紙の本
騙されないために
2008/05/14 23:35
14人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:りっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
風呂釜が故障して、買い換えたのだけれど・・・最後に営業マンが言った「つぎはガスコンロですね」が引っかかる。「冗談じゃぁないぜ」。途中、「今だけ、お客様だけ特別情報」、「なんとか身内に泣いてもらって」作戦をしっかり取られたのはわかっていたが、客のために買い替えを勧めたのかどうか?別な工事会社にも問い合わせるべきだったのかなぁと・・・著者ほどではないと思うけれど、私も騙されやすいのかも・・・、
「この際、正直に打ち明けてしまうことにします。私はこれまで、実にだまされやすい人間でした。」「自分でも心配になるくらい」カモにされていた著者。それで実験社会心理学者として、承諾の心理について研究を始めたのだそうです。
テクニックの大まかなカテゴリーは、返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性。なんとなく身に覚えがありますよね。例えばタッパーウェアー。友人の家に呼ばれ(好意)、なにかプレゼントをもらい(返報性)、「使いよかった」例を自ら紹介(一貫性および社会的証明)。タッパーウェアーでうまいこと買わされたとしても、懐がそう痛むほどの金額ではないし、それなりに使えるものだからいいけれど(置き場所には困る)・・・ことほどさように、この心理学は社会のあちこちで日常的に存在しているということです。
返報性は確かに社会的に必要なものでもあるけれど、もし、お返しをするとしてもできる範囲、もしくはより困った人にすればいいのだ。実際、世の中はそういうふうに廻っているのではないかとも思う。「ありがとう」だけは即、その場で言いましょう。
一貫性は怖い。人生が狂う場合もある。一回認めてそれにはまりこむと、自分でもおかしいと感じていても引き返すことができなくなる。「こんな宗教にのめりこんで」と、友人の例ではしっかり見えるけれど。自分は?
セーラーが大酒飲みで結婚の約束を果たさないティムといったんは別れる決意をし、別な男性と婚約までしたのに、ティムの口説きに負けて、ティムと同棲、約束を反古されても、二人は愛し合っている、自分は幸福であると信じきっている。あらあら。
「機械的な一貫性には、もう一つもっと手におえない魅力があります。私たちが考えることを避けるのは、苦労のためではなく、考えることによって厳しい結果が生じるためであることが時々あります。理路整然と考えた結果、望んでいない答えがいまいましいくらいはっきりしてしまうことがあるために、私たちは精神的な面で怠け者になってしまうのです。」
研究者たちが潜入し、理論で打破したはずの宗教セミナーの参加者はこう言ったそうです。「僕は今夜はお金を払うつもりはなかったんだ。今、本当に文無しに近い状態だからね。だから、次の会合まで待つつもりだったんだ。だけど、君の友人が話し始めたとき、お金をすぐに払った方がいいと思った。そうしなければ、家に帰って彼の言ったことをまた考え始めてしまって、そうしたらもう決して申し込まなくなるって思ったんだ」。
社会的証明も、なかなか怖いものがあります。「風」とか「空気」に、ことに日本人は弱い。いじめの温床でもあります。「集団的無知」は命にかかわる。救急法で「誰か助けて!」ではなく、「そこの人、救急車を呼んで!」と、特定の人に具体的に指示するように教わったのがこれだったのだなぁ。事件や事故の場合、「誰か他の人が助けるだろう」という心理が働くそうです。「誰も騒いでいないから、たいしたことではないだろう」で、目撃者が多すぎるとかえって殺人事件の通報が遅れたりすることがあるのだそうです。
「自殺」報道が、他の「自殺」や事故を誘発するのも、社会的証明の作用とか。日本の報道はいけませんねぇ。具体的方法まで教えちゃって・・・真似しろ!!といっているようなものです。
好意。学校における形式的な人種差別廃止のための統合では、逆に偏見を強めてしまったことが記されています。「典型的なアメリカの教室」では、日本でもだね。子どもを教育させるというよりも競争させているから、よくないんだよ。 そして、実験です。少年たちのサマーキャンプで、実験者が意図的に双方の集団のミーティングに競争的な活動を導入したら、悪意が増大しました。そこで、「協力すればお互いの利益になるような一連の状況を作ったのです。たとえば、一日がかりの遠足の途中で、町へ食べ物を買いに行くために使える唯一のトラックが動かなくなっているのが「発見」されます。そこで、全員が集められ、車がそこから抜け出るまで、皆でトラックを押したり引いたりしたのです。」悪意の増大実験よりも時間はかかったそうですが、子どもたちは変わりました。
学校でも、「学習におけるジグゾー技法」を実施。「生徒たちをいくつかの協力チームに分け、それぞれの生徒には試験に合格するのに必要な情報の一部分(つまり、ジグゾーパズルの一つのピース)しか与えません。このシステムのもとでは、生徒は交替で教えあい、お互いに助け合わなければなりません。良い成績をとるためには、一人ひとりが他のすべての人を必要とするのです。」
学力の向上こそが(協力する能力も含め)勉強の目的だものね。受験は例外だけど。
権威の持つ影響力の実験結果は、ぞっとする。「何の罪もない他者に対して、苦痛を与えるように指示された場合、普通の人はどの程度の苦痛まで与えようとするのだろうか?」が実験の目的だったのだけれど、なんと、「約三分の二の実験参加者(被験者)は、犠牲者(「生徒」)からの懇願を聞き入れず、研究者が実験の終了を告げるまで、自分の前にある三十個の電気ショック・レバーを次々に引き、最後のレバー(四百五十ボルト)までも引いたのです。」
「実は、ミルグラムは最初、ナチが優勢であった間、ドイツ国民がなぜ強制収容所で何百万もの罪のない人々の殺戮に加担したかを理解しようとして研究を始めたのである。」でも、アメリカでも簡単に実験結果がえられちゃった。ナチズムはなにもドイツの特産ではないということだわね。
現代社会ではますます情報が多くなり、時間が急ぎ足で過ぎるから、簡便反応が多用されるだろうって。ずるをする人たちには報復を。そして、大事なことは、足を止めて、自分の胃や心の奥からのシグナルを聞いて、自分の頭で考えよう。今はマスコミが当てにならないからなぁ。小泉の「改革」に「カチッ・サー」で、投票しちゃった人が、今頃になって、後期高齢者医療制度(長寿の人を放り出してふんだくれ!!制度)の欠陥に気がついて憤っている。騙されちゃったままにしないで、「優しさ」を大事にする社会にしていきましょうよ。もうこれ以上、騙されないために、この本を読んでみたら?
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社会心理学者である著者が、さまざまなセールス現場に潜入し体験した「お客から承諾を引き出すテクニック」について、心理学の見地から有効性を分析し解説します。
やりすぎるとマインドコントロールや洗脳とも言われかねないような顧客心理コントロールのテクニックが満載。いわゆる悪徳商法の業者にとっては、間違いなくバイブルになっていることでしょう。
本の性格上人にはオススメしにくいですが、営業やマーケティングの方でこの本を知らないのはもったいないと思いますし、読んでいるといないとでは差がつくことは間違いないです。
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これを読めば仕事でも生活でも役に立つときが必ずあるでしょう.
KW:「返報性」「一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」
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3/1(土)
普段人間が意志決定する際に影響される要因が6つに分かりやすく整理されており、非常に勉強になる。今後、世の中の広告や人々の購買行動などの現象・ニュースなどを見る際の視点が変わると思う。
また、人を説得するときなどは意識的に要因を盛り込んでみることにも挑戦したいと感じた。(当然悪用するのはダメだが。)
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▼ 100文字感想 ▼
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たとえ記憶喪失になったとしても、真っ先に思い出したい
一冊。売りたい人、集めたい人が最も知りたい「承諾」の
メカニズムがストンと腑に落ちる。人を動かすだけでなく、
人に騙されないようにするための防衛法も興味深い点。
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▼ 5つの共感ポイント ▼
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■行動心理学6つのカテゴリー
・返報性
・一貫性
・社会的証明
・好意
・権威
・希少性
■小さな販売の目的は利益を得ることではなく、コミット
メントさせること
■「○○さんから、あなたを訪問するように言われてきた」
「○○さんが、あなたを訪問すればきっと得する、と話し
てました」ということができれば、セールスを始める前に
品物は半ば売れたも同然なのである
■三段階説得法
一回目…自己紹介と資料のお知らせ
二回目…多くの利益を語り、今回はもう不可能だと告げる
三回目…チャンスを与え、おおいにせかす
■世界で最も偉大な自動車セールスマン、ジョージラード
の成功の秘密は、毎月13,000人以上のお得意さんの一人
ひとりにメッセージを印刷したあいさつ状を送っていた。
内容は常に同じ「あなたが好きです」
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古典とは言わないですが、結構古い本ですね。初版は20年くらい前です。
今回購入したのは、第二版で加筆修正されているらしいです。(良い意味で)
結論としては、極めて良い。買って良かったと思います。
内容は、なぜ人は動かされるのか?「カチッ・サー」つまり、動物には考えることなく
反応する自動反応行動・思考がある。それらは、人間が考えている以上に影響力があり、
詳しくは返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威の5つである。
これらの影響力を知ることは、防衛すると言う意味でも営業という意味でも極めて有効である。
以上の内容になります。表現方法としては、デール・カーネギーの「人を動かす」系と一緒で
自分の体験談も入れてますが、人の体験談を多く入れてる所が特徴ですかね。
読んでいて納得できる部分が多いのと、最近知った心理技術が述べられていたので、
恐らく元ネタはここからだろうと思いましたし、原点はこの本だと感じました。
個人的には、最も影響力の大きい武器だと思うのは、
1.返報性:何かの恩を受けたら、人は返したくなる。
2.一貫性:自分は〜であると言ってしまったら、その言葉の呪縛にかかる
3.好意:好意は好意を呼ぶ
の3点ですね。これは、本当に影響力が大きいと思いますし、本書でも述べられていた
通り、この武器は使う方はコントロールできるが、使われる方がコントロール出来ない点が
破壊力がある所以でしょう。使われたら最後、頭を働かせないと逃れられなくなります。
自分を護る上でも、これからビジネスを行う上でも、知っておいて全く損はないです。
お薦めです。
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分厚い本だけど、おもしろかった!
返報性の法則−なにかをもらったらお返しをしないといけない気持ちになる
レジで飴を配ると、もらえるチップが増えるというアメリカの話など、人間の気持ちはどこでも変わらないんだな、と思った。
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動物には、「固定的行動パターン」というものがある。
「固定的行動パターン」とは、日常的に無自覚、反射的に起こる行動のこと。
日々を効率よく過ごすためには必要だけど、吟味せずに行動を起こしてしまうため、
損な行動が起こりやすい。
はい、じゃ、どうすればいいのかっていうと、
どういうときに損な「固定的行動パターン」が起こりやすいか、って言うのを知っとけばいいんでない?
ということで、以下、各章のごく簡単な要約。いや、まじでごく簡単。
●返報性
人から親切な行動をされたときに起こりやすい。
必要以上に恩返ししてしまいがち。
恩返しするのはいいけど、自分で必要以上じゃないかって確認してみ。
●コミットメントと一貫性
初期の情報が少なかったり、無かったりしたときに起こりやすい。
一度決めたら、間違ってるって気付いても、突っ走ってしまいがち。
最初に十分な情報があったら、そんな行動してたか確認してみ。
●社会的証明
周りに人が多いときに起こりやすい。
他人の行動の方が正しいと、思い込みがち。
周りの人が動きがおかしいと思ったら、完全に間違ってるって証拠を探してみ。
●好意
そのまんま。好意を抱いている人に対して起こりやすい。
好意を持つことは、いい。それは認めよう。
だけど、それとこれとは別ってビジネスライクに行動してみ。
●権威
分かりやすい権威に対して起こりやすい。
中身よりも、姿かたちや肩書きに気を取られて、盲目になりがち。
その人は本当に偉い人か、人間として信頼できるかを確かめてみ。
●希少性
少なければ少ないほど、起こりやすい。
単純に量だけでなく、残り時間や情報についても希少性は付く。
とりあえず、落ち着け。まずは、そっから。
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本書の冒頭でマーケティングの本と記述があるが、決してそんな狭い範囲で収まる本ではありませんでした。
人をある意味コントロールするための方法が、書かれています。ちょっと信じられない内容もありますが、実際の実験結果も
添えられているため、説得力倍増です。
何度でも読み直したい一冊です。
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「なぜ、人は動かされるのか」「説得」「承諾」ということについて、社会心理学的、人間行動学的な視点から解説している。
「返報性」「コミットメントと一貫性」「社会的証明」「好意」「権威」など、社会心理学的な内容はほぼ網羅いていて非常に充実した内容である。
その分、500ページ弱と厚くて重い(笑)
セールスマンやデパートの試食、募金活動、勧誘などに迎合してしまわないために、各章には「防御法」が記されている。
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人間が何も考えず「カチ、サー」とある一定の答えを出してしまうという恐ろしさ。
知っている人は知っている、そして知らない人は騙される。
返報性のルールだとか一貫性のルールだとか思い当たる事だらけ。
医者の言葉を何も疑わず、そのまま行動してしまう看護師の話だとか、
パイロットの判断に、間違っていても従ってしまうだとか、
恐ろしい現実もいっぱいです。
似た人の行動を真似してしまうという、自殺者の話も恐ろしい。
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●未読
◎「みんな力」p.79で紹介
〜人は自分の行動を一貫したものにしたいと、と動機付けられているという。
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人間に限らず生きとし生けるもの脳は、
進化の過程でさまざまなショートカットをするようになった。
おそらく脳のメモリに余裕を持たせるためだと思うが、
これらを他人に悪用されたりでもしたら大変だ。
そういう意味で護身に柔術を学ぶのと同じく、
護身用としてこの本の一読をおススメしたいと思う。
ただ、使い方を間違えるとつまらない人生になりえるため、
それなりの自制心も求められるだろうが。
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第一章 影響力の武器
・生活しているうえで、降りかかってくる刺激が複雑で変化に激しいものになると、それらにうまく対処するために、
簡便法に頼るようになる。
・簡便法は効率性と経済性に優れてるが、一片の情報だけに自動的に反応する事で過ちを犯す可能性が高まる。
第二章 返報性の法則
・返報性の法則は、要請者への嫌悪感すら凌駕する力を持つ。
・保険の調査用紙とともに5ドルを「ギフト」として同封するほうが、
調査用紙の返送後に50ドル支払うと約束した場合より2倍の効果があった。
・自分に対して譲歩してくれた相手に対しては、こちらも譲歩する義務があるような錯覚に陥る。
その場合、二番目に出させる要求は実際に小さいものである必要はなく、
最初の要求よりも小さいものであれば良い。かといって、最初の要求が大きすぎると、
逆効果を招いてしまうケースがある。
・返報性の法則と知覚のコントラストを組み合わせると強力なツールになる。
第三章 コミットメント
・ほんの些細なコミットメントによっても、それと一貫した行動を次に取ってしまう。
・最初のコミットメントを引き出すことが重要。
・一貫性への固執は、後に正当化するような意思決定や行動を誘発する
第四章 社会的証明
第五章 好意
第六章 権威
第七章 希少性
第八章 手取り早い影響力
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えらい古い書籍なんですが
色褪せてません!!
海外本は
結論
検証
結果
と続き、長いんです。
本も分厚いんです。
でも、これは引き込まれるように読みました。
日本の著者の本でも、
この本の2番煎じで書いてる著作は山ほどあることでしょう。