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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.11
- 出版社: 河出書房新社
- サイズ:20cm/366p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-309-62200-2
紙の本
〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ (奇想コレクション)
著者 シオドア・スタージョン (著),若島 正 (編/ほか訳)
超反射“シナプス・ベータ・サブ16”の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて…。スタージョン...
〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ (奇想コレクション)
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商品説明
超反射“シナプス・ベータ・サブ16”の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らはみなそれぞれに問題を抱えていて…。スタージョン的テーマが展開される表題作をはじめ、他人が必要としているものが読めてしまう男の痛切な物語「必要」、家出を決意した少年が故郷の町を出て行く道で奇妙な男たちに出逢う「帰り道」他、全6篇を収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
超反射〈シナプス・ベータ・サブ16〉の調査に地球にやってきた探検隊は、ある下宿に人類のサンプルを集めて観察を始めるが、彼らは皆それぞれに問題を抱えていて…。スタージョン的テーマが展開される表題作他、全6篇収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
帰り道 | 若島正 訳 | 7−20 |
---|---|---|
午砲 | 小鷹信光 訳 | 21−46 |
必要 | 宮脇孝雄 訳 | 47−138 |
著者紹介
シオドア・スタージョン
- 略歴
- 〈シオドア・スタージョン〉1918〜85年。米国ニューヨーク生まれ。SF・幻想小説家。「人間以上」で国際幻想文学賞受賞。世界幻想文学大賞生涯功労賞が贈られた。他の作品に「夢みる宝石」「一角獣・多角獣」など。
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紙の本
深い感動はありません。でも、面白い。どの話ももう一度読みたくなる、そういう本です。個人的には「必要」とタイトル作品がいいかな
2008/03/19 21:47
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ出版社から以前でた奇想コレクションの一冊『輝く断片』が面白かったので、同じシリーズのこの本も読んでみようと思った次第。ただし、このタイトル、あまりにビミョー過ぎて、いかに色彩センスのいい松尾たいこのカバー画と、阿部聡の手になる全巻集めたくなる装丁でも、スタージョンの名前が無かったら手にしていなかったはず。
他の小説のタイトル、例えば『火星人と脳なし』のほうが売れる気がします。ま、スタージョン作品の不可思議さを強調するために『[ウィジェット]と[ワジェット]とボブ』というのも分らないではないんですが・・・
収められているのは六編。巻末の編者あとがきによれば、なによりスタージョンらしい独自性のある作品を選んだそうです。でも、スタージョンの他の作品を殆ど知らない私としては、独自性云々は全く関係なく、面白いかどうかだけが判定基準になります。ただし、短篇の宿命か、深い感動にいたる話は無かったかな・・・
とりあえず、全篇を訳者、初出とともに簡単に紹介しておきます。
・帰り道 A Way Home 若島正 訳 《アメージング・ストーリーズ》1953年4・5月号:家出をしたとき、ポールは幹線道路に出るまでずっとだれにも会わなかった、で始まるお話で、果たして少年の冒険は・・・
・午砲 Noon Gun 小鷹信光 訳 《プレイボーイ》1963年9月号:自分に自信をもてないジョーが付き合っているのは、二級品のネズミっ子のサラ・ネル。そんな彼の前に現れたブロンドの娘との会話が思わず弾んで・・・
・必要 Need 宮脇孝雄 訳 短篇集《Beyond》1960年:ニューヨーク州ノースナイアックの町で、なんでも屋の店主G・ノートの前に現れたゴーウィングは今日も突然、予想もしていなかった用事でノートを連れ出す。困っていた男を車に乗せてやれというのだが・・・
・解除反応 Abreaction 霜島義明 訳 《ウィアード・テールズ》1948年7月号(本邦初訳):大きなブルドーザーの運転手だったおれが今居るところはどこだ、いや、そもそもおれは誰なんだ・・・
・火星人と脳なし The Martian and Moron 霜島義明 訳 《ウィアードテールズ》1949年3月号(本邦初訳):発明狂の父親は、火星人と連絡を取り合うプロジェクトから突然、離脱した。平穏な生活に戻った僕の前に現れたのは、コーディリアという名の美女。思いがけなく彼女をパーティの会場から連れ出して・・・
・〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ The [Widget],the [Wadget],and Boff 若島正 訳 《ファンタジー・アンド・サイエンス・フィクション》1955年11・12月号(本邦初訳):古い歴史のある町で下宿屋を営むサムとビティ。そこには自分を見出せない人が集まっている。美しさを武器に女優を目指す少女、身分違いの未亡人に恋する弁護士、銃に心惹かれる職業適性相談員、洋服にお金を注ぐ女、事件が起きた時自分がどういう姿でいるか気になってならない女、一人息子を気遣う母親・・・
編者あとがき 若島 正
感動こそしませんが、どの話も好きです。例えば「帰り道」。S・キングだったらこれだけで100頁は書いてしまうかもしれません。地方だろうが都会だろうが、家出を決心した子供たちは、心のどこかで大人から「家に帰れ」と声をかけられるのを待っているものです。
アメリカらしさを感じるのは「帰り道」もそうですが「午砲」と「火星人と脳なし」でしょう。パーティとガール・フレンド、発明などは如何にも明るいアメリカ、映画の世界そのものです。
でも私が好きなのは「必要」と「〈ウィジェット〉と〈ワジェット〉とボフ 」です。何が起きているのかさっぱりわからないものの、話がどんどん進んでいきます。しかし、それは決してスラプスティックに展開するのではなく、静かに軟着陸する。スピルバーグあたりが映画にしたら、しっとりとしたいいものが出来そうです。
そういう意味では「解除反応」が一番弱い。話のスケールは大きいのですが、構造がシンプルなのと如何にもSFしているので、さほど心を動かされません。SF的な設定を利用していますが、どこか半村良の作品のような、この人は結局、人間を描きたいんだ、と思わせるところが好きです。人間描かずして何が小説か、ですよね。