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商品説明
小学校六年生の玉城聖子は、十一年前に沖縄で起こったハイジャック事件の人質だった。従姉の勧めで沖縄にある進学校を見学に行った聖子は、那覇空港で命の恩人と「再会」を果たす。そこで明かされる思わぬ事実とは—?(「再会」)。警視庁の大迫警視が、あのハイジャック事件で知り合った“座間味くん”と酒を酌み交わすとき、終わったはずの事件はがらりと姿を変える。これが、本格ミステリの快楽だ!切れ味抜群の七編を収録。【「BOOK」データベースの商品解説】
11年前に起こったハイジャック事件の人質だった聖子は、小学6年生となり、那覇空港で命の恩人と再会を果たす。そこで明かされる思わぬ事実とは…。「月の扉」事件のその後を描く。座間味くんが活躍する7編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
貧者の軍隊 | 7−39 | |
---|---|---|
心臓と左手 | 41−75 | |
罠の名前 | 77−114 |
著者紹介
石持 浅海
- 略歴
- 〈石持浅海〉1966年愛媛県生まれ。九州大学理学部卒業。「アイルランドの薔薇」で長編デビュー。長編第2作「月の扉」が各種ベストテン企画で上位ランクイン。他の著書に「扉は閉ざされたまま」など。
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紙の本
芸だってまだまだ捨てたもんじゃない
2008/01/12 22:31
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つきこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
想像力の欠如がもたらすオソロシサ、というものをちくちくちくちく皮肉たっぷり、警鐘たっぷりで読ませてくれます。
本書を著者の言葉を借りて紹介すれば、警察官がとある事件で知り合った民間人に終わった事件の話をし、話を聞いた民間人が事件の真相を解き明かすという「安楽椅子探偵」ものです。全七編からなる連作短編集、「月の扉」の座間味くんが再登場。その変遷に月日の流れを思います。連続性はないので「月の扉」を読んでなくても大丈夫です。
情動に流されることなく、”常識”に足元をすくわれることなく。論理的な思考を積み上げた末に導き出される推理に、目からウロコが落ちるか背筋が寒くなるか。
独特な題材の選び方と、それと密接に結びついた論理性の高さを石持ワールドと呼ぶならば、まさにその世界を堪能することができます。ブラックな風味付けがさらなる魅力を醸しだし、世の中を斜めに見がちな人間の琴線に響きます。
けれど決して理に勝った冷たい人でないことは、愛溢れる最終話「再会」を読めばわかるでしょう。実力はあれど現状に閉塞感と諦めを抱いて自信喪失気味で、身近に尊敬できる人生の先輩の後姿をみることができない、そんな女子の心にこそ届けと思う著者のメッセージに共鳴しました。そして、著者と同じくそう願う人は他にも本当にたくさんいるのだということを、言わずもながら付け加えておきます。
「月の扉」から本作まで、著者の変わった部分と変わらない部分、そしてその化けっぷりが如実に感じられ、とても幸せな気持ちで読了しました。
エンターテイメントなんてしょせん色と芸。芸だってまだまだ捨てたもんじゃない。売れてくれ。そして本に力を取り戻してくれ。心の底からそう願う著者の一冊です。