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紙の本
世紀末画廊 (河出文庫)
著者 澁澤 龍彦 (著)
古今東西の絵画・芸術作品を、円熟した晩年の著者が偏愛的ともいうべき独自の世界観で読者をいざなう空想ギャラリー。世紀末の作家と画家たちの共演「世紀末画廊」、日本と西洋の特異...
世紀末画廊 (河出文庫)
世紀末画廊
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商品説明
古今東西の絵画・芸術作品を、円熟した晩年の著者が偏愛的ともいうべき独自の世界観で読者をいざなう空想ギャラリー。世紀末の作家と画家たちの共演「世紀末画廊」、日本と西洋の特異な芸術をイメージ世界に映した「イマジナリア」など、幻想芸術をテーマに書かれた珠玉のエッセイをまとめた文庫オリジナル・アンソロジー。【「BOOK」データベースの商品解説】
世紀末の妖しい光のもと、華々しく活躍した画家たちを紹介する表題作をはじめとして、夢幻的な印象を呼び起こす幻想芸術のエッセンスがつまった美術エッセイを収録。文庫オリジナル。【本の内容】
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紙の本
類稀な美の司祭者としての澁澤龍彦
2007/11/06 23:50
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ブルース - この投稿者のレビュー一覧を見る
澁澤龍彦と言えば、現在ではその著作の大半が文庫本化されて多くの人に読まれている。ところが、私がその著作に親しむようになった1970年代は、澁澤は甚だ危険な毒気に満ちた反俗的な書き手であった。その著作には、背徳的な匂いがし、書店で澁澤の本を買い求めるのは、ややオーバーに言えば禁断の書を手に入れるスリリングな趣があった。と同時に、当時はまだ脚光を浴びていなかった西洋の秘教的な思想・美術・文学などがいち早く紹介されており、心ある読者を大いに啓発してもいた。
本書は、世紀末芸術を中心として、西洋及び日本の美術に関する澁澤龍彦のエッセーを幅広く集めて一書としたものである。内容は、軽妙なエッセーから重厚な論考まで多岐にわたり、収録されたエッセーは古いところでは1960年代、新しいものでも1980年代であり、書かれてから時間が経っているが、少しも古びていないのはさすがである。
本書がそのような印象を与えるのは、一つには澁澤の審美観の確かさと先見性によると思われる。例えば、エッセーで紹介されている芸術家たち、クノッフ、ベックリン、デルボー、ルドン、モロー、そして一連のシュールレアリズムの画家たちは、当時は異端視されていたが、澁澤はそれらの画家たちの重要性と独創性をいち早く認め精力的な紹介を行った。こうした批評活動が大きな影響を与え、上記の画家たちが美術史の中で正当な位置を認められる機運を形成したことを思えば、やはり澁澤の審美眼の確かさは一頭地を抜くものがったあったと思われる。また、現代大きく注目されるようになった伊藤若冲や酒井抱一などの江戸時代のユニークな画家を先んじて顕彰し論じているところなどは、澁澤の先見性を示して余すところがない。
本書の中で印象深い点をもう一つ挙げると、その反俗的で毒性に満ちたところがいささかも色褪せていないことである。全てのエッセーがそうであるわけではないが、収録されたエッセーのうちで、「魔的なものの復活」「ベルメールの人形哲学」「モリニエ頌」などは、今読んでも一種の禍々しさが立ち上がって来て、読者を慄然とさせる。澁澤はかねてから、毒性のない美術や文学は芸術ではないと主張しているが、著者が鍾愛するこれらの画家たちと同様、そのエッセーには暗黒世界へと読者を誘う危ういところがある。
例えば、ハンス・ベルメールを紹介したエッセーでは、女の人形を様々なパーツに解体したうえで組み立てたことから生じる不気味で生々しいエロティシズムを、またピエール・モリニエを紹介エッセーでは、漆黒のモノトーンで描かれた両性具有者のスキャンダラスな姿を妥協のないタッチで論じている。
現在は、周りをみても毒性が抜かれた美術・文学・音楽・映画ばかりで、芸術によって異次元の世界が開示されることは稀になりつつあるが、澁澤のこの著作からは現代芸術が失いつつある原世界が紛れも無く立ち上がって来て、強いインパクトを与える。やはり澁澤龍彦は、他の追随を許さぬ美の司祭であると改めて思わざるを得ない。
紙の本
昭和に大活躍された澁澤龍彦氏が古今東西の絵画・芸術作品を独自の世界観で語った「空想ギャラリー」とみ言える一冊です!
2020/07/02 10:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、昭和期に活躍された作家、フランス文学者であった澁澤龍彦氏の作品です。同氏は、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介するかたわら、人間精神や文明の暗黒面に光をあてる多彩なエッセイを発表され、晩年には小説に独自の世界を拓いた人物としても知られています。同書は、古今東西の絵画・芸術作品を、円熟した晩年の著者が偏愛的ともいうべき独自の世界観で読者をいざなう空想ギャラリーとも言うべき書です。世紀末の作家と画家たちの共演「世紀末画廊」、日本と西洋の特異な芸術をイメージ世界に映した「イマジナリア」など、幻想芸術をテーマに書かれた珠玉のエッセイをまとめたアンソロジーです。同書は、「ジャン・ロランとジェイムズ・アンソール」、「ユイスマンスとフェリシアン・ロップス」、「アロイス・ツェトル―動物たちの楽園」、「さざえ堂―二重螺旋のモニュメント」、「ポール・デルヴォー」、「クロヴィス・トルイユ―ネクロフィリアの画家」、「私のシュルレアリスム」、「シュルレアリスムと屍体解剖」、「江戸の動物画」、「空想の詩画集」といったテーマで話が進行します。