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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2007.10
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ミステリ文庫
- サイズ:16cm/442p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-177301-3
紙の本
KIZU−傷− (ハヤカワ・ミステリ文庫)
歯を引き抜かれた少女たちの遺体が発見され、新聞記者カミルは取材のためにやってきた。母との確執で飛び出した故郷の町に。取材を始めた彼女は、犯人は被害者の身内なのではとの町の...
KIZU−傷− (ハヤカワ・ミステリ文庫)
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商品説明
歯を引き抜かれた少女たちの遺体が発見され、新聞記者カミルは取材のためにやってきた。母との確執で飛び出した故郷の町に。取材を始めた彼女は、犯人は被害者の身内なのではとの町の噂を聞く。そんなとき、カミルは母と異父妹に再会した。そして、事件の真相とともに彼女の過去の傷がぱっくりと口をあけ…傷つき壊れる直前の人々が、悲劇を紡ぐサスペンス。英国推理作家協会賞二部門を受賞した大型新人のデビュー作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【英国推理作家協会(CWA)賞最優秀新人賞(2007年)】【英国推理作家協会(CWA)賞最優秀スリラー賞(2007年)】【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
はっきりいってオーソドックスなミステリだと思います。凄さは感じません。それに年齢についてどこか曖昧。今回はそれが邪魔して内容がよく頭に入らなかったし・・・
2008/03/25 20:36
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
昔々のことですが、確か筑摩書房がサスペンスの叢書を出していて、そのなかの一冊にこんなタイトルの本があったような気がします。でもあれはスパイ小説だったような気が・・・それにしても、「KIZU」というタイトルは刺激的です。何だかハリウッド映画のタイトルに「SAYURI」のように日本語が使われたような感じ(ま、あれにも実は全く違う英語の題もあるんですが)です。
ところが、カバーを良く見れば分りますが、原題は SHARP OBJECT であって、KIZU ではありません。うーん、KARAOKE、OTAKU、KOBANなどに続いて海外でもKIZUが認められたのか、と思った私は、なんだか騙されたような気分です。ちなみに、カバーの宣伝文句にある英国推理作家協会賞二部門というのは、最優秀新人賞と最優秀スパイ・冒険・スリラー賞だそうです。
舞台はウインド・ギャップ、ミズーリ州の最南端、ブーツのかかとの位置にあたる、テネシー州からもアーカンソーからも、つばを吐けば届く距離にある、保守的で煮詰まった感のある田舎町。時代はといえば、明確にかかれていませんが作品が出版された2006年頃と考えると辻褄があいます。
主人公はカミル・ブリーカー、《シカゴ・デイリー・ポスト》紙で、仕事について2年目、いまだスクープなどに縁の無い自他ともに認める二流記者です。年齢は一応32歳としておきます。ウインド・ギャップで代々富を受け継いできた家の娘で、独身のせいか、その美しさは今も変わりません。ただし、彼女は故郷を離れてシカゴで暮らしています。
ここで大事なことは、彼女はウインド・ギャップで暮らしていた13歳の時からの自傷行為者で、記者になる前まではその癖を繰り返していたという事実です。カミルは今も時々その誘惑に駆られるのですが、それを何とか押さえ込んでいます。そんな彼女に、上司のフランク・カリーから命令が下されます。ウィンド・キャップで起きた少女の殺人事件の取材にいけ、と。
嫌々ながら帰郷した彼女を向かえたのはカミルの母で、25年前に再婚したというアドラ・クレリンです。再婚したとき、アドラ20歳というのですから現在45歳。畜産で財を成した両親を、カミルの出産後まもなくして亡くしていますが、経営手腕はともかく会社はいまも順調に富を生みつづけているといいます。
しかし八年ぶりに再会するという娘を迎える母親の態度は、そっけない、というのがピッタリです。事件の取材にきたというカミルへの協力を拒否し、彼女の仕事の邪魔さえしかねない勢いです。そんな二人の間に横たわっているのが、カミルの異父妹で、母親の寵愛を一身にうけながら1988年に9歳で死亡したマリアンのことです。そのときカミル13歳、彼女の自傷はそこから始りました。
今は亡きマリアンに代わってカミルを歓迎するのがカミルの異父妹で、13歳のコケティッシュな美少女アマです。その美貌を武器に周囲を翻弄する妹は、姉の取材を面白そうに眺めるのです。そしてカミルの義父アランは・・・
このまちに引っ越してきたばかりの裕福な家庭の娘で、5/11から行方不明になり14日に遺体で発見された10歳になるナタリー・キーン。そして昨年8/26日に行方不明になり、翌日遺体で発見されたアン・ナッシュ。二つの事件に繋がりはあるのか。カンザスシティから今回の事件のために応援に来ているイケメンの刑事リチャード・ウィリスの力を借りながら取材するカミルですが・・・
ここで年齢当てタア~イム!
さてさて、重箱の隅をつついてしまいましょう。小説を読みながら、どうもしっくり来ないんです。なぜか作者は登場人物の年齢をはっきり書きません。ま、被害者を含む少女たちについてはズバリ書いてあるんですが、大人の登場人物の年齢があいまいです。そこでカミルとアドラの年齢について書かれた部分を拾い出してみました。面白い事実が浮かび上がってきました。
15頁「七歳くらいのマリアンを抱いている十一、二歳のわたし」。
22頁「母は25年ほど前に結婚して姓が変わりました」。
47頁「母は全く変わらない、四十代後半なのに」。
75頁「「マリアンが亡くなったとき、わたしはまだ十三歳だったのよ、ママ。まだ子供だったの」二十年近く前の話だ。」。
79頁には、自分について「わずかでも三〇を過ぎた独身の女は、この地域では同性愛者とみなされるのだ。」。
102頁「「母と結婚したときにこの町に移ってきたの」「それはいつのこと?」「もう三十年近く前だと思うわ」。
114頁「入院時、私は30歳になって半年が過ぎていた」。
134頁「母が17歳で妊娠したとき」。
135頁「結婚して八ヵ月後に、アランの子を生んだからだ。母は二十歳、アランは三十五歳で」。
306頁ではカミラが若者の母親の年齢と比較されて「「たしか、三十三か四じゃないかな」きわめて近い」。
です。母親がカミラを生んだのは17歳の時。そして3年後、20歳の時に再婚して、妹のマリアンを生んだ。だから妹はカミラの4歳下。ここまではいい。そしてカミラ13歳の時、妹が9歳で亡くなった。これも正しい。問題は、母親がいつ再婚したかです。22頁でそれは25年前。ただし、それが102頁では30年近く前となっています。
もし25年前だとすると、カミラは現在29歳。母親は45歳。47頁の記載ともなんとか合致しますし、娘を17歳で生んだことも大体正しい。でも、79頁と114頁の文章とは合いません。30年前だとすると、カミラは現在34歳、母親は50歳。これを2年繰り上げ28年前とすればカミラ32歳、母親48歳。これなら他の記載とも矛盾しない。
要するに22頁が問題なのですが、これは警察官に対する答えです。なぜここで嘘をつくか、です。じつは、これ伏線でもなんでもありません。単なるミスなんです。ではなぜ、これが気持ち悪かったか。他の頁と矛盾するからというより、流れで読む限り主人公は32,3歳であることは確かです。で、母親が20歳で再婚したことも。これが25年前となると母親が45歳、単純に12歳でカミラを生んだことになってしまう。それが気持ち悪かったんです。
ま、アバウトな読み方をする私ですら気持ち悪いんですから、ミステリの鬼にとっては泥水でも飲まされた気持ちだったんじゃないでしょうか。できれば訳者のかたは、著者に直接問い合わせて、22頁も30年近く前、と直してもらうべきだし、むしろこんな回りくどい表現ではなく、年齢をズバリ書いたほうが間違いが無い、くらいは提案してもいい気がします。
ちなみに、私はこの年齢当てだけで丸1日楽しませて頂きましたケロ!