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商品説明
ベテラン刑事の父親に反発しながらも、同じ道を歩む息子の夏輝。夏輝がはじめて現場を踏んでから一カ月が経った頃、捜査一課の係長が何者かに殺害された。捜査本部が疑う内部犯行説に、曲者揃いの刑事たちは疑心暗鬼に陥るが…。初の現場でコンビを組む事になったのは、少年時代に別離した実の父親だった—。「犯人に告ぐ」、「クローズド・ノート」で各界から大きな注目を集める著者、待望の最新ミステリー。【「BOOK」データベースの商品解説】
ベテラン刑事の父親に反発しながらも、同じ道を歩む息子の夏輝。夏輝がはじめて現場を踏んでから1カ月が経った頃、捜査一課の係長が何者かに殺害された。内部犯行説に、曲者揃いの刑事たちは疑心暗鬼に陥るが…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
雫井 脩介
- 略歴
- 〈雫井脩介〉1968年愛知県生まれ。2000年に「栄光一途」で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。「犯人に告ぐ」で大藪春彦賞を受賞。他の著書に「クローズド・ノート」など。
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紙の本
あの雫井がこんなレベルの低い作品を書いた?映画化を念頭に置くとここまで中身がなくなる、というお手本。もしかして『犯人に告ぐ』が良過ぎたせいかも・・・
2008/02/09 20:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
雫井は好きな作家でした。特に『栄光一途』の女剣士・佐々木深紅がお気に入りで、『白銀を踏み荒らせ』も舞台こそ違え、深紅が登場するのでワクワクして読みました。別の意味で感心したのが、WOWOWで映画にもなった『犯人に告ぐ』です。映画で感心しなかった人は是非、小説を読んでいただきたいのですが、「おお」って思います。
で、今度も刑事ものです。出版時期も映画『犯人に告ぐ』の公開を意識したと思います。雫井を知らなかった人は当然でしょうが、以前、彼の作品を読んだことのある読者は、「ああ、あの」と思ったはずです。そして、きっと面白いに違いない、と。カバーにしたって日端奈奈子のイラストレーションは線が甘めだけれど、ブックデザインの鈴木成一デザイン室が上手くカバー?しているし。
主人公は佐原夏輝、警視庁S署E分署の刑事課一係の新米刑事で、祖父・富成が亡くなったばかりです。この小説、あまり登場人物の年齢をはっきりと書きません。夏輝にしても12年前中学生というから、27歳以上ということはないようですが、24歳であっても違和感はありません。三代続けての警視庁刑事で、父似といわれます。ただし、夏輝は父親のことが好きではありません。
理由は、父親が家庭を顧みないから。そのせいで母の小都恵が12年前に蒸発したと考えています。家に寄り付こうとしない父親に替わって彼を育てたのが祖父母でした。その富成も今はなく、祖母・多美子が家を守っている状態です。夏輝には妹がいます。母親が姿を消した時、小学生とありますから、24歳以下であることはたしかで、母親似といわれています。
話は、全く知らないヤクザ風の男が夏輝に声をかけてきたことから動き始めます。後に44歳だったことが分る貝塚剛久は、ビルのオーナーでブローカー。貝塚は夏輝が島尾の息子であることや、小都恵が失踪したことを知っていることを匂わします。その彼が殺されます。それがこの事件の最初の犠牲者です。犯人探しは、夏樹と明村との関係を軸に展開していきます。
まず最初に違和感があるのが、自分が憎んでいる父親と同じ職業を選ぶ、そこが分りません。実は、心のそこで父親を慕っていた、となったとしても、同じ刑事の道を歩む理由がわかりません。と同時に、同じ事件に投入されれば、厭でも周囲からは親子として見られる、それが分らないとすれば余りに愚かでしょう。
しかもです、憎むべき父親・島尾明村ですが、捜査一課の五係の40代のデカ長のあだ名が、ジェントル島尾で、得意技がジャケットプレイとくると、完全にB級テレビドラマです。父親に向かって「お前」呼ばわりをするのもリアリティを感じませんが、公園で親子で相撲する場面などは、半世紀前のお話か?と脱力してしまいます。
あだ名も面白くありません。夏輝はジュニア。五係のベテラン係長・鍵山健介がアイスマン鍵山。五係の独身貴族といわれ昔、夏輝とキャッチボールをしたこともある四十代の古雅がバチェラー古雅。五係の中年刑事の富樫は体臭のひどさからスカンク富樫。捜査一課の五十代の管理官・南は髪が薄いことからタコ。オクトパス南。夏輝の先輩刑事の鷹野は、いつも捜査一課を誉めることから自称「捜一オタク」。
今時のコミックスだってこんなレベルの低いこと、やりませんて。むしろ、後半に出てきて殆ど冗談を言わない、刑事になりたかったタレ込屋相星と過去に拘る順子の二人がが心に残るのは、いかにも作者がサービスしました、といわんばかりの無理な設定の登場人物に全く感情移入できないからないほかなりません。作ったユーモアの限界を感じた一作でした。