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紙の本
「尊厳死」に尊厳はあるか ある呼吸器外し事件から (岩波新書 新赤版)
著者 中島 みち (著)
尊厳死問題の本質とは何か? 入院中の末期患者7人の人工呼吸器が取り外され、死亡した富山県「射水市民病院事件」を題材に、政府・医療界・メディア等の動きも踏まえながら、日本の...
「尊厳死」に尊厳はあるか ある呼吸器外し事件から (岩波新書 新赤版)
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商品説明
尊厳死問題の本質とは何か? 入院中の末期患者7人の人工呼吸器が取り外され、死亡した富山県「射水市民病院事件」を題材に、政府・医療界・メディア等の動きも踏まえながら、日本の終末期医療の真の課題を問う。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中島 みち
- 略歴
- 〈中島みち〉中央大学大学院法学研究科修士課程修了。ノンフィクション作家。(財)日本医療機能評価機構評議員、(財)日本訪問看護振興財団理事なども務める。菊池寛賞受賞。
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紙の本
「尊厳死」=尊厳ある死、とは限らない。
2007/10/02 15:14
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2006年三月末に、ある病院で2000年から2005年にかけ「尊厳死」らしきことが断続的に行われていたことが発覚した。
一連の「尊厳死」を主導していた医師は告発されるが、尊厳死協会などが彼の減刑を嘆願し、その医師自身もTV等マスコミで「尊厳死」の必要性を訴えるなどし、一躍「時の人」となった。
これらについて、世間はおおむね「終末期にある人を、本人や家族の意思に沿って「尊厳死」させた「赤ひげ医者」が、彼に反対する院長や世間の無理解という分厚い壁に苦しめられている」という理解を示したのではなかっただろうか。
時を同じくするように他の医療機関やマスコミも「安楽死」や「尊厳死」に関連した事例や新たな動きを発表し始め、「尊厳死」の法制化を求める動きは社会的にも大きなうねりとなってひろがっていった。
この本はそのような流れの中にある世間に対し、イメージ先行で事実を把握しないままに進み続けることへの警鐘を鳴らしている。
この本はいま一度問いかける。「尊厳死」とは何か。そして誰のためのものか。
まず著者は、発端となった2000年から2005年にその病院でおこなわれた一連の「尊厳死」事例を検証する。当初はこれを「尊厳死」問題の典型的事例として扱う予定だったが、検証の過程で浮かび上がってきたのは、世間に広がっているイメージとは程遠い、尊厳死や脳死はもちろん、基本的な事実に対する圧倒的な無理解を示す医師の姿であった。
著者はそのことに驚き、嘆く。しかしこのような医師やこのような不幸な事例が「尊厳死」問題を考えるときの典型ではない。しかし、なぜこのようなことになってしまったのかを真摯に問うことは、今後の「尊厳死」問題を考えることに必要であると考えた。
「およそ患者自身の尊厳とは程遠い、まわりの都合によって定められる患者の死が、「尊厳死」という、曖昧で捉えどころのない言葉によって一括りに美化されてしまう胡散臭い現実を知っていただくことこそ、真の尊厳死を探る早道だと考えるようになったのです。」(初版の帯・125頁)
「尊厳死」は「尊厳ある死」であってほしい。しかし耳に心地よい言葉で表現された「何か」が「名前負け」している例は結構多いのである。「尊厳死」の法制化が叫ばれる昨今、この問題を語る際に避けては通れない一冊である。
紙の本
安楽死への論議もしてほしい
2007/10/07 17:40
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こよね - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者も認めているように、射水市民病院事件ルポとも言うべき内容で、人工呼吸器をはずした行為の問題点、矛盾を丹念に追いかけている。著者の良心と執念を感じる一冊である。たしかに、患者が求めない、おかしな「尊厳死」が医師や家族の考えで行われる実態はあろう。また、末期の医療水準もまだまだバラバラであろう。やっと、死の臨床学会が発足したようだが。
しかし、尊厳死の問題は、基本的に患者本人が苦痛から逃れるために「安楽死」を求める場合のことから出発した論議であり、尊厳死と安楽死は違うといった論じ方も、現実を正視したものではない。安楽死は尊厳死よりも問題が大きく、複雑な要素を持つが、「時期尚早」と言うだけではいけない。
安楽死を求めている患者は間違いなくいる。
安楽死を認めている国もあることだし、論議は行われるべきだ。
著者の次のテーマにしてほしい。