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商品説明
外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院…大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。【「BOOK」データベースの商品解説】
外科研修医・世良が飛び込んだのは、君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院。大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。驚愕手術の結末とは!【「TRC MARC」の商品解説】
驚愕手術の結末!
外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院……
大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。
『チーム・バチスタの栄光』で颯爽とベストセラーデビューした現役医師作家の新作もおなじみ東城大学医学部付属病院が舞台。新人外科医世良が直面するのは重い医療の真実と新来講師高階や藤原婦長の謎の行動。医学界崩壊カウントダウンの1988年に起きるのは“奇跡の手術”による感動の結末。
【商品解説】
著者紹介
海堂 尊
- 略歴
- 〈海堂尊〉1961年千葉県生まれ。勤務医。「チーム・バチスタの栄光」で第4回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し作家デビュー。他の著書に「螺鈿迷宮」「ナイチンゲールの沈黙」など。
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紙の本
医者もまた人の子なり。
2007/11/10 21:24
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
金や地位や名誉に腐心し医者本来の姿を忘れたお偉方が悪役となったり、日本の医療システムの脆弱さ自体を嘆いたりする「暴露本」が多いこの分野。
主人公以外の医者は悪者になり、被害者の苦悩や訴訟問題の泥沼化したドラマがお決まりのパターンである・・・ところが本書にはそれが無い。いや、「悪者」がいないのだ!
舞台は有名大学病院の外科、ともなれば癒着や政権争いの醜い部分が見え隠れする。そこに血気盛ん口の減らない1年坊主・世良を視点におき、個性的な面々が院内でぶつかる様は陰湿というよりも子供の喧嘩のようだ。
厄介払いで飛ばされてきた高階教授が嵐を起こし、院内外科を牛耳る狸爺・佐伯教授が睨みをきかせ、不真面目で暴勇で天才的な術者・渡海の過去がミステリーを呼び起こす・・・
癖のある個性的なキャラが繰広げる病院の波乱万丈がテンポよく進み一気読みの面白さだ。
医療モノニしては珍しく患者からのアプローチはない。その代わり人間らしい医者の個性と葛藤が描かれ、同時に一年坊主の成長っぷりが微笑ましくも頼もしい。ああ、彼ら医者もやはり人間なんだ。そう感じることが不安ではなく、少し嬉しい。
物語のクライマックス。佐伯教授がかつて執刀した「わけあり患者」に再びメスを入れた彼らと、駆けつける佐伯教授。パンドラの箱の、そして物語の鍵となるブラックペイン。
彼らの中に誰一人として医者でないものはいなかった。そう思う。
紙の本
ブラックペアンは誰のために?
2008/02/05 21:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぴえだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
渋いドラマティックな物語だ。
最初はありがちな医療もの、病院ものなのか、と思わされるのだが、それは間違っているということに気づかされる。
徐々にストーリーに惹きつけられ、のめりこみ、ラストには心を震わせられるのだ。
せつないのだけど、感動的ですらある。
成長の物語であり、復讐劇であり、過去の物語。
みな、それぞれが違う方向を見ている。
けれども、一人一人が自分の信念を持ち、それを貫こうとしているのだ。
はがゆい。
相容れた瞬間、もう皆が揃うことはない。
止まることは出来ない。それぞれの道を行く。
自分を信じて、理想があるのならそれを持って、進んでいけばいい。
そんな風に云われたような気がした。
ブラックペアンは誰のためにある?
それをぜひその目で確かめて欲しい。
紙の本
楽しいです。思わず涙してしまう場面もあります。なんていうか、医学版西部劇?どーよ、いいでしょ
2008/01/21 20:01
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
名は体を表わす、というのはこの本のためにあるのでしょう。漆黒の中に浮かび上がる鋏、ブラックだから黒いのは分るとして、これは何?だいいちペアンて、なんだかわかんないし・・・。でも、『チーム・バチスタの栄光』(私にとっては、『ジェネラル・ルージュの凱旋』)の海堂の本だから、面白いよなきっと、と手にした人も多いのではないでしょうか。
しかし、テカテカする黒ではなく、艶消しの黒がここまで渋く、しかも存在感を放つとは・・・。そんなブックデザインは鈴木成一デザイン室、カバーCGは桑原大介、初出は「小説現代」2007年4月号~8月号。そうか、海堂の本が、講談社から出るようになったんだ、出世だなあ、なんて感慨ひとしお。うう、古い考え方だ・・・
で、早速その講談社さんのwebの宣伝文句を拝借
愕手術の結末!
外科研修医世良が飛び込んだのは君臨する“神の手”教授に新兵器導入の講師、技術偏重の医局員ら、策謀渦巻く大学病院……
大出血の手術現場で世良が見た医師たちの凄絶で高貴な覚悟。
『チーム・バチスタの栄光』で颯爽とベストセラーデビューした現役医師作家の新作もおなじみ東城大学医学部付属病院が舞台。新人外科医世良が直面するのは重い医療の真実と新来講師高階や藤原婦長の謎の行動。医学界崩壊カウントダウンの1988年に起きるのは“奇跡の手術”による感動の結末。
だそうです。昭和63年の約半年の物語とありますから、私が長女を生んだ年のことです。舞台は東城大学医学部付属病院で、新病院建築が決まり、来年初頭に行われる病院長選挙が話題になっています。でも、NHKで放映している台湾ドラマ「ホスピタル」のような陰湿な権力争いはありません。そこがスマートというか、甘いというか・・・
まず、ここで無謀にも、というか押し付けがましくも断っておきます。あなたは
183頁で泣く、絶対に、泣く。そして297頁から震える。そして306頁で再び泣く。医療の世界はここまで崇高なのかと。
その涙の対極にあるのが軽さです。この本の重要な登場人物であるゴンスケが秘密兵器スナイプAZ1988をひっさげてに登場する場面、まさにライフル片手に登場する西部の保安官ではありませんか。しかも、口にする理想の高さ、何を言われようと堂々と反論し、己の地位を賭けることを少しも厭わない帝華大学の小天狗、ビッグマウスぶりたるや・・・
しかも、主人公の世良が目覚めていく様がいい。これぞビルドゥングス・ロマン、小説の王道です。若き才能に目をつけそれを伸ばしていこうとする佐伯は、己に反旗を翻しているとしかいいようのないゴンスケを、ときに挑発し、自分の実力を見せ付けながら庇護し、もっと大きなものに育てていこうとする。私だって部下になりたいような上司です。
話の筋を追うのはやめて、登場人物紹介で案内に代えましょう。
世良雅志:主人公。研修医、大学の医学部のサッカー部では俊足のサイドバックとして活躍。佐伯外科に入局したばかりの新米なのに、なぜかいい役にありついて、めきめき腕を上げていきます。
佐伯清剛:東城大学医学部総合科学教室教授。彼以上の技量を持った外科医はいないとも言われる日本を代表する医師。手術中、ミスを犯した助手にサンダルを飛ばす場面は、笑えます。
黒崎助教授:心臓血管外科の分離・独立を目指すと噂される、大血管手術のエキスパートですが、単なる権力の亡者ではないところが立派です。
高階講師:ゴンスケこと権太、元帝華大学第一外科教室助手で、米国マサチューセッツ医科大に留学、専門は直腸癌の低位前方切除術。競争相手とも言える帝華大学から、帝華の小天狗、ビッグマウスと呼ばれる彼を、東城大学に招いたのは、だれあろう佐伯です。「必要なら規則は変えろ。規則に囚われて、命を失うことがあってはならない。」外科手術を、名人芸のものから誰もが容易に、確実にできるものにしたいと願い、スナイプAZ1988をアメリカから持ち帰ってきました。
渡海征四郎:ヒラでは最年長の医局員で十年選手。手術の上手さでは佐伯教授を越えることも可能といわれる大器ですが、昇進を断り続けています。勤務態度は、自由気まま。それでも許されるのは必要な時には、その場にいるからです。ロックと酒、女が大好き。
垣谷助手:佐伯外科の八年先輩で将来の教授候補だそうです。真面目な人柄からそう目されるのでしょうが、渡海のような天才性、主人公のような粘りを見せることはありません。世良のサッカー部の先輩ですが、エラソーには振る舞いません。
関川医師:五年目の中堅医師。うーむ、五年で中堅とは・・・
北島:世良の同期生で、大学の成績だけだったら主人公より上。主人公の幸運ぶりに焦りを見せることも・・・
藤原婦長:中肉中背で、出番は多くはありません。猫田主任をネコ、高階講師をゴンスケと呼び捨てる豪傑というか烈女。
花房美和:世良と同じく今年一人立ちする看護婦。ロマンス、勿論あります。お相手は・・・
猫田主任:渡海のお気に入りの看護婦で、時間さえあれば眠ろうと、昼寝・シエスタの出来る場所を捜し求めています。歩き方、ぽとぽと、というのが笑えますが、手術室では別人。彼女抜きでは佐伯の技も輝きを失うほどです。
速水:学部二年生、外科志望。
島津:同じ二年生、柔道部。
田口:同じ二年生で、傍目で見ても神経質。
ああ、彼らはこのようなところから、やってきたんだ、と肯く人も多いはず。ミステリとして読むことができますが、新兵器の登場や、去っていった人間の様子は、やはり西部劇ではないでしょうか。こういうものを読んでしまうと、中途半端な医学ものはもう読めないな、って思います。ある意味、このシリーズは医療小説に革命をもたらした、といってもいいかもしれません。
我が家では、建築家の夫も、大学生の長女も、受験準備に入った高二次女も読んで満足していました。脱帽の一冊。