刑事アメリア・サックスは別の事件を抱えていた。会計士が自殺を擬装して殺された—事件にはニューヨーク市警の腐敗警官が噛んでいるようだった。捜査を続けるアメリアの身に危険が迫る。二つの事件はどう交差するのか?史上最強の敵、登場!時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?ドンデン返しに次ぐドンデン返し。あまりに緻密な犯罪計画で読者を驚愕の淵に叩き込む現代最高のミステリー・シリーズ最新作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【日本冒険小説協会大賞(第26回)】史上最強の敵、登場! 時計じかけのごとく緻密な犯罪計画をひっさげてライムとアメリアを翻弄するウォッチメイカー。次はいつ、どこで、誰が殺されるのか。熾烈な頭脳戦に勝利するのはライムか殺人者か?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ジェフリー・ディーヴァー
- 略歴
- 〈ジェフリー・ディーヴァー〉著書に「ボーン・コレクター」「悪魔の涙」など。
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紙の本
期待を裏切らない作品です
2007/12/17 01:15
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さあちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
リンカーン・ライムシリーズの七作目にあたるこの作品はウオッチメイカーと呼ばれる時間や時計に異常な執着をもつ殺人犯との熾烈な頭脳戦を描いている。
一晩の内に2つの殺人。いずれも残忍な手口でその現場にはアンティークな時計が残されていた。そして被害者にはなんの共通点も認められない。やがて犯人は同じ時計を10個購入したことが判明する。あと8人標的がいる。いつどこで誰が?ライムと彼のチームは殺人を阻止しようと奔走する。
ライムのパートナーであるアメリアは彼と共にこの事件を追いかける一方で念願の刑事となって初めて任されたある会計士の自殺事件も調べていく。やがてその事件は巧妙に偽装された殺人事件と判明しどうも汚職警官が関わっているらしい。そして調査の課程において今は亡き敬愛する父親の衝撃の事実を知る。それはライムとアメリアとの関係をも大きく揺るがす事態になっていく・・・・
本作ではキネシクスの専門家キャサリン・ダンスがゲストとして登場する。キネシクスとは証人や容疑者の態度や言葉遣いを観察し分析する科学。
要するに嘘か真実かを見分ける専門家である。最初は彼女のことを胡散臭く思っていたライムがその実力を目の当たりにして次第に信頼していく。常に新しいものを作品に取り入れていくディーヴァーらしい登場人物である。また前作で登場したルーキーの成長ぶりも楽しめるし何よりもライムチームのいつものメンバーがそれぞれの立場を超えて一丸となって犯人を追いつめていく課程が巧みに描かれている。
さすがデイーヴァー。ジェットコースターのような展開は健在である。とにかく一瞬も気が抜けない。ページをめくるごとにどんどん先か゛読みたくなる。どんでん返しのどんでん返しのどんでん返し。まさに予測不能である。ある程度予想をしていても見事に裏切られてしまう。その緻密な計算にはまさに脱帽である。
この作品少なくとも3度は楽しめる。最初はストーリーに次に情景にそして作者の仕掛けた様々なトリックに。とにかく最後の一文を読むまで油断出来ない作品である。ファンには特に。そうでない人には更に。
紙の本
ソング・キャッチング
2009/02/21 14:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つぶて - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ウォッチメイカー』を読み終えた。先の読めない展開に舌を巻いた。シリーズものらしい終わり方で、お楽しみはまだ続きそうだ。
今回、ライムの科学捜査チームにゲストとして、キャサリン・ダンスというキネシクスの専門家が登場した。キネシクスとは、証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察して分析する科学。供述の真偽を見極めるキャサリン・ダンスの活躍が渋く光っていた。このエンターテインメント小説のストーリーを書くのはマナー違反なので、ここらで留めておきたいが、ひとつ、ストーリーとは関係のないところに興味深い話があった。
キャサリン・ダンスが、目下のところ夢中になっている趣味は、「ソング・キャッチング」と呼ばれるもの。これは、辺鄙な土地を巡り歩いて伝統音楽を録音し収集する民謡研究のことで、その道では、アラン・ローマックスが最も有名であるという。
アラン・ローマックスは、実在する人物で、みすず書房から『アラン・ローマックス選集』という本も出版されている。フォーク、ブルーズ、ジャズの発展に決定的な影響を及ぼした男だという。アメリカのルーツ・ミュージックの研究、実に魅力的な分野だ。
大衆小説には、現在を写しとる鏡のような一面がある。ましてや、ジェフリー・ディーヴァーが書くのは警察の科学捜査であるのだから、少しの矛盾も許されまい。現在の、アメリカの社会が抱く問題はもとより、日本には報道されることのないアメリカの風俗、民謡研究のような活動を知りたければ、へたな論文を読むよりも、娯楽小説を読むに限る、といえば言い過ぎかな。
紙の本
もう目茶苦茶面白かった〜
2016/12/08 15:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーの中でも犯罪ものは、その犯人がどれだけ強烈な個性を持っているかが最重要だと思っているのですが、その意味では本作の犯人は至高の存在だと思います。
徹底的に倫理的にも法的にも悪なのですが、たまらないほど魅力的なのです。このシリーズ主役のリンカーン・ライムを差し置いてメインです。
この犯人がいるからこそ、彼を追い詰め捕らえようとする側の警察官たちも輝いてしまう状態、まるで犯人が太陽でリンカーン達が月です。
今回は単行本で読んだのですが、2段組500ページ超えの長編なのにダレるところが皆無で一気読みせずにはいられない傑作でした。
あ〜あ、なんて幸せな時間だったことか。読み終わったのが残念で残念でしかたありません。
紙の本
“尋問のエキスパート”の手法。
2008/01/17 11:24
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:四月の旅人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「このミステリーがすごい!」2008年版海外部門1位。
シリーズ7作目の今回は、カリフォルニア州捜査局の“尋問のエキスパート”
キャサリン・ダンスがライムのチームに加わる。
「尋問者の第一の仕事は一つは、
相手の人格タイプ──内向的か外向的か──を見きわめることだ。
...内向タイプは、論理や理屈ではなく、直観や感情を基準に判断を下す。
外向タイプはその逆だ。
相手の人格のタイプがわかれば、質問をどう組み立てたらよいか...わかる」。
ん? これってMBTI(Myers‐Briggs Type Indicator)じゃないか──。
前世紀の初めにカール・ユングによって始められた性格の類型化は、
キャサリン・ブリッグスとその娘イザベル・ブリッグス・マイヤーズによって
1962年に『MBTI』初版として結実する。
その後、45か国以上で活用され、現在では年間500万人が利用しているという。
MBTIでは、性格を4つの側面から検討する。
どちらかを選択していくことで、16タイプの性格に分類されることになる。
【意識】 Extroversion(外向型) or Introversion(内向型)
【情報収集】Sensing(現実型) or iNtuition(直観型)
【決断】 Thinking(思考型) or Feeling(感情型)
【生活】 Judging(規範型) or Perceiving(柔軟型)
それぞれのタイプは、大文字の組み合わせで表わされる。
たとえば、すべて左側の人は──ESTJ。
外向的で決断力があり、現実的で自信家なので──男性的?
ということになるらしい。
どうも日本語のニュアンスがあいまいだが・・・
詳しくは、下記のサイトあたりを参照してほしい。
http://www32.ocn.ne.jp/~emina/
http://www5.big.or.jp/~seraph/zero/mbti.cgi
こうして
ふだん無意識にくり返している思考や行動のパターンを被験者が理解し、
本来の自分をとり戻すことがゴールとなる。
しかし、キャサリン・ダンスはさらに先へ行く。
「荒っぽくそっけない態度を取ると、内向タイプは殻に閉じこもってしまう。
しかし...は典型的な外向タイプ、しかも傲慢な外向タイプだった。
...キャサリン・ダンスがもっとも好むタイプの相手だった。
こちらもひたすら押せ押せでいくのがいい」
『ウォッチメーカー』は、ハリウッド映画のように(!)おもしろい。
これはもう、アメリカ文化の特質なのだろう。
しかし、宮部作品ほどの深さもない。
紙の本
またまたライムシリーズか、と食傷気味になりながらもついつい手にとってしまう。さて今回の作品のできばえは?と、このシリーズ、そこまで新機軸が期待できる魅力がある。ジェフリー・ディーヴァーはたしかなストーリーテラーなのだ。これは第7弾だそうだが、私はこれで6作品を読んだことになる。
2007/12/22 19:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』『魔術師』………。数々の名犯人たちと頭脳戦を演じ、勝利を収めてきた現代の名探偵リンカーン・ライム。彼の前に、細心緻密な殺人計画を引っさげて、史上最大の敵<ウォッチメイカー>が立ちはだかる。著者ディーヴァー自身がシリーズ第1作にしてミステリ史に残る名作『ボーン・コレクター』を意識しつつ書き上げた最新作。どんでん返しの連続の果てに明かされる<ウォッチメイカー>の真の狙いとは?」
7作品もあるシリーズだから傑作もあればそうでないものある。その意味でこの装丁帯のコピーは本シリ-ズを通した全体評価のエッセンスがつまっているようだ。『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』『魔術師』の3作品を例示しているところ。中でも『ボーン・コレクター』を最もすぐれた作品と評価しているところ。だからディーヴァーが『ボーン・コレクター』への原点復帰を意識したところ。
私もランクをつければ
第一位『ボーン・コレクター』第二位『コフィン・ダンサー』第四位『ウォッチメイカー』第五位『魔術師』
となるかな。
全体を通して探偵役であるリンカーン・ライムの個性がとてつもなく魅力的である。首から下は左手の薬指一本しか動かせない四肢麻痺の元刑事。従来の安楽椅子探偵ものと言えばどちらかと言えば地味なストーリー展開だが、単なる頭脳的推理にとどまらず、アクションの連続が展開する意外性。膨大なデータベースと最新の科学工学機器を縦横に駆使し、犯罪現場の微細な遺留物に対する科学的検証。徹底した証拠主義、合理主義。さらにアメリア・サックスという女性パートナーと優秀な警察官たちを加えた警察の組織力を思いのままに動員する。
この完璧な捜査陣に対するのが冷酷な殺人者で容易ならざる知能犯。
こういう邪悪なものが潜むことができる場所は大都会であって、これだけの機動力を駆使できる舞台はやはり大都会なのだろう。『エンプティ・チェアー』や『石の猿』はローカル色と銃撃戦の西部劇になったところで面白さが半減していた。ニューヨーク!『魔術師』、『ウォッチメイカー』はその意味で原点復帰の緊迫感が甦った。
『ウォッチメイカー』でディーヴァーは新しい個性を登場させ、捜査陣に加えている。キャサリン・ダンス。キクシネスのエキスパートだ。キクシネスとは証人や容疑者のボディランゲージ、言葉遣いを観察し分析する科学なのだそうだ。彼女の前ではだれでもが本当のことをしゃべってしまう、そういうスキルのある女性。徹底した証拠主義者であるライムは証言というものを信用していない。そのライムがダンスを評価するに至るプロセスがなんとも滑稽で興味深く読ませる。マンネリに陥りやすいシリーズものだが、彼女の目を見張る活躍はこれまでにはない新鮮さで読者を魅了するだろう。
ただし、原点復帰といってもシリーズを読んできたひとにとって、もはやリンカーン・ライムは四股麻痺というハンディキャップのある人物であることを忘れてしまっていて、彼の劇的な働きを当たり前として受けとめる感覚になっている。驚きをもって彼を見つめる初期の意外性がなくなっている。つまり彼の本来の魅力に不感症になっているのだ。
実は『ウォッチメイカー』はこのようにライムシリーズになんども一杯食わされ続けたファン、ディーヴァーの騙しのテクニックに慣れ親しんできた読者に狙いを定めて放たれた大変化球なのだ。練りに練って用意した奇策や壮大な伏線は不感症になった読者用の劇薬であって、はじめてこのシリーズを読むひとならば、いかにもご都合主義の作り物であり、途中が退屈なしろものと受け取りかねない。
やはりまず『ボーン・コレクター』を読んでからにするべきでしょう。
参考 私の読んだディーヴァーの作品